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医学部へ入るための勉強のコツ
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「それで、あ~、どんな科目でもそうだが、特に理科や数学は…ああ、まだおまえさんたちの場合は算数だな。まあ、いずれにしてもそういう科目は、しっかりと基礎から理解して先へ進むものなのだ」
「へぇ~」
「つまり、基本的なことをしっかり理解してから次の段階へ進む。これはピラミッドを築いていくようなものだ」
「ピラミッド?」
「しっかりと基礎を作って、その上に積み上げていくいうことだ」
「そうなんだ」
「それをまともに理解せずに直前になって『丸暗記』なんかをやって、目の前の試験だけをやりすごそうとしても、そのあと何にも残らないのだ。そういうものは『砂の城』のようなものだ」
「砂の城?」
「お砂遊びをするような砂場の上に、お城を築いてもしょうがないだろう」
「そんなのすぐに崩れちゃう?」
「そうだ。しかしたいていの連中は、そうやって失敗しておる」
「砂場でお城を作るのに?」
「いやいや、これはたとえ話だ」
「つまり、勉強の要領を教えていただくためのたとえ話でしょ」
「そうそう。亜里沙ちゃん賢いね」
「そりゃ、ぼくの妹だもん♪」
「あ~、それでだな。城でもピラミッドでも頑丈な土地がいる。そこにがっちりとした基礎を作り、その上に立派な城を築く。あるいは立派なピラミッドを築くんだ」
「ねえねえ、茶トラ先生。これ、勉強の話じゃなかったの? ピラミッドの話だったら、ぼく、ミイラが出そうで怖い」
「ミイラ? いやいやこれはたとえ話だといっただろう。ミイラは関係ないから心配するな。で、勉強で言えば、とにかく頑丈な基礎の上に高度な知識を築いていくんだ。これが勉強の要領だ」
「へぇ~」
「つまり基礎からしっかり理解して、十分になっとくしてから先へと進むのですね」
「そうだそうだ。亜里沙ちゃん、よく分かってるね」
「そりゃ、ぼくの妹だもん♪」
「まあつまりだな、まず完全に理解すること。それが最優先なんだ。たとえそれで学校の試験なんかで多少間に合わなくなったとしても、それはやむをえんと思え」
「ひどい点を取っても?」
「ひどい点は取りたくないだろうが、しかしそれより大切なことがあるからだ」
「何?」
「だから、しっかりと基礎からやる! とにかく丸暗記でやり過ごそうとしても、それでは何も残らない」
「茶トラ先生、それはさっき言ったよ。何も残らない話。つまり砂の城だろう?」
「おお、そうだそうだ。歳をとるとつい同じことを言ってしまう」
「だけど、丸暗記したほうが手っ取り早くいい点が取れるかもよ」
「たしかにそのときはな。だが、たとえいい点がとれたとしても、何も残らなければ…つまり試験が終わったら暗記したことを全て忘れてしまえば、元も子もない」
「うーん…、それはそうだね」
「ところが、基礎からしっかり理解して先へ進むという習慣をつけると、素晴らしいことが起こるんだ」
「どんな素晴らしいこと?」
「学年が進むにつれて、じわじわと成績が伸びてくるんだ!」
「へぇ~」
「その一方、丸暗記だけでやっている子は、中学、高校と進むにつれて、習う内容が高度になればなるほど伸び悩む。これでは将来大きな差がついてしまう」
「そんなに大きな差に?」
「そうだ。だからたとえ大学入試で失敗して浪人することになったとしても、基礎からしっかりやっている子は、浪人してからもどんどん伸びる。たとえ何年か浪人したとしても、いつかは難関の、つまり、難しい大学にもきっと合格できるはずなんだ。しかも大学へはいってからもどんどん伸びる」
「すげえ!」
「それじゃ、茶トラ先生、私も医学部に合格できるでしょうか?」
「きちんと基礎からやっておけば、いつかきっと合格すると思うよ」
「わかりました」
「ああ、それともうひとつ。もうひとつ大切なことがあるんだ」
「何?」
