『Dystopia 25』 ~楽園~

シルヴァ・レイシオン

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Final Phase 

??? Woke

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 ライトは静かに、目が覚める。
 目には涙を流していて、頬が濡れている。
 蹲るような体勢で横になって、さっきのが夢であったことに少し安心した。


 硬い材質の、そして冷たい台座のような場所でライトは寝かされていた。
 その部屋は光沢のいい床や壁で、ライトは見たことも無い材質の床タイルと真っ白い壁だった。
 その‟手術台”からライトは降りて不安だらけの中、周囲を見渡す。ここはどこだ、これらはなんだと、分からない事だらけだった。


 ライトが寝かされていた台の足元には様々な工具が置かれていた。
 ライトはその一つを手にして、武器になりそうな小さなナイフを選ぶ。
 すると、ライトの手はあっさりと切れてしまった。

「痛っ・・・・・・」

 なんて切れ味のナイフなんだと、ライトは驚いた。小さな刃先の割にここまで鋭利な物は初めてだった。
 切れて血が少し溢れだし、それを拭おうとしてそこでライトは自分が一糸まとわぬ姿であることに気が付く。

 衣服を探そうと、扉らしく真っ白な壁を切り抜いたような部分がありそこに向かう。

 その扉はコロニアの上層階やCSタワー内にあった扉に似ていた。

 コロニア下層階の殆どの家屋はそもそもに扉や窓は無く、あったとしても藁を編んだ簡易な物か各代表ランクの人々が住む屋敷では木で組まれ、内部から木杭で施錠する形式だった。

 ライトは「ドアノブ」という物だとヨハンナから教わり、知っていたので回して開けてみる。
 しかし押すも引くもその扉は開かない。
 スライドさせたり上へと上げようとしてもダメだった。

 諦めて、記憶を辿る。

 監獄エリア・第8コロニーに収監されていた多くの犯罪者や反逆者がコロニー内にて複雑化し、次々に気が狂いプローバー化していた。
 自分達は誤解からセンター教に暗殺されかけて、故郷である第6コロニーから逃げ出しチェバラ捜索も含め、第3へ行き、第1へと行き移住しようと試みていた。
 第1にたまたまやってきた自分達が、第8から溢れ出たプローバー集団に追われるようにして森へと行き、第2コロニーのパメラの父であるマイオス将軍に上層階へと行けと命じられる。チェバラは上へ行ったというのと、マイオスの願いとして何らかの支援、もしくは上層民からもプローバー対策として邪魔をしないで欲しいという伝達も込めての行動だった。

 上層階で出会ったチェバラの娘というヨハンナの手引きにより、自分は気球・モンゴルフィエ号でコロニア界を脱出。その理由に一つはチェバラも神鳥に乗ってコロニア界から出たという。
 それを追うためと、下から上層階へと侵入してきた大量のプローバーから逃げるようにして、そして・・・・・・

 ライトはその後、自分がプローバーに噛まれて何らかの病気に罹ったことを思い出した。
 噛まれた左腕を確認すると、包帯が巻かれただけの状態で触っても痛くもなんとも無くなっている。

 誰かが治療してくれた。
 つまり、ここに誰かが居ることだということだ。

「・・・あのー、すいません!誰か居ませんか?!」

 掠れた声は空しく清潔感が漂う真っ白の壁に吸収されるだけだった。
 ライトはその壁に触ってみると、タワーの壁に感触は似ていた。タワーの壁は灰色でここの壁は白色。見た目は違えど材質や製造工程なんかは同じなようにライトは感じた。

 部屋の端っこ、その天井部に見たことがある物が設置されていた。それはウェルバーが持ち帰ってきた黒い大きな目の物体と似ていて、上層階の屋上の下へと繋がる階段の各入口に在った「カメラ」という物ではないかと、ライトはそれを凝視し続けた。
 腕を上げて手を振り、その黒いものに向けて声を掛けるもなんら回答も返答も無く、ただ静寂が続く。
 虫の声も、小鳥の囀りも、風が木々の草木を撫でる葉擦れの音すらも聞こえない、本当の静寂がここに在る。

 ライトはその静寂を気にしだすと、頭が変になりそうだった。
 自分の心臓の音や息づかい、血流の音も筋肉や骨の音がこんなにも五月蠅うるさいものなのかと、初めて知らされる。


 ドン!、ドン!、ドン!、ドン!・・・・・・


 ライトは扉を叩き続ける。
 それは外部への合図だけでなく、この静寂から逃れるためでもあった。

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