最強幼女のお助け道中〜聖女ですが、自己強化の秘法の副作用で幼女化してしまいました。神器破城槌を振り回しながら、もふもふと一緒に旅を続けます〜

黄舞

文字の大きさ
7 / 18

第7話

しおりを挟む
 戦闘は私の一方的な攻撃で幕を閉じた。
 バイソーが恐ろしいのはその群れが一体となった突進で、並の討伐パーティなら、それを防ぐことは困難だろう。

 だけど、今の私にはこの強靭な肉体がある。
 そして手の中には十分な長さを持ち、その強度と重量が十分な破城槌もある。

 突進してきたバイソーたちを、一薙ぎにして、全てのバイソーたちが地に伏したのだ。
 ようやく静かになった広場に、一斉に歓声があがる。

 よく見れば、広場の周りの至るとこに人が隠れていて、私とバイソーとの戦いを固唾を飲んで観戦していたらしい。
 こんなに多くの人が逃げずに居たのもびっくりだけど、それよりも不思議に思ったのは、みな、今にも踊り出しそうなほど喜んでいることだ。

「ねぇ、おねえさん。ちょっといい?」
「は、はいぃ! なんでしょう⁉︎」

 何故かおねえさんはさっきとは打って変わってガチガチに固まった状態で、返事をする。

「いくら私がバイソーを倒したからって、見てよ。建物だって結構壊れている。普通なら、喜びもそうだけど、悔しがったり、落ち込んだりするもんじゃない?」

 私は既に踊り始めているものもいる人々に目線を送ってから、おねえさんに問いかけた。
 その質問に対するおねえさんの言葉が示した答えは、私が想像していたものとは違ったものだった。

「あ、それは。お嬢ちゃ……あ。なんとお呼びすれば?」
「え? さっきみたいにお嬢ちゃんでいいわよ」

「分かりました。ん、ごほん! お嬢様が抜かれた破城槌のせいですね。みんな、戦神の再来を祝っているんです」
「戦神?」

「はい! 先ほども話しました通り、その破城槌は戦神ガウスの物。抜けるのは新たな戦神のみだというのが、この町に古くから伝わる言い伝えです。年に一度のこの祭りは、戦神再来祭。新たな戦神を迎えるための祭りでした」
「じゃあ、何? これを抜いた私が戦神だってこと?」

 私がそう聞くと、おねえさんは強く、そして大きく顔を縦に振る。
 その顔は緊張の他に大きな喜びに満ちているように見えた。

「えー⁉︎ 今のなし‼︎ 私が戦神だなんて、嘘でしょう⁉︎」
「嘘なんかじゃありません。実際に破城槌を自由に扱えていることが何よりの証拠。その破城槌は、力自慢の男が四人がかりでも抜けなかったんですから」

 確かに抜くのはかなり力がいた。
 この破城槌を振り回す力が十必要だとしたら、抜くのにはその三倍か四倍の力が必要だったろう。

 どうやらあの巻物に描かれた秘法は、本当にすごい効果を持っていたらしい。
 使った瞬間、たちまち燃え上がり焼け消えてしまったため、今はもう手元にないけれど。

「戦神様‼︎ この町の町長をさせていただいております。モーブでございます‼︎ 私の代でこうして戦神様をお目にかかれるとは光栄の極み‼︎ どうか、戦神様に町から贈物を献上することをお許しください‼︎」

 私が思案していると、頭の照りが眩しいおじいさんが駆け寄ってきた。
 頭はもう一本も残っていないのに、口元には立派な横に伸びた白い髭を蓄えている。

「おくりもの? 待って。それって、こっちから要望してもいいの?」
「もちろんでございます! 町で用意できる物ならなんなりと‼︎ しかし……前戦神様は、人の二倍はあるほどの筋骨たくましい大男だったと伝わっておりますが、はてさて……新しい戦神様がこんなに可愛らしい方だとは。正直驚きです」

