『Dystopia 25』 ~楽園~

シルヴァ・レイシオン

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Phase Ⅱ

Forestry

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 『悪魔の森Devil's Forest』はもはやウェルバーからすれば庭みたいなものだった。
 と言ってもこのコロニアから約半径100メートル範囲内での話であり、その線引きを越えると悪魔がやってくると言われている。
 その境界線には太古の先人が敷いた壮大で長い麻縄がぐるっと一周し繋がれて、その下には石と砂、土で積み上げられた堤防、つつみの土手が腰から肩ほどの高さで山になり、更に境界線を分かり易くしてくれている。
 最近ではその原始的な土手をもっと強固なレンガ式か、貴重ではあるが鉄製の骨組みを入れた壁にするかが各代表で話し合っている所だったが、第6コロニー代表だったチェバラが居なくなりその件もずっと保留状態になっている。

 ウェルバーはその境界線の土手の上を登り、考え事をしながらライトが待つ第6コロニーにのんびりと歩きながら帰っていた。チェバラが消えてからいつも恒例のようにそうしてる。もしかして、自分の親代わりだったチェバラが森へと逃げたならば、どこかでばったり会えるかもしれないという一縷の希望を込めて。

 今現在ウェルバーから見て左手には、木々が生い茂り数メートル先しか視認できない。右手には木々は点々として、左手の密林に比べれば少し歯抜け感がある。全コロニーが定めた量の伐採を守り、完全な更地してしまわないようにとルールに従って林業をしている結果だ。
 そもそも、衣服も家具といった必要な物ですら配給がされているので大掛かりな資源回収の必要もあまりないのだが、様々な儀式に使う物や子供のオモチャ、そして‟性の道具”といった生きるのに『必要では無い物』の支給、配給はないために、云わば人生を楽しむための道具を作るのに一定数の資源が必要になっている状態である。

 ウェルバーが少しだけこの仕事で納得していない事とは、自分が集めた資源を使って『拷問器具』を作っている輩も居てるという話を聞いたことがあることだ。
 レイアもいくつかの器具を所持していてその用途は罪人への罰での使用のみだそうだが、それでもそういった使い方ではなく趣味趣向にて使う人物も一定数いてるという事実に理解が出来ないでいた。
 そんな現実を知ってからは、今では幹を残した資材集めすら殆どしなくなりずっとチェバラ探しを毎日行っている。この際、森に住む者『Foresterフォレスター』にでも会ってしまってチェバラの目撃証言を聞きたいぐらいで、彼らに対する恐怖心は他の者とは違いとっくに消えている。なんとかなると、無根拠な動機が何故か支配していた。自分自身も同じく自然と森を愛している者が、中のセンターが言うような恐ろしい存在だとは到底思えなかった。


 鎖国した第8コロニーへの捜索は、オ―ヴェルがこのまま第6の代表になってくれれば何とかなるとう踏んでいた。
 例えそれでも侵入は出来ない可能性が高いが捜索願の提出ぐらいは出来ると、ウェルバーは考えていた。なので自分が出来ることの最大限であり最優先はこの森の捜索だと確信的な先見がある。それと万が一、チェバラ氏がフラっと第6へ帰って来た時の為にも、ライトは第6で残ってて貰わなければならなかった。捜索は自分の仕事だと痛感している。

 そいった自分の考えをライト、オーヴェルに話そうかどうかとずっと悩んではいた。特にライトにとってチェバラは実の親以上に親という認識が強く、変にウェルバーたちが騒ぎ立てると必要以上に心配をして心労が大きいと思い気にしていない風を装ってはいる。が、頭のいいライトは気づいていて、自分への気遣いですら察して自分も気にしていないフリをしているのが実際だった。

 ウェルバーにとっては唯一の家族であるライトを中心にずっと考えて行動をしてきた。だからこそ、親同等であるチェバラの捜索を最優先として、家を殆ど空けてでも見つけ出すつもりでずっと動いている。



「・・・よぉウェルバー!ちょっと手伝ってくれないか?」

 考え事をしながら歩いていたら、いつの間にか第4コロニーの森の管轄まで来ていた。
 そこで見知っていた第4の木こりに出会う。

「ああ、いいぜ。・・・わざわざこんな最西端の木を切り倒すのかい?持って帰るのが大変だろう?」

「なんかよぉ、俺んとこ第4でForesterフォレスターどもが本格的なデモしやがってな。コロニア周辺の木を集中して切るなってことになったんだよ。まったく、余計なことしやがって。フォレスト信仰に従事ている森の民達の住居の為とかプライバシーがどうこうってな。お互い今後の為に鎮静の条件としてそう決定したんだそうだ。だからわざわざここまで来ることになっちまった」

「マジかよ、大変だな」

「その内、コロニー全体への周知ルールとしてお前んとこにも通達がいくだろう。・・・あ、ちょっと、そっちから押してくれ!切り込み入れて‟追い口”してもなかなか倒れてくれないんだ!こっちからは紐を通して引っ張るからよ!」

「はいはい」
「「せーぇの!!」」


 ギリ・・・ミシミシミシ・・・バキバキバキバキバキ!


 木の柔軟性を越える程の方向きを入れ、10メートルはある高さの木が倒れていく。しかし、倒れる方向が森の境界線側へと倒れていった。


「ああああ!ヤバイ!そっちじゃねぇ!!」

 バキバキバキバキ!!!!


 木の上部分が境界線の向こうに聳え立つ木に引っ掛かり、完全に向こう側へ倒れずに済んだ。なんとか切り込んだ根本からこっちへ引っ張り込めば禁足地である境界線を越えて足を踏み入れずに済みそうだった。

「・・・でも、この状態じゃここで細切れにバラして持ち帰る訳にもいかないぜ?」

「そうだなぁ・・・ちょっとこいつをこっちへ引っ張ってこれる人員、呼んでくるわ。ありがとよ、ウェルバー。じゃあな」

「お疲れさん」
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