27 / 43
第27話
しおりを挟む
27
バント処理…、だって僕は投内連携苦手なんだ。スナップスローが出来ないから!
だからバントされるとダッシュしてボールを素手で拾い、それから今度はランナーと短距離競争して、必死こいて全力疾走で一塁近くまで走ってから、ソフトボールみたいに下から投げる。ピッチャーゴロもそう。
僕は短距離長距離さんざん走ったから、サルみたいにめちゃくちゃ速く走る自信もあるし。だから高校時代はずっとそれだった。
だけど、プロのグラウンドでそんなサルみたいなことやるのも、プロとして思い切りださいし、実際プロではみんなに「うわぁ~~~すっげぇーダサぁい!」とか非難轟々だった。それで球を拾ってから、クイックのフォームを応用して投げたりもしたんだ。だけどクイックって一度「セット」する訳で、時間がかかり過ぎるし、咄嗟だからよく暴投もした。
それにしても「投手の守備」って高校でやんなかったの?って言われそうだけど、なにぶん僕、放牧されてたし…
とにかくそんなこんなで、「これはもう仕方がない。やるしかないんだ!」と、豪快にあきらめ、僕は意を決し「第三のフォーム」というものの研究というか、開発というか、要するに練習を始めたんだ。
つまり通常のセットポジションからのフォームと、四股パワーを使ったクイックのフォームと、そして新たに作った第三のフォーム♬
で、これは、ボールを拾ったらいきなり投げる!という豪快なもの。何と言うか、石を拾ってすぐさまそのへんの鳥に投げつける、みたいな。ともかく鷹とか鷲とか、僕のいたリーグにはやっつけたい鳥いっぱいいたし。
それでとにかくもう、開き直って、「い~っけ~!」って念じて、あとは運を天に任せて…
この練習、最初は夕方一人でやった。
ボール20個くらいをバケツに入れて外野へ持って行き、全部芝生に転がしておいて、そして素早くボールを拾って、素早くフェンスに向かって「えい!」と投げる!
それで、僕が一人でそんなことをしばらくやっていると、たまたまランニングで通りかかった、一軍の主力で、そのころ故障で二軍でリハビリ中のベテラン三塁手の人が、「おまはんまた何か変な物理学の実験でもやっとんのか?」なんて声を掛けてくれた。それで僕は「第三のフォーム開発中で~す♪」って言ったんだ。
そしたらそのベテラン三塁手の人が、「よっしゃ、少しばかり手伝うたるわ」とか言って、畏れ多くも、ボールを拾って僕にトスしてくれ始めたんだ。
そうすると練習の能率がずいぶんと良くなって、それからその人は「せやせや。ボール捕ったら耳やで。そして小さくステップして、恐がらんと思い切り腕振って投げたらええねん」とか言ってくれて、そしてバケツ1個分終わったらこれまた畏れ多くも一緒にボール拾ってくれて、結局バケツ3個分くらい付き合ってくれて、それから、
「いいか、投手は5人目の内野手やさかいな。送球大切やでぇ。ほたらがんばりや!」といって、それから風のように走り去って行ったんだ。
僕は「ありがとうございました!」と、その人の大きな背中に大声でお礼を言った。
その人は僕が一体何の練習をしていたのか、しっかりと分かっていたんだね。きっと僕が投内連携でサルやってたのも…
バント処理…、だって僕は投内連携苦手なんだ。スナップスローが出来ないから!
だからバントされるとダッシュしてボールを素手で拾い、それから今度はランナーと短距離競争して、必死こいて全力疾走で一塁近くまで走ってから、ソフトボールみたいに下から投げる。ピッチャーゴロもそう。
僕は短距離長距離さんざん走ったから、サルみたいにめちゃくちゃ速く走る自信もあるし。だから高校時代はずっとそれだった。
だけど、プロのグラウンドでそんなサルみたいなことやるのも、プロとして思い切りださいし、実際プロではみんなに「うわぁ~~~すっげぇーダサぁい!」とか非難轟々だった。それで球を拾ってから、クイックのフォームを応用して投げたりもしたんだ。だけどクイックって一度「セット」する訳で、時間がかかり過ぎるし、咄嗟だからよく暴投もした。
それにしても「投手の守備」って高校でやんなかったの?って言われそうだけど、なにぶん僕、放牧されてたし…
とにかくそんなこんなで、「これはもう仕方がない。やるしかないんだ!」と、豪快にあきらめ、僕は意を決し「第三のフォーム」というものの研究というか、開発というか、要するに練習を始めたんだ。
つまり通常のセットポジションからのフォームと、四股パワーを使ったクイックのフォームと、そして新たに作った第三のフォーム♬
で、これは、ボールを拾ったらいきなり投げる!という豪快なもの。何と言うか、石を拾ってすぐさまそのへんの鳥に投げつける、みたいな。ともかく鷹とか鷲とか、僕のいたリーグにはやっつけたい鳥いっぱいいたし。
それでとにかくもう、開き直って、「い~っけ~!」って念じて、あとは運を天に任せて…
この練習、最初は夕方一人でやった。
ボール20個くらいをバケツに入れて外野へ持って行き、全部芝生に転がしておいて、そして素早くボールを拾って、素早くフェンスに向かって「えい!」と投げる!
それで、僕が一人でそんなことをしばらくやっていると、たまたまランニングで通りかかった、一軍の主力で、そのころ故障で二軍でリハビリ中のベテラン三塁手の人が、「おまはんまた何か変な物理学の実験でもやっとんのか?」なんて声を掛けてくれた。それで僕は「第三のフォーム開発中で~す♪」って言ったんだ。
そしたらそのベテラン三塁手の人が、「よっしゃ、少しばかり手伝うたるわ」とか言って、畏れ多くも、ボールを拾って僕にトスしてくれ始めたんだ。
そうすると練習の能率がずいぶんと良くなって、それからその人は「せやせや。ボール捕ったら耳やで。そして小さくステップして、恐がらんと思い切り腕振って投げたらええねん」とか言ってくれて、そしてバケツ1個分終わったらこれまた畏れ多くも一緒にボール拾ってくれて、結局バケツ3個分くらい付き合ってくれて、それから、
「いいか、投手は5人目の内野手やさかいな。送球大切やでぇ。ほたらがんばりや!」といって、それから風のように走り去って行ったんだ。
僕は「ありがとうございました!」と、その人の大きな背中に大声でお礼を言った。
その人は僕が一体何の練習をしていたのか、しっかりと分かっていたんだね。きっと僕が投内連携でサルやってたのも…
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる