変身とかいうスキルは俺にとって最高のスキルかもしれない。(旧題名『ミミック』)

七鳳

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1章【人間国】

転生

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「転生受付案内へようこそ!どんな転生先を希望されますか??」

笑顔で話しかけてくる転生受付案内とやらの女性に俺は戸惑っていた。

というかね?何この状況?

俺って何でこんなとこにいるの??

誘拐?ドッキリ?転生ってことは死んだの??

色んな疑問が浮かんでくるが、今はこの全く笑顔を崩さない推定カップ数AAAの貧乳受付嬢に反応しなければ。

「え、えーっと…転生って???」

心の中で失礼な想像をしてるなんて全く表情に出さずに彼女に問う。

「あれ?知らなかったですか?てっきり、ここに来たんだからフリー転生者かと思いましたよ~」

もちろん転生なんて知らないし、なんならフリー転生者などという職業?があるなんてことも知らない。

「転生っていうのは、前世で使いきれなかった【魂ポイント】略して【たまぽ】を使って他の異世界に移住するってことなんですよ~!」

えっへんと無い胸を反らせてすごいでしょ!とアピールしてくるが全く聞いたこと無い単語だらけで正直ついていけない。

「お客様は今自分の名前言えます??」

唐突にそう言われて、もちろん言えると言おうとしたのだが…

あれ?俺ってなんて名前だっけ??

てかまず何歳だ?俺って言ってるから多分男なんだろうけど。

正直、自分の容姿すら全く覚えてない。

困惑していると受付嬢がまた説明を加える。

「お客様の前世での名前や容姿、学力や運動能力は【たまぽ】に変換されました!」

なるほど、前世での能力は新しい世界に持っていくことは無理なのか。

まぁ、俺がどんな運動神経してたのかとか全く覚えてないからいいんだけどなっ!

ところでたまぽたまぽと言ってるけど、ポイントって何に使うんだ?

そう思っているとまた受付嬢が説明してくれる。

「【たまぽ】は転生先での能力や身分、名前の決定に使うことができます。もちろん身分を高くしようとするとたくさん【たまぽ】を使うことになります。その逆も然りですね。ここまでは分かりますか?」

俺は静かに頷く。

「お客様の次の転生先はスキルや魔法の概念がある世界なので、次の自分に付与したいスキルなどもこちらで【たまぽ】と交換することができます。転生したあとではどれだけ【たまぽ】が余っていても交換はできず、次の転生まで残ることになります。ちなみに交換できる能力に加護とかもありますよ~」

なるほどなぁ~。

ほとんど話聞いてなかったけど多分スキルとたまぽが交換できるよ!すごい!くらいの話だと思います。

ジト目で見てくる受付嬢の目線が痛いが気にしないことにしよう。

「説明はこんな感じでよろしいですか?」

心なしか何か怒ってるような感じがする。

気にしない気にしない。

俺は小さく「あぁ。」と返事をする。

「では、【たまぽ】の交換作業に入りますね~。お客様の残りポイントは【15000TP】です。まぁ人よりちょっと多いくらいですね~。何に交換します?」

そう言いながら俺にカタログらしきものを見せてくる。

目を通すとそこには色んな情報が乗っていた。



【身分】

王族【10000TP】

貴族(爵位はランダム)【5000TP】

…………



独り身家なし【0TP】





色々気になるところはあるが、やっぱり王族、貴族は高い。

それに王国の一般家庭でさえ500TPもかかった。

正直俺は家族愛などに飢えてはいないのでこんな所でポイントを使う気は無い。

迷うことなく一番下の独り身家なしを選択する。


次は種族か…


【種族】

人間【500TP】

魔族【5000TP】

獣人【2500TP】

妖精族(具体的な種族はランダム)【15000TP】

……………



獣型魔物【25TP】

粘液型魔物【15TP】

魔物の子(具体的種族はランダム)【2TP】




なるほど次の世界には魔族とかいるのか。

少しロマンは感じる…なぜロマンを感じるのかも分からないが。


他にも人形魔物や、悪魔や天使などの種族もあった。

俺が1番驚いたのは、

神【999999999TP】


ポイントありゃ神になれるのかよっ!

とツッコミを入れてしまった。

俺にはそんなポイントも無いし、神と比べれば他のヤツなんてなんでも一緒だろと思ったので、1番安かった魔物の子にしといた。

ランダムってのは怖いが、逆にいい魔物の子になれるかもしれない。そこは俺の運だろう。


次はいよいよスキルと魔法を選ぶ。

何かいい掘り出し物はないかなぁとカタログをキスするかのような勢いで見つめる。

すると興味が湧くスキルがあった。

変身ミミック【250TP】

《1度目にしたものに変身することが可能。変身するモノによって必要魔力変化。生物でも無生物でも可能。変化した場合、自分の所有しているスキルは使えず、装備などその他も変身したものと同じになる。魔力量と加護のみ受け継がれる。》

これ強くね??

