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タイムレンジ2(YouTube配信中)
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「タイムレンジ」もう一つのパターン
以下、作品
彼は豪快に、ものぐさな人物だった。しかし、何故か、よりによって食堂を経営していた。
一応料理人だったのだ。
だけど、(あああああ、めんどうくさいめんどうくさいめんどくさい。料理はめんどうくさい!)
彼はいつもそう思っていた。
そんなある日。
彼の店に胡散臭そうで、しかも変な男がやって来て、めんどうくさそうに料理をしていた彼の顔を見るや、いきなりこう言った。
「実は私は画期的な調理器具を開発したのです。よかったら今度見に来ませんか?」
「どんな調理器具?」
「とにかく、豪快に料理の手間が省けますよ!」
「ほう」
数日後、彼はその胡散臭そうで変な男の雑然とした研究室を訪れた。そこにはいろんな訳のわからないガラクタが所狭しと並んでいた。
壊れた扇風機。冷えない冷蔵庫。映らないテレビ。飛ばないラジコン飛行機…
それから男は喜色満面で電子レンジ(のような物体)を指差した。
「これです。これ即ち画期的調理器!」
「ああ、電子レンジね。うちにもありますよ」
「電子レンジではありません。タイムレンジです」
「タイムレンジ?」
「しかも未来型です。画期的この製品。名付けて『未来型タイムレンジ』!」
「はぁ~?」
「実はこれは、タイムマシンなのです」
「はぁ…」
「この中に食材を入れると、食材が未来へ行けるのです」
「食材が未来へ行って…、どうすんの?」
「早速お見せしましょう!」
そういうと男は、大根ゆで卵ちくわつみれこんにゃくこんぶ、そして軟骨を雑然と鍋にぶち込み出汁と水を入れ、レンジの扉を閉めてダイヤルを回し三日間と設定。
するとレンジがスタートして程なくチンといい、扉を開けると何と! しっかり味の浸みたおでんになっていた。
「凄いでしょう」
「凄い!」
「食べますか?」
「それじゃ」
「ほれ辛子」
「どうも」
「どうです?」
「旨い! 本当に三日間煮込んだみたいに味が浸みてる!」
「お判りでしょうか? これであなたは調理の手間から解放されますよ。ただ材料をぶち込んでダイヤル回してチンと言えば出来上がっていますからね」
「おでんだけじゃなくて、どんな料理でも?」
「もちろん。とにかくこれはタイムマシンの機能があるから、材料を入れればその材料の未来、即ち、完成した料理になるのです!」
それから彼はその「未来型タイムレンジ」を結構なお値段で買った。
手間が省けるのだから!
ところが彼の食堂の調理場では、いくら材料を入れてダイヤル回してチンしても、やっぱり材料のままだった。
それで彼はその変な男を呼び、文句を言った。
そこでその変な男が材料を入れ直し、ダイヤル回してチンしたら、見事に料理が出来上がった。
ところが彼がやると…
「つまり私がやると料理が出来るのに、あなたがやると材料のまま」
「そうなんです。でもどうしてだろう?」
「ええと、この未来型タイムレンジによって材料はその未来の姿になるのだけど、実は私も調理人で、食材を見るとうずうずします。いつも調理する気満々なのです」
「はぁ」
「だけどあなたがやると料理にならない。つまりいつまでも食材のままです」
「そうなんですよね」
「ええと、あなたもしかして、もしかして…、料理する気が全くないのでは?」
以下、作品
彼は豪快に、ものぐさな人物だった。しかし、何故か、よりによって食堂を経営していた。
一応料理人だったのだ。
だけど、(あああああ、めんどうくさいめんどうくさいめんどくさい。料理はめんどうくさい!)
彼はいつもそう思っていた。
そんなある日。
彼の店に胡散臭そうで、しかも変な男がやって来て、めんどうくさそうに料理をしていた彼の顔を見るや、いきなりこう言った。
「実は私は画期的な調理器具を開発したのです。よかったら今度見に来ませんか?」
「どんな調理器具?」
「とにかく、豪快に料理の手間が省けますよ!」
「ほう」
数日後、彼はその胡散臭そうで変な男の雑然とした研究室を訪れた。そこにはいろんな訳のわからないガラクタが所狭しと並んでいた。
壊れた扇風機。冷えない冷蔵庫。映らないテレビ。飛ばないラジコン飛行機…
それから男は喜色満面で電子レンジ(のような物体)を指差した。
「これです。これ即ち画期的調理器!」
「ああ、電子レンジね。うちにもありますよ」
「電子レンジではありません。タイムレンジです」
「タイムレンジ?」
「しかも未来型です。画期的この製品。名付けて『未来型タイムレンジ』!」
「はぁ~?」
「実はこれは、タイムマシンなのです」
「はぁ…」
「この中に食材を入れると、食材が未来へ行けるのです」
「食材が未来へ行って…、どうすんの?」
「早速お見せしましょう!」
そういうと男は、大根ゆで卵ちくわつみれこんにゃくこんぶ、そして軟骨を雑然と鍋にぶち込み出汁と水を入れ、レンジの扉を閉めてダイヤルを回し三日間と設定。
するとレンジがスタートして程なくチンといい、扉を開けると何と! しっかり味の浸みたおでんになっていた。
「凄いでしょう」
「凄い!」
「食べますか?」
「それじゃ」
「ほれ辛子」
「どうも」
「どうです?」
「旨い! 本当に三日間煮込んだみたいに味が浸みてる!」
「お判りでしょうか? これであなたは調理の手間から解放されますよ。ただ材料をぶち込んでダイヤル回してチンと言えば出来上がっていますからね」
「おでんだけじゃなくて、どんな料理でも?」
「もちろん。とにかくこれはタイムマシンの機能があるから、材料を入れればその材料の未来、即ち、完成した料理になるのです!」
それから彼はその「未来型タイムレンジ」を結構なお値段で買った。
手間が省けるのだから!
ところが彼の食堂の調理場では、いくら材料を入れてダイヤル回してチンしても、やっぱり材料のままだった。
それで彼はその変な男を呼び、文句を言った。
そこでその変な男が材料を入れ直し、ダイヤル回してチンしたら、見事に料理が出来上がった。
ところが彼がやると…
「つまり私がやると料理が出来るのに、あなたがやると材料のまま」
「そうなんです。でもどうしてだろう?」
「ええと、この未来型タイムレンジによって材料はその未来の姿になるのだけど、実は私も調理人で、食材を見るとうずうずします。いつも調理する気満々なのです」
「はぁ」
「だけどあなたがやると料理にならない。つまりいつまでも食材のままです」
「そうなんですよね」
「ええと、あなたもしかして、もしかして…、料理する気が全くないのでは?」
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