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鉄板の替え玉作戦、そして…
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するとデビルのお父さんはしばらくしてから気合が抜け、それで茶トラ先生はデビルに「トランクを持っていろ」と言って、デビルのお父さんから奪ったトランクを渡し、そしてお父さんをどこかへ、ずりずりと引きずっていった。
それでぼくが見ていると、茶トラ先生は廊下の向こうにある、外の景色が見渡せるような、ホテルの窓際のソファーにデビルのお父さんを座らせ、また速攻で戻ってきた。
「人に見られても、酔っぱらって寝ていると思うだろう。だがクロロフォルムの効果は五分くらいだから、その間にケリを付けよう」
「ケリ? 誰かに蹴りを入れるの?」
それからデビルだけサングラスを取り、ぼくらはサングラスを付けたまま、茶トラ先生はそのドアをノックした。
するとデビルのお父さんと同じくらいの歳で、茶髪で、イヤリングをして、首にいくつも金のネックレスをして、腕に高級時計とじゃらじゃらしたアクセサリーを付けて、タバコ臭くて香水臭くて、いかにもうさんくさそうな、ペテン師風の男が偉そうな顔でドアを開けた。
それから三人で部屋の中へ入り、そして茶トラ先生はいきなり、
「あ~、私はここにおられる田中さんの代理人弁護士だ。件の投資話はきっぱりとお断りする!」と言うと、そのペテン師はデビルを見て、
「まあまあそうおっしゃらずに。なあ、田中さん。あんたとは長い付き合いじゃないか。あんたには色々世話もやいてあげたし…」と、だらだらと、延々と、ねちねちと、いろいろ言い続けたので、茶トラ先生はそれを遮り、
「とにかく! この話は明確にお断りだ!」と言うと、突然そのペテン師の顔色が変り、そしてデビルに向かって、
「おい田中! ぜんぜん話が違うじゃねえか。お前この前はっきりと、契約すると言ったじゃねえか。ああ? おまえおれをなめてんのか? おい! おまえこのままですむと思ってんのか? ああ? このやろう! いいからさっさとその金をおれによこしなって!」と言って、デビルからトランクを奪おうとして、それでデビルとペテン師はもみ合いになった。
だけどデビルだってケンカは強いし、ぼくだって空手習ってるし(そこがぼくの役目だったらしい)、それでぼくらがその男に豪快に応戦していたら、いきなり茶トラ先生が、ペテン師の顔面に豪快に正拳付きを食わせた。
それからペテン師がひるんだすきに、今度は茶トラ先生は、ペテン師の股間に、豪快に前蹴りをお見舞いした。
とにかくそれで「ケリ」がついたようだ。
それからペテン師は、床にえびのようにうづくまり、そのまま動けなくなったんだ。
茶トラ先生は、
「股間を蹴れば死ぬほど痛いが、こいつが死ぬことはない」と言って、それからテーブルにあった投資契約書をわしづかみにしてポケットへ入れ、
「ずらがるぞ!」と言ってからドアを開け、デビルは速効でサングラスを掛け、そしてみんなで廊下に出た。
それからデビルはごろごろとトランクを引きずりながら、みんなでデビルのお父さんのところへ行き、茶トラ先生は気付け薬で、デビルのお父さんをきれいに復活させた。
そしてまだぼーっとしているうちに、これまた茶トラ先生は、「ずらがるぞ!」と言って、それでデビルはまたまたごろごろとトランクを引きずりながら三人で廊下を走り、エレベーターに乗り、ロビーに出た。
それからはロビーで、ソンブレロを被って偵察中の未来の茶トラ先生に目配せしてから、三人とも何食わぬ顔で普通に歩いてホテルを出た。
そして、何食わぬ顔で駐車場のスワンボートに乗り、もちろんデビルはお金の入ったトランクも乗せ、それから速攻で垂直上昇して、ホテルの駐車場を後にした。
それからあっというまに茶トラ先生の実験室へ戻り、タイムエイジマシンで時間を戻り、ぼくらは防護服を着て元の歳に戻った。
「これで一段落だ。わしらが田中君の親父さんからお金を奪った以上、もう親父さんは、いかさま投資契約を結びようがない。あの男は、親父さんから現金を手に入れるのが目的だったのだ」
「だけどあのペテン師の野郎、おれの父ちゃんにまた付きまとわねえかな?」
「あれだけ酷いめに遭わされたんだ。もうびびってるだろう。ああいうちゃらちゃらした奴は、案外意気地無しだ。それにこれからも、未来のわしなんかがいろいろ対応出来る」
「ソンブレロ被ってた未来の茶トラ先生だね」
「それになんせこちらには、タイムエイジマシンがある。だからわしと、いろんな未来のわしのネットワークで、奴の行動は全部わしらに筒抜けだ。だからこれからも、いくらでも対応してやるよ」
「そうだよね。未来の茶トラ先生も空手、炸裂させるかもね。それにいざとなれば、クロロ何とかと羽交い絞めで奴を「逮捕」して、それからタイムエイジマシンで過去へ放り込むって手もあるよね。だいたいあんな奴、過去で永遠にシカトされればいいんだよ」
「ともあれこれで一件落着だな」
「ところでこのお金、どうするの?」
「そうだぜ。大金どうしよう」
