17 / 149
Phase Ⅲ
Savage Killing
しおりを挟む
ライトとウェルバーは翌朝、長老の死の報告を受ける。
昨日、二人が長老の元へとやってきていたことを目撃していた証言を元に、事情聴取という名目の第一容疑者としての目線を感じながらも事の経緯をウェルバーが、調査隊の隊長であるヘクトールと警備隊長であるオーヴィルの二人に話していた。
「・・・つまり、日が沈む前には長老の家から帰宅した、ということだね?」
「ああ。お前も知っているだろう?チェバラ先生が行方不明なんだ。そのことで長老とは定期的に情報交換をしていた。荒探しばかりしてないで、早く先生を見つけてくれよ調査隊長殿よ!」
「まぁまぁ、逆に目撃証言があるってことは、この二人は‟完璧な白”ってことは間違いないだろう?ヘクトールよ」
「・・・ああ。まぁ、現時点ではな」
ヘクトールはあからさまに納得がいかない顔を見せる。
ヘクトールの家系は長年この第6コロニーに代々暮らしているという生粋の”地元民”の血筋で、チェバラ氏がここにやって来なければヘクトールの親の代がここの代表になるはずだった。それをどこの馬の骨とも分からない‟落ちてきた上層の民”というだけで、当時は祭り上げて代表にしたことに親子共々、不満に思っている。チェバラの養子というライトとウェルバーへの‟アゲンストの風”当たりは子供の頃から激しく、何かと対立しつってかかってきたりもしていた。
事実的にはチェバラが当時の下層には無かった医療技術と知識によって、多くの人の命を救ったという経緯の功労が評価されたからではあるが代々からの血筋、家系によるこのコロニーへの貢献度の方が高いとヘクトール一家は考えている。実質や現実を、ずっと受け入れられないでいた。
しかし、長くこの地に居たということで多くの親族・親戚がこの第6に住んでいるために今のヘクトールの地位、調査隊長という立場でいられている。
敬虔なセンター教徒一族であり、その熱心な姿勢から多くの指示を古くから得ていて悪い意味で民主的に、敵に回したくない一家であり周囲の人の殆どが内心、その偉そうな態度の一家を煙たがっていはるものの表面的には良い顔を見せている。
ウェルバーは昔から何かとライバル視してくるヘクトールにはウンザリしていて、第6では唯一といっていい反発者だった。
「あ、あの・・・で、長老はどうなったのですか?」
ライトが半泣きの状態でこの殺伐とした空気を切るかのように、疑問を投げかける。
「・・・ああ、えっと、言いにくいんだが、酷い有様だったよ。恐らくはForesterの仕業だと推測している」
オーヴィルがその空気を読むかのように答えた。
「・・・Proberとか言う奴らも居ると聞いたが」
「おお、よく知っているな、ウェルバー。奴らは捕食と自己顕示欲などを満たすために食い殺すのが目的だ。しかし長老は、殺すことが目的として殺されている。目的と主旨が違う気がするんだ」
「現場はまだ保存されているのか?」
「・・・いや、長老に遺族は居ないしなぜか遺体は早々と埋葬される手筈となったよ」
そう言いながら、オーヴェルはヘクトールの方へ背後から視線を送る。それに何かの意思と意図をウェルバーは感じた。
「・・・そうか。もう、ライトと二人にしてくれないか?俺たちにとって長老とは、先生の次に懇意にしてくれた人だったんだ。だから・・・・・・」
「OK、すまなかったな。行こう、ヘクトール。血の固まり具合からして犯行は深夜から明朝だ。彼らが白なのは動機からも証言からも明白だよ」
ヘクトールは無言で立ち去る。
オ―ヴェルはいつもとは似合わず、他人行儀に黙祷をするかのように一礼をしてから去って行った。
「・・・兄さん、まさか・・・・・・」
「まだ詳細が全然、分かっていない。なんとも判断がし難いな」
「長老・・・うっ、うう・・・・・・」
ライトは我慢していた悲しみを露わにしていく。
「ライト・・・仇は、必ず取ってやろう。相手が誰だろうとな・・・・・・」