 あ。このおじいさんは良い人決定。
 そうよね。よく分かってる。
 可愛いなんて……照れる。

 私がにまにましていると、おじいさんは少し困った顔で、私の顔を覗き込むように窺ってきた。
 何かあるのだろうか。

 気になって私から口を開く。
 思ったことはすぐに口にするのが私の良いところだ。

「何? どうしたの?」
「え⁉︎ あ、いえ……贈物を指定していただけるという話でしたので、お待ちしておりました。何をご所望でしょうか……?」

「あ! そうだったわね! それじゃあ、言うわね!」

 ゴクリ、とおじいさんの喉の鳴る音がこっちまで聞こえてきた。
 そんなに身構えられると、ちょっと困るが、これだけは言わずにはいられない。

 確かに少しわがままかもしれないけれど、町を魔獣の脅威から救ったのだから、その対価をもらっても慈母神マーネス様のバチは当たらないだろう。
 私は思い切って、親指と小指だけ折った右手をおじいさんに突き刺し、答えた。

「カンロアメを三つちょうだい‼︎」
「は……?」

 一瞬の沈黙。
 どうしてだろう。三つはちょっと欲張りすぎただろうか。

 やはり二つまでにするべきだったか。
 いや、町を救ったのだからまず一つ。

 戦神の再来に喜んでいるようだから二つ。
 そして、私が可愛いから三つ。

 何もおかしなことなどない。
 正当な要求だと思う。

「……もう一度言うわね。カンロアメをちょうだい。三つよ。二つじゃダメだからね!」
「は、はぁ。カンロアメというのは、どのような宝で?」

「え? おじいさん知らないの? もう! ちょっと、一緒に着いてきて! 私が教えてあげるんだから! あ、おねえさんもついでに一緒に来てね‼︎ さっきのカンロアメのおにいさんの店まで案内よろしく!」
「え⁉︎ あ、はいぃ‼︎」

 こうして、私は無事にカンロアメを三つももらうことができたのだ。
しおりを挟む
感想 36

あなたにおすすめの小説

アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身

にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。  姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。

聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!

さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ 祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き! も……もう嫌だぁ! 半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける! 時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ! 大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。 色んなキャラ出しまくりぃ! カクヨムでも掲載チュッ ⚠︎この物語は全てフィクションです。 ⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!

救世の結界師マールちゃん~無能だと廃棄されましたが、敵国で傭兵のおっさん達に餌付けされてるので、今さら必要と言われても戻りません~

ぽんぽこ@3/28新作発売!!
ファンタジー
「ウチの子、可愛いうえに最強すぎるんだが――!?」 魔の森の隣、辺境伯家。 そこで八歳のメイド・マールは、食事も与えられず“要らない人間”として扱われていた。 ――そしてある日ついに、毒と魔獣の禁忌領域《魔の森》へ捨てられてしまう。 「ここ……どこ?」 現れた魔獣に襲われかけたその瞬間。 救いに現れたのは――敵国の”イケオジ”傭兵隊だった。 「ほら、食え」 「……いいの?」 焚き火のそばで差し出された“温かいお粥”は、マールに初めての「安心」と「ごはん」を教えてくれた。 行き場を失った幼女は、強面のおじさん傭兵たちに餌付けされ、守られ、少しずつ笑えるようになる―― そんなシナリオだったはずなのに。 旅の途中、マールは無意識に結界を張り、猛毒の果実を「安全な食べ物」に変えてしまう。 「これもおいしいよ、おじさん!食べて食べて!」 「ウチの子は天才か!?」 ただ食べたいだけ。 だけどその力は、国境も常識もくつがえす。 これは、捨てられた欠食幼女が、敵国でお腹いっぱい幸せになりながら、秘められた力で世界を巻き込んでいく物語。 ※若干の百合風味を含みます。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです

ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」 宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。 聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。 しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。 冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。

勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~

楠ノ木雫
ファンタジー
 IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき…… ※他の投稿サイトにも掲載しています。

処理中です...