最強幼女のお助け道中〜聖女ですが、自己強化の秘法の副作用で幼女化してしまいました。神器破城槌を振り回しながら、もふもふと一緒に旅を続けます〜

黄舞

文字の大きさ
4 / 18

第4話

しおりを挟む
 私はウキウキした気分で街道をひた歩いていた。
 目指すは西の洞窟。

 既にブレイブたちは一足先に向かっているはずだが、流石にまだ洞窟の中の主を討伐するには早いだろう。
 世界には魔王が生み出したとされる、魔族や魔獣がはびこり、人々の生活を脅かしていた。

 魔族や魔獣は様々な場所に生息し、人間と同じように群れていることがある。
 そういった場合には、必ず群れの主が存在していて、群れを統率しているのだ。

 そんな群れを討伐して、人々の生活に安寧をもたらすのも、勇者パーティを始めとした、討伐パーティの仕事だった。
 魔王討伐が任務なら、そんな寄り道せずにまっすぐ魔王を倒しにいけばいいという話をする人がいるが、それは無理な要求だ。

 魔王と呼ばれる存在が確かに存在すると信じられているが、それが何なのか、何処にいるのかを知る者はいない。
 しかし、魔王を討伐すれば、全ての魔族や魔獣の群れが瓦解すると信じられている。

 つまり、群れの主を討伐していれば、いつかは魔王を討伐できる日が来るかもしれない。
 というのが、私たち討伐パーティの最終目的なのだ。

「と、言っても。ぶっちゃけ何処にいるかも、本当にいるのかも分からない魔王を討伐するってのも無茶な話よねー」

 私は身もふたもないことを呟きながら、さらに西へと進んだ。



「ここが洞窟に最も近い町かしら……何だかずいぶんな人だかりだけれど……」

 今回の討伐は、この町から出された討伐依頼をブレイブたちが受けたのがきっかけだった。
 討伐依頼は、町の周辺で魔族や魔獣たちの根城が発見された際に出される依頼だ。

「さー! 会場はあっちだよ‼︎ 力自慢もそうじゃないみんなも! 一度は記念に挑戦してみてねー‼︎」

 町に入ると、どうやら何かの祭りの最中だということが見て取れた。
 通りは人だかりができていた。

「わー祭りだ! カンロアメあるかしら?」

 カンロアメというのは、カンロの実をすり潰して、粘性のある液を煮詰めてから冷やして固めたもの。
 カンロの実をそのまま食べるより、ずっと甘く美味しいけれど、祭りのような祝い事の時にしか市場には出ない。

 私はついついブレイブのことを頭の隅に一度置き、カンロアメ屋を探していた。
 目線が低くく、周りは人で溢れているので酷く歩きにくいが、カンロアメのため、私が人混みをグイグイとかき分けて進んでいく。

「あ! あった!!」

 少し歩いたとこでお目当ての出店を見つける。
 通りの隙間に、簡易的に作られた屋根と台だけ設置した店だった。

「おにいさん! カンロアメちょうだい!!」
「おや? これは可愛らしいお客さんだねぇ。お父さんかお母さんはどこだい?」

「何言ってるの? 私は一人よ。そんなことより、カンロアメをひとつちょうだいってば!!」

 私の頭の中は、既にカンロアメでいっぱいになっている。
 なにか大事なことを覚えていなくてはいけなかったはずだが、今は忘れてしまっていても仕方がないだろう。

「一人って……お嬢ちゃん。お金は持ってるのかい?」
「そんなのあたりま……え? お金?」

 当たり前のことを聞かれて私は青ざめる。
 というのも、今の私は文字通り無一文だったからだ。

 何故か、ブレイブたちは私に必要最低限の、子供のお小遣いくらいしか持たせてくれなかった。
 残りのお金は、ザードが管理してくれている。

 そんななけなしのお金も、つい最近全額使ってしまった。
 万が一の時にと服の間に隠していた虎の子も全てだ。

 巻物を売ろうとした商人は、私の全所持金を知って、哀れみの表情を向けていたのを覚えている。
 しかし、ありったけの金額を手渡すと、快く私に強化の秘法が書かれた巻物を譲ってくれたのだった。

「あ! そうだ……商人よ。あの商人も探さなきゃ。見つけてこの身体のことを問いたださないと!」

 私がそんなことを思っていると、私の肩が優しく叩かれた。
 思考から現実に引き戻され、目線を上げると、そこには笑顔を作った女性が一人。

「この子ですね? 迷い子というのは」
「ええ。お金も持ってないみたいです。ただ、親がいなくて一人だなんて言っていたから、家出かもしれません」

 女性は私の両肩に手を乗せたまま、首だけ動かしカンロアメを売っているおにいさんの方を向き、そんなことを言った。
 それに答えるおにいさんの発言に、私はさっきよりも顔が青ざめたのを感じた。

「大丈夫よ? 怖かったわね? お姉さんと、いい所に行きましょうか?」
「あ、あの……私、そういうんじゃなくて……」

「あら? 本当に迷い子じゃなくて、家出? どちらにしろ一緒に行きましょう。お家の人が探しているかもしれないわ。ねっ?」
「え、あ、あの!」

 私はなにか言おうとしても、おねえさんは首を横に振り、私の手を取りずんずんと進んでいく。
 私はどうしようか本気で悩んだ。

 このままおねえさんの手を振りほどくのは簡単だ。
 だけど、そうしても事態はなんの改善を見せない。

 私は……いかにおねえさんにカンロアメをご馳走してもらうかを、ひたすらに考えていた。
しおりを挟む
感想 36

あなたにおすすめの小説

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身

にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。  姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。

重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。 あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。 よくある聖女追放ものです。

ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!

沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。 それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。 失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。 アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。 帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。 そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。 再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。 なんと、皇子は三つ子だった! アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。 しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。 アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。 一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。

聖女解任ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はマリア、職業は大聖女。ダグラス王国の聖女のトップだ。そんな私にある日災難(婚約者)が災難(難癖を付け)を呼び、聖女を解任された。やった〜っ!悩み事が全て無くなったから、2度と聖女の職には戻らないわよっ!? 元聖女がやっと手に入れた自由を満喫するお話しです。

処理中です...