The Villain《ザ・ヴィラン》

PorkMan

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第一章

第一話・城塞都市ハルカゼ(4)

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商人から見られても違和感のないペースで走りながらも、ジャンヌはゼルクに声を掛ける。


「異世界の言語ってどうなってるんだろうな、ワンチャン言葉が通じない可能性って有り得るよな。」


「いや、自動翻訳システムがあるから言語の心配はしなくて良いのではないか?」


ゼルクのその言葉にジャンヌはハッとするが、すぐにまた疑問が湧いてくる。

「本当に異世界でも自動翻訳システムが機能するのか?」

「そこは賭けるしかないだろう、もうすぐ商人と出くわすぞ、気を引き締めろ友よ!!」

「わかっている。」

ジャンヌがそう言うと同時に、二人の雰囲気がガラリと変わる。そして、前方から馬車がやってくる。


すると、相当無理をしたのだろう、馬車の車輪が外れて馬車が止まってしまう。
商人らしき男は、走って向かってくる二人の男を見つけて、必死に助けを求める。


「たっ、助けてください!!ハイウルフの群れに追われているんです!!」


助けを求める商人を確認したジャンヌは、ゼルクにする。


「…………やれ…………。」


「……了解した……。」


ゼルクは、背中に背負っていた大剣と大盾を装備して、馬車を背に庇う様にどっしりと構える。

ハイウルフはその威圧感に気押されて警戒を露わにしてジリジリと詰め寄ってくる。


一方ジャンヌは、腰を抜かして動けない商人のに話しかける。


「ハイウルフは俺の騎士が相手をする、まあ、一掃する事など造作もないだろうがな……して、少年……助けてやるんだ、対価は払ってくれるのだろうな?」

「ヒッ!!…は、はい、ぼ、僕が出来る範囲ならば、何でも…。」

商人と思わしき少年は、ジャンヌの異様なオーラに若干怯えつつも、できる範囲ならば何でもすると対価を宣言した。

「よろしい、ならば交渉成立だ。対価は今にも一掃されそうな雑種を完全に殺し尽くしてからだ。」


「(は、ハイウルフを雑種呼び……とんでもない方と契約してしまった気がする……大丈夫かな僕、生きて帰れるだろうか………。)」


少年がそんな事を思っている間に、ハイウルフを一匹残らず虐殺したゼルクは、軽く大剣を振って血を落とし、再び大剣と大盾を背負う。


「御苦労、アヴェスター。」


「Yes my lord.」


ゼルクはジャンヌに臣下の礼をし、跪く。


「……楽にしろ。」


ジャンヌがゼルクにそう言うと、ゼルクは無言でジャンヌの斜め後ろに控える。


「して、少年、先程の契約だが、我々はハイウルフを討伐した、無論ハイウルフの素材わ我々の物だとして、対価の話としよう。」

「は、はい。」

「…我々は先程転移魔法の実験に失敗してこの草原に来てしまった訳だが、何分失敗するとは思わなかったのでな……身分証を置いてきてしまったのだ……よって、検問所で我々の身分を保証して欲しい、拒否権は無いし、出来ぬとは言わせんがな。」

ジャンヌのその言葉に、少年は驚いた様な顔をする。


「(え?な、なんだ……てっきり奴隷にでもされるのかと……。)は、はい!それぐらいならお安い御用です!!これでも僕はこの先の城塞都市ハルカゼでも一番栄えている商会の代表の息子なんです!!身分を保証するぐらいちょちょいのちょいですよ!!」


「(……この少年……さっきと少しテンション違わないか?……まあいいか。)では、壊れた馬車も追加で直しておこう(リペア修復っと。)。」


ジャンヌが魔法で壊れた馬車の車輪を一瞬で直した様子を見て、少年は驚きの声をあげる。


「む、無詠唱で魔法行使!?は、初めて見ました……そう言えば、高難易度魔法である転移魔法の実験をしていたと言っていたし……もしかして貴方様は高位の魔法使い様なのでしょうか……。」


「………(え?)」


興奮気味にそう行ってくる少年を前にして、ジャンヌは思考を放棄して唖然とするのであった。




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