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悲愴怨憎不幸話は誰も求めないデスしね!

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カナリィを家に送り届けると、両親が、ちょうど出掛けるところでした。

カナリィ「隣町まで?そう、気を付けてね」

マミィ「一人で平気?」

カナリィ「チトの家に泊まらせてもらいますから、平気です」

チト「ちょっと待て」

パピィ「いい友達が出来たな」

チト「いやいや。聞いてます?」

マミィ「じゃあ、行ってくるね」

カナリィ「気を付けて、行ってらっしゃい!」

パピィ「チトさん、あなたには感謝します。娘をよろしくお願い致します!」

で。

チシャノ「おかえりだね」

チト「は?何で?」

ロリニア「何で?何で何でえええええいいあああ!」ガタンガタン!

ココ「お姉ぢゃあああん助げでえ!怖いよう!」とびつき!

チト「カフェは?」

ココ「真っ先に逃げたあ」しくしく

チト「ちっ、そろそろ縄を着けるか」

ロリニア「あ……キミ」

チト「くるならこい!」

ロリニア「そうだ!あの日、名前を聞いてなかったんだ!教えて!」

チト「チト」

ロリニア「チトかあ!」にっこるん!

ココ「やっと治まった……」ほっ

カナリィ「あのう」ひょこ

チト「こっちがチシャノ」

チシャノ「はじめましてだね」

カナリィ「カナリィです!はじめまして!」

チト「で、こいつ誰だっけ」

ロリニア「誰だっけ?それって、忘れられてるってことで、忘れるほど印象にないってことで、それは存在が薄いってことで、つまりそのうち消えちゃう子なんだ。あ……ああ!」がくぶる

ココ「僕二階にいる!」たたっ!

チト「今、改めて名前を言えばいいじゃない。それが存在証明になるでしょう」

ロリニア「そうだ!そうしたらいいんだ!」にっこるん!

チト「だから早く言え」

ロリニア「ワタクシはロリニアだ!よろしく!」

カナリィ「よろしくお願いします!」

ロリニア「よろしく、お願いします?それって、自分を任せるってことで、それは結婚しようって意味で、つまり、女同士でも夫婦になりましょうってことだ。え、ええ!?」びっくり!

カナリィ「それは……ちょっと困りますね」

ロリニア「ならよかった!」にっこるん!

チト「チシャノ。何であなた達がここにいるのか、きちんと説明してちょうだい」

チシャノ「あのね。森で美味しい葉っぱを探していたらね、ロリニアちゃんと会ってね、迷子でね、家に連れて帰ったのね、そしたら、ロリニアちゃんママに突き落とされたんだ」

チト「あの高さから!?容赦ねえ!」

チシャノ「でもね。何度突き落としてもね、必ず登ってくるの」

チト「色々と怖い恐い怖い恐い!」がくぶる

カナリィ「それで、お友達の家に来たのですね」

チシャノ「ん」こくこく

チト「やめて。ここにいる全員、友達と思ってないし」

カナリィ「そうなのですか?」

ロリニア「それって」

チシャノ「家族ってことだね!」にこー

ロリニア「そういうことかあ」にっこりん!

チト「飛躍しすぎよ!」

カナリィ「カナリィも……いいですか?家族」

チシャノ「カナリィちゃんも、みーんな家族なんだね!」

カナリィ「なんと!とても嬉しいです!」にこにこ

チト「違うって……はあ!もう!」

ココ「チト、お腹空いた」ひょこ

チト「ご馳走を貰ってきたから、今日はこれを上で食べなさい。あなたとカフェの分よ」はい、あさぶくろ

ココ「やったあ!」

チト「あなた達は」

チシャノ「葉っぱとチーズ!」じゃーん!

ロリニア「いちごに鹿のソーセージだ!」どん!

カナリィ「では!カナリィは、ミルクと卵を取ってきますね!」

チト「そう。なら、何とかなりそうね」

カナリィがミルクと卵を取りに戻った、その少し後。
カフェが、二階に帰宅しました。

カフェ「あの恐ろしい子は?」

ココ「下にいるよ。それと、チトが帰って来て、カナリィっていうお姉さんを連れて来たよ」

カフェ「やっかいな子?」

ココ「ううん。綺麗で、すごく丁寧な人だよ」

カフェ「そう」

ああああああああああ!!