昨日、二人が長老の元へとやってきていたことを目撃していた証言を元に、事情聴取という名目の第一容疑者としての目線を感じながらも事の経緯をウェルバーが、調査隊の隊長であるヘクトールと警備隊長であるオーヴィルの二人に話していた。
「・・・つまり、日が沈む前には長老の家から帰宅した、ということだね?」
「ああ。お前も知っているだろう?チェバラ先生が行方不明なんだ。そのことで長老とは定期的に情報交換をしていた。荒探しばかりしてないで、早く先生を見つけてくれよ調査隊長殿よ!」
「まぁまぁ、逆に目撃証言があるってことは、この二人は‟完璧な白”ってことは間違いないだろう?ヘクトールよ」
「・・・ああ。まぁ、現時点ではな」
ヘクトールはあからさまに納得がいかない顔を見せる。
ヘクトールの家系は長年この第6コロニーに代々暮らしているという生粋の”地元民”の血筋で、チェバラ氏がここにやって来なければヘクトールの親の代がここの代表になるはずだった。それをどこの馬の骨とも分からない‟落ちてきた上層の民”というだけで、当時は祭り上げて代表にしたことに親子共々、不満に思っている。チェバラの養子というライトとウェルバーへの‟アゲンストの風”当たりは子供の頃から激しく、何かと対立しつってかかってきたりもしていた。
事実的にはチェバラが当時の下層には無かった医療技術と知識によって、多くの人の命を救ったという経緯の功労が評価されたからではあるが代々からの血筋、家系によるこのコロニーへの貢献度の方が高いとヘクトール一家は考えている。実質や現実を、ずっと受け入れられないでいた。
しかし、長くこの地に居たということで多くの親族・親戚がこの第6に住んでいるために今のヘクトールの地位、調査隊長という立場でいられている。
敬虔なセンター教徒一族であり、その熱心な姿勢から多くの指示を古くから得ていて悪い意味で民主的に、敵に回したくない一家であり周囲の人の殆どが内心、その偉そうな態度の一家を煙たがっていはるものの表面的には良い顔を見せている。
ウェルバーは昔から何かとライバル視してくるヘクトールにはウンザリしていて、第6では唯一といっていい反発者だった。
「あ、あの・・・で、長老はどうなったのですか?」
ライトが半泣きの状態でこの殺伐とした空気を切るかのように、疑問を投げかける。
「・・・ああ、えっと、言いにくいんだが、酷い有様だったよ。恐らくはForesterの仕業だと推測している」
オーヴィルがその空気を読むかのように答えた。
「・・・Proberとか言う奴らも居ると聞いたが」
「おお、よく知っているな、ウェルバー。奴らは捕食と自己顕示欲などを満たすために食い殺すのが目的だ。しかし長老は、殺すことが目的として殺されている。目的と主旨が違う気がするんだ」
「現場はまだ保存されているのか?」
「・・・いや、長老に遺族は居ないしなぜか遺体は早々と埋葬される手筈となったよ」
そう言いながら、オーヴェルはヘクトールの方へ背後から視線を送る。それに何かの意思と意図をウェルバーは感じた。
「・・・そうか。もう、ライトと二人にしてくれないか?俺たちにとって長老とは、先生の次に懇意にしてくれた人だったんだ。だから・・・・・・」
「OK、すまなかったな。行こう、ヘクトール。血の固まり具合からして犯行は深夜から明朝だ。彼らが白なのは動機からも証言からも明白だよ」
ヘクトールは無言で立ち去る。
オ―ヴェルはいつもとは似合わず、他人行儀に黙祷をするかのように一礼をしてから去って行った。
「・・・兄さん、まさか・・・・・・」
「まだ詳細が全然、分かっていない。なんとも判断がし難いな」
「長老・・・うっ、うう・・・・・・」
ライトは我慢していた悲しみを露わにしていく。
「ライト・・・仇は、必ず取ってやろう。相手が誰だろうとな・・・・・・」
3
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる