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第23話 肩こりと薬
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「さーて。どれから作ろうかしら」
シンバルと一緒に採取した薬草、そして様々な器具の前で考えをまとめるために口に出す。
隣ではハープが控えてくれている。
彼女は今ではすっかり私の助手のような立場になった。
「今回は随分と種類が多いんですね。どれから、とおっしゃってるということは、それぞれ別の薬を作るんですか? お話では陛下から頼まれたのは肩こりに効く薬だけだと」
「ええ。肩こりって痛みがあるでしょう? 患部に直接使う薬の他に、飲んで痛みを抑える薬も作ろうと思って。それと、もう一つは、私自身が考えてみた独自のものを試しに作ってみたいと思っているの」
「三つもですか!? それは大変ですね!」
「そうね……ひとまずやれば終わるものから始めましょうか」
ハープに手伝ってもらいながら、薬の素になる薬草や実、種、根などを炒ったり、刻んだり、すりおろしたりと処理をしていく。
お抱えの職人であるオーボエに作ってもらった器具が便利なこともあるけれど、ハープに手伝ってもらえるおかげで、一人でやるよりもずいぶんと早く進む。
色々と手伝ってもらったおかげか、ハープの飲み込みが良いおかげか、今では段取りまで担ってくれるので私としてもとてもやりやすい。
「ねぇ、ハープ? 簡単な薬なら、もうあなた一人で作れるんじゃない?」
「え!? いえいえ。とんでもない。私はビオラ様のお手伝いをするのが精一杯ですよ。一人で薬作りなんてとてもとても」
「そう? でも、こうやって手伝ってもらえると早いのは間違いないのよね。そうすれば作れる薬の量も増えるし、色々な薬も早く作れるようになって、もっといろんな人に使ってもらえるようになるわよね」
「私は今の侍女の仕事が天職だと思っていますので。ビオラ様の傍に一生仕えさせていただきたいと思っていますし」
「うふふ。ありがとう。さぁ、一つ目ができたわ」
一つ目の薬は粉末状の飲み薬。
飲むと肩こりによらず身体の痛みを和らげてくれる。
問題は飲むと眠くなってしまうこと。
トロン陛下の普段の生活は知らないけれど、眠気が出てしまっていいことはないと思うのよね。
人によっては眠気が強く出過ぎてしまうこともあるみたいだから、その場合は眠る前に服用してもらわないと。
「痛みを和らげてくれる薬は色々と使い勝手が良さそうですね」
「そうね。ただ、使い続けることはあまり進めないわ。あくまで痛みを誤魔化すだけで痛みの元を治すわけではないから」
「治すわけじゃないんですね。薬っていうのは不思議です」
「うふふ。それでも痛みが和らぐのなら、助かる人もいるでしょう? さぁ、次を作りましょう」
二つ目の作った薬は、液状のもの。
布を浸して、湿った布を痛む部分に当て、その布がずれ落ちないように別の布などで固定する。
傷口などに使うと逆に鋭い痛みを感じるので注意が必要だけれど。
「問題は保存性が良くないのよね。使う前に薬を煮たり、水に浸したり、溶かしたりして、それを混ぜ合わせないといけないのが難点なのよね」
「使う前に色々するのは確かに大変そうですね。でも、陛下がご自身でやるわけではないと思いますので、問題ないのでは?」
「そうなんだけど、どうにか出来ないかと考えていたの。それでね。少し思いついたものがあって。それが三つ目というわけ」
「何か改善するということですか? 薬作りの知識があるだけでも凄いことですのに。ご自身で新しい薬を考案するなんて。ビオラ様の頭の中はきっと私の想像もつかない何かが入っているんでしょうね」
「あらいやだ。きっと同じものよ。ただ、一人より長くそして多くの時間を薬のことを考えることに使えただけ」
私はフォルテの葉の中身をすりつぶして、その中に先ほどの薬の素を直接入れたり、煮た汁を入れたりしてから更にすっていく。
すると粘性が上がっていき、半透明になった。
「あら? なんだか、思わぬことが起きたみたいね……?」
「どうしたんですか? 失敗です?」
「分からないわ。試しに……まぁ! これって思ってたよりもずっと使いやすくなったんじゃないかしら?」
「どういうことです? 失敗じゃなくて成功ってことですか?」
できた薬を少しすくって手の甲に塗ってみると、塗る時は簡単にのびて塗りやすいのに、きちんと塗ったところに留まってくれた。
薬の効能の一つである、塗ったところがスースーする感覚もきちんとある。
「大成功だわ! 軟膏のように出来ないかと思っていたんだけれど、保持力が足りるか不安だったのよね。でも、これなら一日に何度も塗らなくても一度塗れば十分だわ」
「なんだかよく分からないですけど、成功なら良かったですね! それで、この三つを早速陛下のもとへ?」
「いいえ。最後の薬は腐らないかも試さないといけないから。いくつか作って調べておかないと。トロン陛下に不良品をお渡しするわけにはいかないでしょう?」
「分かりました。お手伝いしますよ」
ハープと協力して、臭いや色、見た目などが変わるかどうか試すために、同じものをいくつか作っていく。
その他に長持ちさせるために有効そうな案を取り入れたものも何種類か同様に作り、試してみることにした。
一週間後、見てみると、いくつかは黄色や茶色に変色していたり、嫌な臭いを放つものが出てしまっていた。
だけれど、多くは変化がなく、中でも同じ調合方法で作ったものが全て変化してなかったものがあった。
「出来たわ! これを改めて作り直して陛下に送りましょう」