「試験が終わったら、その問題を完璧に出来るように復習することだ。完璧にだぞ。そしてそれにいくら時間が掛かってもかまわない。とにかく完璧に理解することだ」
「へぇ~」
「そしてそういうことを続ければ、お前さんたちが中学、高校、そして大学と進むにつれ、どんどん成績が伸びてくる…、おやおや、成績が伸びるという話はさっきやったな。とにかく伸びるんだ。そして最後はきっと大人物だ。わっはっは!」
「わっはっは? だけどそうなんだね。つまり伸びる伸びるで大人物! すげえ!」
「まあとにかく、今わしが言ったそういう考えが、びっしりこのノートに書いてあるから、亜里沙ちゃんはこれを持って帰りなさい」
「いいんですか、もらっても?」
「もちろんだ。イチロウも見ていいんだぞ」
「了解!」
「茶トラ先生、本当にありがとうございます」
「まあとにかく頑張って、で、亜里沙ちゃんは、立派なお医者さんになってほしいんだ。それも出来たら、あ~、内科のお医者さんがいいかな」
「でも、どうして私にそんなことを?」
「今は、『ある人の命がかかっているから』とだけ言っておく」
「命?」
「そうだよ。ある人の命がかかっているんだ。だから勉強がんば!」
「イチロウ、お前さんもだな。そのノートはお前さんもよく見るんだぞ」
「は~い」
「そうそう、それから亜里沙ちゃん。実は、三十六歳くらいになったら大学病院の内科で働いていてくれないか?」
「三十六歳で? どうしてですか?」
「それは…、少し訳ありなんだ」
「訳あり?」
「それは茶トラ先生が何かたくらんでいるからだよ。だけど茶トラ先生はいい人だから安心しな。神に誓って、悪だくみなんかじゃないから」
「ええ…、わかりました。なるべくそうするようにします」
「よし。それじゃ二人とも、これから勉強で分からないことがあったらいつでもおいで。わしが何でも教えてやる。こう見えてもわしは勉強だけが取り柄だからな」
「茶トラ先生は空手もすごいじゃん!」
「それもそうだな。まあいい。それじゃがんばって」
「ありがとうございます」
「それじゃ今夜は二人とも帰りなさい」
「はい。おやすみなさい」
「おやすみ」
「そうそう。イチロウ、お前さんは明日学校から帰ったら、うちへおいで。やることがある」
「そうだよね。じゃ、明日ね」
「へぇ~」
「つまり、基本的なことをしっかり理解してから次の段階へ進む。これはピラミッドを築いていくようなものだ」
「ピラミッド?」
「しっかりと基礎を作って、その上に積み上げていくいうことだ」
「そうなんだ」
「それをまともに理解せずに直前になって『丸暗記』なんかをやって、目の前の試験だけをやりすごそうとしても、そのあと何にも残らないのだ。そういうものは『砂の城』のようなものだ」
「砂の城?」
「お砂遊びをするような砂場の上に、お城を築いてもしょうがないだろう」
「そんなのすぐに崩れちゃう?」
「そうだ。しかしたいていの連中は、そうやって失敗しておる」
「砂場でお城を作るのに?」
「いやいや、これはたとえ話だ」
「つまり、勉強の要領を教えていただくためのたとえ話でしょ」
「そうそう。亜里沙ちゃん賢いね」
「そりゃ、ぼくの妹だもん♪」
「あ~、それでだな。城でもピラミッドでも頑丈な土地がいる。そこにがっちりとした基礎を作り、その上に立派な城を築く。あるいは立派なピラミッドを築くんだ」
「ねえねえ、茶トラ先生。これ、勉強の話じゃなかったの? ピラミッドの話だったら、ぼく、ミイラが出そうで怖い」
「ミイラ? いやいやこれはたとえ話だといっただろう。ミイラは関係ないから心配するな。で、勉強で言えば、とにかく頑丈な基礎の上に高度な知識を築いていくんだ。これが勉強の要領だ」
「へぇ~」
「つまり基礎からしっかり理解して、十分になっとくしてから先へと進むのですね」
「そうだそうだ。亜里沙ちゃん、よく分かってるね」
「そりゃ、ぼくの妹だもん♪」
「まあつまりだな、まず完全に理解すること。それが最優先なんだ。たとえそれで学校の試験なんかで多少間に合わなくなったとしても、それはやむをえんと思え」
「ひどい点を取っても?」