カフェ「まーた始まった。あの子、地獄から来た悪魔の子じゃないの?」

ココ「それは、いくらなんでもひどいよ」

カフェ「そんなことないと思うけど」

ココ「カフェ。あのお姉さんが苦手なのに、どうして帰って来たの?」

カフェ「そりゃあ、腹が減ったからよ」く~

ココ「じゃあ」

カフェ「お前を食ってやる!」かぷー

ココ「このご馳走、あげないよ?」じとー

カフェ「ごめんなさい。て、何よ。そのご馳走の瓶詰めシリーズ」

ココ「チトが、僕とカフェの為に持って帰ってきてくれたんだよ!」

カフェ「その気まぐれで、明日、空から星が落ちてこなければいいけど」

ココ「ちゃんと、後でお礼を言うんだよ」

カフェ「はんっ、知らないね」ぷい

ココ「お婆さんなんだから、しっかりして!」

カフェ「にゃあの音もでない正論……また利口になって……」

チシャノ「あ!カフェ!」

カフェ「おやチシャノ。久しぶり」

ロリニア「え?猫が喋ってる」

チト「はい見たね。二階見たね。下に降りようね」ぐいっ

ロリニア「それって、猫が喋るのは知れちゃいけないってことで」

チト「そーいうことー!だから内緒にしてねー!」ぐいー

チシャノ「またね!」てをふりふり

カフェ「はいまたね」てをふりふり

カナリィ「あ」

カフェ「こんちにゃ」にゃあ

チト「いつの間に!あーもう!狭苦しいからとっとと降りやがれえ!!」ぶちぎれ

なんやかんやで夕食です。

チト「ピッツァにして正解ね」もちー

ロリニア「茹で卵もうまいんだー!んっー!」おっいし!

カナリィ「それは何よりです!」ふふっ

ロリニア「チシャノ、もひとつ茹で卵取ってくれ」

チシャノ「どうぞだよね」

ロリニア「ありありー」

チト「普通に喋ってるし……」

カナリィ「この葉っぱ、とても美味しいです!」

チシャノ「それね、一番チーズに合うハーブなんだね」

カナリィ「へえー」

チシャノ「そっか」

カナリィ「え?」

チシャノ「ん?」

ロリニア「いちごミルクのおかわり、ちょーだいな」

チト「ゲロ吐くまで飲みなさい」こと

ロリニア「それって、お腹いっぱいになるまで飲めってことで、それで限界になったら吐けってことで、でも吐けなかったらお腹は破裂するってことで、あはは。ああ、つまり死ねってことかあああああ!!」あたまがんがん!

チト「あーもー」みみふさぎ

チシャノ「死んじゃダメだよね」

カナリィ「そうですよ!」

ロリニア「じゃあ、死なないように途中で吐けばいいんだ!うっぷす!」うっぷろん…

チト「よせっ!吐いたらぶち殺すからな!」

さて寝る時間、ココとカフェはベッド。
残る女子メンは、床掃いて布敷いてぎゅぎゅぎゅのぎゅう。

ロリニア「牛タンは恋の味」

カナリィ「わあ!メルヘンみたいで素敵!」

チト「そんなにメルヘンが好きなら、メルヘンみたいに始末してやる。嫌なら寝ろ」

チシャノ「チトちゃん。おこりんぼさんだ」

チト「……そのうち直します」

ロリニア「ねえねえ、怖い話しよー」

カナリィ「えー……」

チト「おばけよりも、お前が怖い」

ロリニア「それってつまり」

カフェ「ふしゃあああ!!」ふしゃー!

チト「黙らないと食われるよ」

ロリニア「すっー……すっー……」すっいみん…

チシャノ「んふふー」ぎゅ

チト「チシャノ。ひっつかないで」

チシャノ「すっー……すっー……」

カナリィ「楽しいですね……」ねむねむ

チト「それは思い込み」

カナリィ「友達……家族……うふふっ……」すや…

チト「そんなの、両親とココだけで」

チシャノ「チトちゃ……」すや…

チト「もう……みんなの馬鹿」

こうして。
賑やかな夜が過ぎていきましたとさ。

続け!
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