まあ強くなるには条件が沢山あるが、条件さえ満たしてしまえば一瞬で世界最強なのだ。

それこそ龍とか…神とか。

オラわくわくすっぞ!

とテンション上がってしまったがまだポイントは山ほどある。

他のスキルも見なければ…












あれから30分ほどスキルを探したが、よく考えたら返信するとスキル使えないからあんまりいらないんじゃね?と思い、変身のサポートをするスキルだけにした。

俺が取ったのは2種類。


透明化【5000TP】

《透明化することが出来る。装備なども透明化可能。透明化中は常に一定の魔力消費。》


座標交代【250TP】

《使用者が1度触れたものの位置と自分自身の位置を交代することが出来る。制限距離は無い。距離に応じて消費魔力増加》


…透明化については悪用はしない。

神に誓いますから許してくださいお願いします何でもします!

冗談はその辺にして、実際透明化はありがたい。

強い敵を見ることが出来ても逃げれず即死とかになったらシャレにならない。

同じ理由で座標交代も非常にいいスキルだと思う。

これも変身ミミックと同じように安くていいスキル。掘り出し物スキルだった。

俺ってこういうの見つける才能あるかも???


まぁ…時間かけただけなんだけどねっ。


さぁいよいよたまぽポイント交換も大詰め。

あとは細かい設定と加護だけだ。


加護自体は面白いものばかりだった。

値段さえ見なければ、だが。


恋愛混沌ハーレムクリエイト【1500000TP】

運命変更ラッキースケベ【1500000TP】

勇者【150000TP】


これらは完全に選ばれし勇者などが持つような加護だろう。

くっ、俺も勇者に選ばれたかった人生だった…

いや、次の転生で勇者になればいいのでは?

なんていい考えなんだ。この世界頑張らねば。


当然俺がこんなにポイントを持ってるわけもないのでこちらはスルーしました。

名残惜しいよ勇者の加護~!!!



…気持ちを切り替えて俺は求めていた加護を見つけることにした。

案外すぐ見つかった。というか勇者の3個くらい下にあったよ。


魔の加護【4500TP】

《魔力量、魔力回復力、魔力の質など魔力に関する能力大UP》

究明眼【4950TP】

《魔眼の一種。相手のすべてを見通す。世界に満ちているマナや人に流れる魔力の流れまで見える。》


いやぁ思ったより高くて驚いたけど本当にギリギリ交換することが出来た。


魔力量などは引き継がれるって言ってたから魔力関係の加護は欲しかったんだよね。

あと転生には必須アイテムみたいなもんの相手のスキルとかを見る手段!


このふたつはどうしても欲しかった。

ただこのあと俺が本当に困ることになるのは決まりきったことだったが。

この加護たちを取るせいで俺はポイントを全く使えなくなってしまった。

まだ名前の決定や転生する世界でどの場所に転生するかの決定があるというのに…




俺がどうしようかと立ちすくんでいたら俺がスキルなどを調べる時には静かに待っていてくれた受付嬢が口を開いた。


「もしかしてポイント無くなりました?残念ですけど、ポイントが無ければ選択しても意味無いので後はこっちで勝手に決めさせてもらいますね~」

そう言いながら開かれていたカタログを閉じ、片付けてしまった。

少し名残惜しい…


しかし文句は言えないので静かにする。

「では、最終確認ですが、お客様は【ウレム】という異世界に今から転生します。あちらの神に今連絡したところ、転生先の土地は少し厳しいところなので気をつけてくれとのことでした。」

俺は頷く。

「【ウレム】は他の転生者の方が2人いるらしいので仲良くなってもいいかもしれませんね。まぁあなたが仲良くなれるとはあんまり思えませんが。」

サラッと傷つくことを言ってくるなこのAAA子め。

否定できないのが悔しいが。

俺が少し悔しい顔をしているのに彼女は気付いたが、無視して話を続けた。

「次の世界で【たまぽ】を集めようともし思っているのであれば、たくさんその土地の人を殺してください!転生者の方を殺せばその方のポイント一気に貰えちゃうのでお得ですよ!」


なんかすごい怖いことを言っているが、俺は何故かそれは理解していた。

俺の魂に刻まれているということなのか、たまぽはそうやって手に入れるものらしい。

俺のポイントは少し多かったので…そういうことなのかもしれない。

誰彼構わず殺さなければその世界の神も許してくれるらしいので、とりあえず目標の勇者の加護を来世で手に入れられるくらいのたまぽを、貯められるように頑張ろうと思う。


「…これで説明はすべて終わりました。それでは【ウレム】の世界で頑張ってきてください。あと私はAAAじゃないので。」

薄れゆく意識の中で受付嬢の最後の怒りをぶつけられたがもうどうすることも出来ないので甘んじて受け入れる。

次起きた時は異世界か。
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