「ひどい点は取りたくないだろうが、しかしそれより大切なことがあるからだ」
「何?」
「だから、しっかりと基礎からやる! とにかく丸暗記でやり過ごそうとしても、それでは何も残らない」
「茶トラ先生、それはさっき言ったよ。何も残らない話。つまり砂の城だろう?」
「おお、そうだそうだ。歳をとるとつい同じことを言ってしまう」
「だけど、丸暗記したほうが手っ取り早くいい点が取れるかもよ」
「たしかにそのときはな。だが、たとえいい点がとれたとしても、何も残らなければ…つまり試験が終わったら暗記したことを全て忘れてしまえば、元も子もない」
「うーん…、それはそうだね」
「ところが、基礎からしっかり理解して先へ進むという習慣をつけると、素晴らしいことが起こるんだ」
「どんな素晴らしいこと?」
「学年が進むにつれて、じわじわと成績が伸びてくるんだ!」
「へぇ~」
「その一方、丸暗記だけでやっている子は、中学、高校と進むにつれて、習う内容が高度になればなるほど伸び悩む。これでは将来大きな差がついてしまう」
「そんなに大きな差に?」
「そうだ。だからたとえ大学入試で失敗して浪人することになったとしても、基礎からしっかりやっている子は、浪人してからもどんどん伸びる。たとえ何年か浪人したとしても、いつかは難関の、つまり、難しい大学にもきっと合格できるはずなんだ。しかも大学へはいってからもどんどん伸びる」
「すげえ!」
「それじゃ、茶トラ先生、私も医学部に合格できるでしょうか?」
「きちんと基礎からやっておけば、いつかきっと合格すると思うよ」
「わかりました」
「ああ、それともうひとつ。もうひとつ大切なことがあるんだ」
「何?」
「試験が終わったら、その問題を完璧に出来るように復習することだ。完璧にだぞ。そしてそれにいくら時間が掛かってもかまわない。とにかく完璧に理解することだ」
「へぇ~」
「そしてそういうことを続ければ、お前さんたちが中学、高校、そして大学と進むにつれ、どんどん成績が伸びてくる…、おやおや、成績が伸びるという話はさっきやったな。とにかく伸びるんだ。そして最後はきっと大人物だ。わっはっは!」
「わっはっは? だけどそうなんだね。つまり伸びる伸びるで大人物! すげえ!」
「まあとにかく、今わしが言ったそういう考えが、びっしりこのノートに書いてあるから、亜里沙ちゃんはこれを持って帰りなさい」
「いいんですか、もらっても?」
「もちろんだ。イチロウも見ていいんだぞ」
「了解!」
「茶トラ先生、本当にありがとうございます」
「まあとにかく頑張って、で、亜里沙ちゃんは、立派なお医者さんになってほしいんだ。それも出来たら、あ~、内科のお医者さんがいいかな」
「でも、どうして私にそんなことを?」
「今は、『ある人の命がかかっているから』とだけ言っておく」
「命?」
「そうだよ。ある人の命がかかっているんだ。だから勉強がんば!」
「イチロウ、お前さんもだな。そのノートはお前さんもよく見るんだぞ」
「は~い」
「そうそう、それから亜里沙ちゃん。実は、三十六歳くらいになったら大学病院の内科で働いていてくれないか?」
「三十六歳で? どうしてですか?」
「それは…、少し訳ありなんだ」
「訳あり?」
「それは茶トラ先生が何かたくらんでいるからだよ。だけど茶トラ先生はいい人だから安心しな。神に誓って、悪だくみなんかじゃないから」
「ええ…、わかりました。なるべくそうするようにします」
「よし。それじゃ二人とも、これから勉強で分からないことがあったらいつでもおいで。わしが何でも教えてやる。こう見えてもわしは勉強だけが取り柄だからな」
「茶トラ先生は空手もすごいじゃん!」
「それもそうだな。まあいい。それじゃがんばって」
「ありがとうございます」
「それじゃ今夜は二人とも帰りなさい」
「はい。おやすみなさい」
「おやすみ」
「そうそう。イチロウ、お前さんは明日学校から帰ったら、うちへおいで。やることがある」
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