『Dystopia 25』 ~楽園~

シルヴァ・レイシオン

文字の大きさ
52 / 149
Phase Ⅶ

Addiction

しおりを挟む
 食料品はなかなか見つからなかった。

 今後の籠城か逃亡、どちらにしても長期的な対策が必要なために缶詰や干し肉、干物といった代物が欲しかった。危険を覚悟しながら数件の家へ侵入してみたが、腐った肉や果物、カビたパン類しか無い。足が速い物の殆どはもうダメになっている。

 二人は危険だがもう少しタワーへ、中心部へと行くことにした。



 ここのプローバーには「段階」がある。
 それは合成麻薬である『Z Saltsジー ソルト』の乱用レベルで区切ることが出来る。

・第1Phase
 目的の為に接種する。
 医療時の麻酔や死に際の痛みを和らげるために使うのが基本だが、性行為や決闘、現実逃避としての手段として使いまだ自身をコントロール出来ている状態。

・第2Phase
 手段が目的となる。
 高揚感、鎮静感、無気力、無思考を目的とし、常習としてルーティンとなる。打っていないと不安、恐怖、危機感や違和感となり通常の状態ではストレスを感じる。この時点で既に依存状態。

・第3Phase
 脳や身体が慣れてくる。
 乱用しても直ぐにシラフとなり、更なる効果を求めてしまい禁断症状が酷く攻撃性が増し「合成品」に手を出してしまう。合成品は初期の高揚感を再現できるが、効能時間が極端に短い。

・第4Phase
 ここで更に分岐する。

 ⑴寝ている間も薬を欲しがるようになり、ODオーバードーズし死に至る。

 ⑵攻撃性を誘発し、ドーパミンやアドレナリンに相互作用する。

 ⑶自傷性を誘発し、セロトニンやオキシトシン、ノルアドレナリンに相互作用する。

 ⑷捕食性を誘発し、エンドルフィンに相互作用する。その期間が長いと「ヤコブ病」「プリオン病」などを併発し廃人と化す。


 ゾンビのように彷徨える廃人となるのが第4Phase-⑷

 ⑷を襲い狂い殺したのが第3Phaseから第4Phase-⑵



 メインストリート通り沿いには家が連続して建ち並んでいる。大小はバラバラだが先ほどのプローバー第4Phase-⑵達の真似をして、建物の天井から移動することにしたライトとウェルバー。
 4-⑵『狂えるプローバー』達は一人ひとりが松明を持ち、手あたり次第に暴力、殺し、犯し、壊すことを楽しんでいる。目標が被った時にだけ連携し、悦楽を共有しているだけでチーム、組織的とは言えなかった。

 4-⑷『彷徨うプローバー』は自らの脳も穴が開き、知的思考力は著しく低下していて大半は反射反応的に行動するため、対峙するなら知能が残る4-⑵の方が厄介だが、敵が持つ灯りの目印があるような夜の今は回避しやすい。


 屋根を伝いながら、タワーの根回りが確認できる所まで二人は到着した。
 そこで見たものは、二人の想定を遥かに凌駕するものであった。
しおりを挟む
感想 38

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

サイレント・サブマリン ―虚構の海―

来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。 科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。 電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。 小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。 「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」 しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。 謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か—— そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。 記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える—— これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。 【全17話完結】

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...