「分かりました。早速手配をしますね!」
再度ハープに手伝ってもらいながら作った三種類の薬を、使い方や注意点を書いた紙と一緒に王都に送付した。
送ってからしばらくして、トロン陛下から王都へ呼び出しがかかった。
シンバルと一緒に採取した薬草、そして様々な器具の前で考えをまとめるために口に出す。
隣ではハープが控えてくれている。
彼女は今ではすっかり私の助手のような立場になった。
「今回は随分と種類が多いんですね。どれから、とおっしゃってるということは、それぞれ別の薬を作るんですか? お話では陛下から頼まれたのは肩こりに効く薬だけだと」
「ええ。肩こりって痛みがあるでしょう? 患部に直接使う薬の他に、飲んで痛みを抑える薬も作ろうと思って。それと、もう一つは、私自身が考えてみた独自のものを試しに作ってみたいと思っているの」
「三つもですか!? それは大変ですね!」
「そうね……ひとまずやれば終わるものから始めましょうか」
ハープに手伝ってもらいながら、薬の素になる薬草や実、種、根などを炒ったり、刻んだり、すりおろしたりと処理をしていく。
お抱えの職人であるオーボエに作ってもらった器具が便利なこともあるけれど、ハープに手伝ってもらえるおかげで、一人でやるよりもずいぶんと早く進む。
色々と手伝ってもらったおかげか、ハープの飲み込みが良いおかげか、今では段取りまで担ってくれるので私としてもとてもやりやすい。
「ねぇ、ハープ? 簡単な薬なら、もうあなた一人で作れるんじゃない?」
「え!? いえいえ。とんでもない。私はビオラ様のお手伝いをするのが精一杯ですよ。一人で薬作りなんてとてもとても」
「そう? でも、こうやって手伝ってもらえると早いのは間違いないのよね。そうすれば作れる薬の量も増えるし、色々な薬も早く作れるようになって、もっといろんな人に使ってもらえるようになるわよね」
「私は今の侍女の仕事が天職だと思っていますので。ビオラ様の傍に一生仕えさせていただきたいと思っていますし」
「うふふ。ありがとう。さぁ、一つ目ができたわ」
一つ目の薬は粉末状の飲み薬。
飲むと肩こりによらず身体の痛みを和らげてくれる。
問題は飲むと眠くなってしまうこと。
トロン陛下の普段の生活は知らないけれど、眠気が出てしまっていいことはないと思うのよね。
人によっては眠気が強く出過ぎてしまうこともあるみたいだから、その場合は眠る前に服用してもらわないと。
「痛みを和らげてくれる薬は色々と使い勝手が良さそうですね」
「そうね。ただ、使い続けることはあまり進めないわ。あくまで痛みを誤魔化すだけで痛みの元を治すわけではないから」
「治すわけじゃないんですね。薬っていうのは不思議です」
「うふふ。それでも痛みが和らぐのなら、助かる人もいるでしょう? さぁ、次を作りましょう」
二つ目の作った薬は、液状のもの。
布を浸して、湿った布を痛む部分に当て、その布がずれ落ちないように別の布などで固定する。
傷口などに使うと逆に鋭い痛みを感じるので注意が必要だけれど。
「問題は保存性が良くないのよね。使う前に薬を煮たり、水に浸したり、溶かしたりして、それを混ぜ合わせないといけないのが難点なのよね」
「使う前に色々するのは確かに大変そうですね。でも、陛下がご自身でやるわけではないと思いますので、問題ないのでは?」
「そうなんだけど、どうにか出来ないかと考えていたの。それでね。少し思いついたものがあって。それが三つ目というわけ」
「何か改善するということですか? 薬作りの知識があるだけでも凄いことですのに。ご自身で新しい薬を考案するなんて。ビオラ様の頭の中はきっと私の想像もつかない何かが入っているんでしょうね」
「あらいやだ。きっと同じものよ。ただ、一人より長くそして多くの時間を薬のことを考えることに使えただけ」
私はフォルテの葉の中身をすりつぶして、その中に先ほどの薬の素を直接入れたり、煮た汁を入れたりしてから更にすっていく。
すると粘性が上がっていき、半透明になった。
「あら? なんだか、思わぬことが起きたみたいね……?」
「どうしたんですか? 失敗です?」
「分からないわ。試しに……まぁ! これって思ってたよりもずっと使いやすくなったんじゃないかしら?」
「どういうことです? 失敗じゃなくて成功ってことですか?」
できた薬を少しすくって手の甲に塗ってみると、塗る時は簡単にのびて塗りやすいのに、きちんと塗ったところに留まってくれた。
薬の効能の一つである、塗ったところがスースーする感覚もきちんとある。
「大成功だわ! 軟膏のように出来ないかと思っていたんだけれど、保持力が足りるか不安だったのよね。でも、これなら一日に何度も塗らなくても一度塗れば十分だわ」
「なんだかよく分からないですけど、成功なら良かったですね! それで、この三つを早速陛下のもとへ?」
「いいえ。最後の薬は腐らないかも試さないといけないから。いくつか作って調べておかないと。トロン陛下に不良品をお渡しするわけにはいかないでしょう?」
「分かりました。お手伝いしますよ」
ハープと協力して、臭いや色、見た目などが変わるかどうか試すために、同じものをいくつか作っていく。
その他に長持ちさせるために有効そうな案を取り入れたものも何種類か同様に作り、試してみることにした。
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だけれど、多くは変化がなく、中でも同じ調合方法で作ったものが全て変化してなかったものがあった。
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