『Dystopia 25』 ~楽園~

シルヴァ・レイシオン

文字の大きさ
48 / 149
Phase Ⅶ

Colony Ⅰ 【Residence】

しおりを挟む
 ウェルバーは静かに後ずさり、まだ意識が無いフォレスターの子を抱きかかえ周囲をまるで猫科の動物のように警戒する。
 ライトが言っていた右側、第8コロニー側の壁へと急いで向かい合流を急ぐ。この状況ではライト達の安否が気がかりで仕方が無かった。



「・・・あまり中央へは行かない方がいいよね」

「そうですね。基本的にタワー周辺の中央エリアは、例えここが廃れたとはいえ他コロニー同様Centerセンター教が占めていると思われます。私たち、特にライト様お二人の手配情報が回っている危険もありますし、ウェルバー様が言うように遊牧民ノーマッド達と出会う目的も含めて、外周付近に陣取った方がいいかもしれません」

「でも、私たちが簡単にここへ入って来れたように外側、森からどちらかの追手が来ないとも限りませんよ」

「そうだね。それに、レイアさん達との合流もしなきゃいけないし・・・『見張り』『治療』『調達』『捜索』の内、今は治療と調達に専念するしかないね」

「あの・・・万が一、もしかしてですけど、中にいるとタワー中央からと外からと、挟み撃ちにされてしまうのでないでしょうか・・・・・・」

「確かに、それが最悪のシナリオだね。んー・・・あの子、Foresterフォレスターの子はやっぱり、ある程度の回復が見込めれば早めに森へと帰した方がいいってことになるね」

「問題は、それまでの間をどうするか、ですよ」

「じゃあ、最北端の外周に、ちょっと面倒だけど廃材を集めて僕らの新たな雨風ぐらい凌げる程度の家屋を作って、必ず一名はさっき僕らが扉を開けた外周の高台で見張りを立てつつ少年の回復を待とう。そうすれば、なんとか追手がきても直ぐにまた森へと逃げられるよ。・・・あと・・・・・・」

「??どうされました?」

「うん、もしも・・・だけど、僕の甘い考えだと思うけどあの子、僕たちは結果的にフォレスターの子を救出した訳だからあの子を通じて何とかフォレスターの仲間にしてくれれば、本当の一安心かな、ってのもあるかなぁみたいな」

「ええ?!・・・ちょっと、それは・・・・・・」

 パメラとセーラは一応に、従順なセンターの教えが刷り込まれているので対立するフォレスターには自然と抵抗感を示す。

「あ、そっか・・・二人は僕らとは違い、第2と第3のリベラル派、保守過激派から逃げておけばいいだけであってセンター教は危険では無いんだっけ」

「・・・いえ、ライト様たちから聞いた話で、センターに携わっていた私はその背景に推測と心当たりを感じます。たまたま第3だけが火種の種類が違っただけで、第2第4への‟”が私たち第3女性陣だけで行われたと考える方が不自然です。そこにセンター教という大きな力が関わっているとすると、私たちもセンターの情報網にリスト入りしている頃でしょう。両手離しで安全とは言い切れません」

「だったら、まぁ直ぐにとは言わないけど、森へ、フォレスター達と和解しなきゃならない場合もあるから心構えだけは念頭に入れておいて。どうなるかは分からないから強制はできないけど・・・オーヴェルっていう、兄さんと同じぐらい強くて頭のキレる人が第6に居るんだ。状況が落ち着いたら彼と接触してみんなが安全な場所を確保してくれるよ。それまでの辛抱だと僕たちは考えているから、それまでの時間が稼げればなんとか・・・・・・」
しおりを挟む
感想 38

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

サイレント・サブマリン ―虚構の海―

来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。 科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。 電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。 小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。 「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」 しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。 謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か—— そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。 記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える—— これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。 【全17話完結】

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...