「まだよく考えてないが、わしが思うに、田中君の将来のためと、そして、これから生まれるであろう田中浩二君の、将来の学費として、大切にとっておくのがいいだろう」
デビルSOS 完
次回から新しいエピソードへ
それでぼくが見ていると、茶トラ先生は廊下の向こうにある、外の景色が見渡せるような、ホテルの窓際のソファーにデビルのお父さんを座らせ、また速攻で戻ってきた。
「人に見られても、酔っぱらって寝ていると思うだろう。だがクロロフォルムの効果は五分くらいだから、その間にケリを付けよう」
「ケリ? 誰かに蹴りを入れるの?」
それからデビルだけサングラスを取り、ぼくらはサングラスを付けたまま、茶トラ先生はそのドアをノックした。
するとデビルのお父さんと同じくらいの歳で、茶髪で、イヤリングをして、首にいくつも金のネックレスをして、腕に高級時計とじゃらじゃらしたアクセサリーを付けて、タバコ臭くて香水臭くて、いかにもうさんくさそうな、ペテン師風の男が偉そうな顔でドアを開けた。
それから三人で部屋の中へ入り、そして茶トラ先生はいきなり、
「あ~、私はここにおられる田中さんの代理人弁護士だ。件の投資話はきっぱりとお断りする!」と言うと、そのペテン師はデビルを見て、
「まあまあそうおっしゃらずに。なあ、田中さん。あんたとは長い付き合いじゃないか。あんたには色々世話もやいてあげたし…」と、だらだらと、延々と、ねちねちと、いろいろ言い続けたので、茶トラ先生はそれを遮り、
「とにかく! この話は明確にお断りだ!」と言うと、突然そのペテン師の顔色が変り、そしてデビルに向かって、
「おい田中! ぜんぜん話が違うじゃねえか。お前この前はっきりと、契約すると言ったじゃねえか。ああ? おまえおれをなめてんのか? おい! おまえこのままですむと思ってんのか? ああ? このやろう! いいからさっさとその金をおれによこしなって!」と言って、デビルからトランクを奪おうとして、それでデビルとペテン師はもみ合いになった。
だけどデビルだってケンカは強いし、ぼくだって空手習ってるし(そこがぼくの役目だったらしい)、それでぼくらがその男に豪快に応戦していたら、いきなり茶トラ先生が、ペテン師の顔面に豪快に正拳付きを食わせた。
それからペテン師がひるんだすきに、今度は茶トラ先生は、ペテン師の股間に、豪快に前蹴りをお見舞いした。
とにかくそれで「ケリ」がついたようだ。
それからペテン師は、床にえびのようにうづくまり、そのまま動けなくなったんだ。
茶トラ先生は、
「股間を蹴れば死ぬほど痛いが、こいつが死ぬことはない」と言って、それからテーブルにあった投資契約書をわしづかみにしてポケットへ入れ、
「ずらがるぞ!」と言ってからドアを開け、デビルは速効でサングラスを掛け、そしてみんなで廊下に出た。
それからデビルはごろごろとトランクを引きずりながら、みんなでデビルのお父さんのところへ行き、茶トラ先生は気付け薬で、デビルのお父さんをきれいに復活させた。
そしてまだぼーっとしているうちに、これまた茶トラ先生は、「ずらがるぞ!」と言って、それでデビルはまたまたごろごろとトランクを引きずりながら三人で廊下を走り、エレベーターに乗り、ロビーに出た。
それからはロビーで、ソンブレロを被って偵察中の未来の茶トラ先生に目配せしてから、三人とも何食わぬ顔で普通に歩いてホテルを出た。
そして、何食わぬ顔で駐車場のスワンボートに乗り、もちろんデビルはお金の入ったトランクも乗せ、それから速攻で垂直上昇して、ホテルの駐車場を後にした。
それからあっというまに茶トラ先生の実験室へ戻り、タイムエイジマシンで時間を戻り、ぼくらは防護服を着て元の歳に戻った。
「これで一段落だ。わしらが田中君の親父さんからお金を奪った以上、もう親父さんは、いかさま投資契約を結びようがない。あの男は、親父さんから現金を手に入れるのが目的だったのだ」
「だけどあのペテン師の野郎、おれの父ちゃんにまた付きまとわねえかな?」
「あれだけ酷いめに遭わされたんだ。もうびびってるだろう。ああいうちゃらちゃらした奴は、案外意気地無しだ。それにこれからも、未来のわしなんかがいろいろ対応出来る」
「ソンブレロ被ってた未来の茶トラ先生だね」
「それになんせこちらには、タイムエイジマシンがある。だからわしと、いろんな未来のわしのネットワークで、奴の行動は全部わしらに筒抜けだ。だからこれからも、いくらでも対応してやるよ」
「そうだよね。未来の茶トラ先生も空手、炸裂させるかもね。それにいざとなれば、クロロ何とかと羽交い絞めで奴を「逮捕」して、それからタイムエイジマシンで過去へ放り込むって手もあるよね。だいたいあんな奴、過去で永遠にシカトされればいいんだよ」
「ともあれこれで一件落着だな」
「ところでこのお金、どうするの?」
「そうだぜ。大金どうしよう」
「まだよく考えてないが、わしが思うに、田中君の将来のためと、そして、これから生まれるであろう田中浩二君の、将来の学費として、大切にとっておくのがいいだろう」
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