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第一章
第一話・城塞都市ハルカゼ
しおりを挟むあれから1時間程情報整理や意見交換等をしていたジャンヌとゼルクは、人里を探して適当な方向に真っ直ぐ進んでいた。
「ふむ、して友よ、これからの方針はどうするつもりなのだ?」
ふとゼルクはそんな質問をジャンヌに投げかける。
「異世界転移モノの定番ならば、貴族の娘等が乗った馬車が盗賊やモンスターに襲われていたり、普通に村等についたり等が挙げられる、だが、それ以外の可能性もあるな……これからどうするかは一度落ち着いてから考えるとして、現状の俺達は身分証の様なものも所持していない訳だから、何か金になる物を手に入れないとだな……。」
ジャンヌの独り言の様な言葉を聞いて、ゼルクは顎に手を添えて考え込む様な仕草をする。
「うーむ、盗賊やモンスターが現れる可能性はありそうだが、偶然にも権力者の娘が乗った馬車が通りかかる可能性は少なそうであるな……。」
「(そうだよなぁ、それこそ有り得るのは小説の中だけだろう。)」
ジャンヌはコクコクと頷きながら心の中で学生の頃読み耽っていたライトノベルを思い出していた。
「ゲームキャラ等を引き継いで転生する小説の殆どはサービス終了後の世界だったり、ゲーム等で使われている能力が劣化して普及している異世界だったりが殆ど何だが、この世界がそれと同じとは限らないよな……、よってARO《All Road Online》のアイテムを換金する訳にもいかない……かぁ。」
「うん?だとしたら、街を見つけても直行しては駄目と言うことか?」
「ああ、取り敢えず今日は野宿にしようかと思う、AROでは拠点を持ってないからキャンプセットも持ち合わせているしな。適当にモンスターを狩って換金できれば取り敢えずの通貨は手に入る筈だ。」
そう言って居ると、前方から青い体毛のオオカミの様な生物が五匹程やってくる。
「んお?あれはハイウルフか?AROの野獣の森のMOBだったよな?」
「……推奨レベルは12、既にレベル最大の500である我等にとっては倒す事など赤子の手を捻るより楽な作業であるな!!」
「ああ、だが、この世界の平均レベルが異常に高い可能性もある、気を引き締めてかかるぞ!!」
「応!!」
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