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~山着~ 第二章 「マヨヒガ」 全八話
第三話 旅館
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・・・コン・・・コンッ、コンッコンッコンッ・・・・・・
助手席側のサイドガラスが叩かれる音で、あなたは目が覚めた。
意識がまだハッキリとしない中、外を見るともうあなたの恐怖である『闇』はすっかり掻き消えて明るみ、目の奥が痛むほどの陽光が刺さってくる。
直ぐにノックの音がした方を確認すると、中年の男性が心配そうにこちらを覗き込んでいた。
「・・・すいません、大丈夫ですか?」
外界から閉ざされた車内に、声が微かにそう聞こえてきた。
あなたはこの旅館の館主だと察し、少し急ぎめにフロントドアを開けて外へと出ては申し訳なさそうに男性の方へ向かった。
先ずは謝罪し、事情を説明してこの場所の利用と料金を払う意思を示した。男性はやはり館主兼オーナーだそうで、表情は無愛想だが悪い人では無かった。料金も本日からでいいと言ってくれたので、あなたはお返しのつもりで本日の入浴料金も一緒に支払わせてくれと嘆願する。
「・・・なら、受付まできて手続きをして下さい。・・・ああ、手続きと言ってもそれぞれの切符をお渡しするだけなんで」
館主は当旅館の入口へとあなたを誘導するように踵を返して歩いて行く。あなたはすぐに車へと戻り、財布が入っている鞄と車のキーだけを手にして後を追いかけました。
受付・・・のようなカウンターは無く、恐らく女将さんらしき人物が廊下からやってきた。館主さんとはご夫婦なのだろうか。旦那さん、館主さんとは違い愛想のいい笑顔と仕草であなたを迎え入れてくれます。
女将さんとの、ワックスが効いた木製のタイル貼り廊下でのやり取りで駐車券と入浴チケットを貰い、あなたは軽く会釈をして車へと戻りました。駐車券は毎朝、旅館へと購入しないといけないらしく数日や一週間というようにまとめ買いはダメだと言われ、駐車場の隅っこで風化した車を見ていたあなたは疑問に思うこともなく合点がいきました。
あなたは自分の車内へと乗り込む前に、なんとなく再度、隅っこのボロボロな車に視野を向けました。所どころ錆が見られ、タイヤも無くなりフロントガラスは割られていたのか、キレイに取り外され中が丸見え状態。ボンネットはへこみ、調子者の若者かなんかが花火でもして楽しんだかのような、何かが燃えた焦げ跡も散見される。前日は暗すぎてここまでボロボロだとは気付きませんでした。
苦虫を嚙み潰したような気分になりながら、運転席へと乗り込みあなたは車を走らせます。
助手席側のサイドガラスが叩かれる音で、あなたは目が覚めた。
意識がまだハッキリとしない中、外を見るともうあなたの恐怖である『闇』はすっかり掻き消えて明るみ、目の奥が痛むほどの陽光が刺さってくる。
直ぐにノックの音がした方を確認すると、中年の男性が心配そうにこちらを覗き込んでいた。
「・・・すいません、大丈夫ですか?」
外界から閉ざされた車内に、声が微かにそう聞こえてきた。
あなたはこの旅館の館主だと察し、少し急ぎめにフロントドアを開けて外へと出ては申し訳なさそうに男性の方へ向かった。
先ずは謝罪し、事情を説明してこの場所の利用と料金を払う意思を示した。男性はやはり館主兼オーナーだそうで、表情は無愛想だが悪い人では無かった。料金も本日からでいいと言ってくれたので、あなたはお返しのつもりで本日の入浴料金も一緒に支払わせてくれと嘆願する。
「・・・なら、受付まできて手続きをして下さい。・・・ああ、手続きと言ってもそれぞれの切符をお渡しするだけなんで」
館主は当旅館の入口へとあなたを誘導するように踵を返して歩いて行く。あなたはすぐに車へと戻り、財布が入っている鞄と車のキーだけを手にして後を追いかけました。
受付・・・のようなカウンターは無く、恐らく女将さんらしき人物が廊下からやってきた。館主さんとはご夫婦なのだろうか。旦那さん、館主さんとは違い愛想のいい笑顔と仕草であなたを迎え入れてくれます。
女将さんとの、ワックスが効いた木製のタイル貼り廊下でのやり取りで駐車券と入浴チケットを貰い、あなたは軽く会釈をして車へと戻りました。駐車券は毎朝、旅館へと購入しないといけないらしく数日や一週間というようにまとめ買いはダメだと言われ、駐車場の隅っこで風化した車を見ていたあなたは疑問に思うこともなく合点がいきました。
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