25 / 141
こ奴、地獄行きか?(YouTube配信中)
しおりを挟む
「閻魔様、この人間、如何致しましょう?」
「どのような人間じゃな?」
「閻魔帳によりますればこの人間、殺人事件を七回起こしております」
「殺人事件を、七回も?」
「そしてそれらの殺人事件で殺されたのは、合計で九人!」
「こ奴、九人も殺しておったのか?」
「それで刑務所には合計で、え~、何と! 四十五年も服役しております」
「う~ん」
「しかしそれだけでは御座いません」
「それだけではない?」
「迷宮入りした殺人事件および暴行事件も多数御座いまして、さらに十二人が殺されており、三十五人が瀕死の傷害を負っております」
「どれどれ、わしにもちょいとその閻魔帳を見せてみろ。そもそも閻魔帳とは、わしが見るものじゃからな」
「そうですね。それじゃどうぞ」
「どれどれ。う~ん。確かにこれらの事件は発覚もせず、豪快に迷宮入りしておるな」
「いやいや、迷宮入りどころか、こ奴が巧妙に他人に罪をかぶせ、多数が誤認逮捕され、中には死刑判決が出て実際には処刑された者もいると、ここに明確に記されておりますぞ!」
「確かにそう書いてあるのう。しかしなんとまあ、世にも恐ろしい奴じゃのう。おやおや、それにこ奴、五十年間麻薬密売を行い、発覚しない詐欺事件が二十七件とも書いてあるのう。う~ん…」
「どう致します? やはりいくら何でもこ奴、地獄行きは避けられますまい」
「おや? しかしここに、このようなことが書いてある。見てみろ」
「ここですか。なになに、え~、この人間、子供の頃に一匹の亀を助けておりますね」
「そのようじゃな」
「それがどうか致しましたか?」
「おぬしは地獄送致除外特例第4957条28654968項という物を知らぬのか?」
「はぁ、私、寡聞にして存じ上げておりません」
「あれは確か三千年ほど前のことじゃ。とある動物保護団体の陳情により、この法案が魔界の49583758年度の魔国会で審議の上、魔会議員の賛成多数で可決され、同年施行されたのじゃ」
「そうだったのですか。で、施行されて、それで?」
「じゃから亀を助けた者は、その理由の如何に拘わらず、つまり例えどのような事情があったとしても、地獄行きが免除されるのじゃ」
「理由の如何を問わず、例えどのような理由があっても、地獄行きが、免除? で、免除されて、どうなるのです?」
「竜宮城へ送致されるのじゃ」
「どのような人間じゃな?」
「閻魔帳によりますればこの人間、殺人事件を七回起こしております」
「殺人事件を、七回も?」
「そしてそれらの殺人事件で殺されたのは、合計で九人!」
「こ奴、九人も殺しておったのか?」
「それで刑務所には合計で、え~、何と! 四十五年も服役しております」
「う~ん」
「しかしそれだけでは御座いません」
「それだけではない?」
「迷宮入りした殺人事件および暴行事件も多数御座いまして、さらに十二人が殺されており、三十五人が瀕死の傷害を負っております」
「どれどれ、わしにもちょいとその閻魔帳を見せてみろ。そもそも閻魔帳とは、わしが見るものじゃからな」
「そうですね。それじゃどうぞ」
「どれどれ。う~ん。確かにこれらの事件は発覚もせず、豪快に迷宮入りしておるな」
「いやいや、迷宮入りどころか、こ奴が巧妙に他人に罪をかぶせ、多数が誤認逮捕され、中には死刑判決が出て実際には処刑された者もいると、ここに明確に記されておりますぞ!」
「確かにそう書いてあるのう。しかしなんとまあ、世にも恐ろしい奴じゃのう。おやおや、それにこ奴、五十年間麻薬密売を行い、発覚しない詐欺事件が二十七件とも書いてあるのう。う~ん…」
「どう致します? やはりいくら何でもこ奴、地獄行きは避けられますまい」
「おや? しかしここに、このようなことが書いてある。見てみろ」
「ここですか。なになに、え~、この人間、子供の頃に一匹の亀を助けておりますね」
「そのようじゃな」
「それがどうか致しましたか?」
「おぬしは地獄送致除外特例第4957条28654968項という物を知らぬのか?」
「はぁ、私、寡聞にして存じ上げておりません」
「あれは確か三千年ほど前のことじゃ。とある動物保護団体の陳情により、この法案が魔界の49583758年度の魔国会で審議の上、魔会議員の賛成多数で可決され、同年施行されたのじゃ」
「そうだったのですか。で、施行されて、それで?」
「じゃから亀を助けた者は、その理由の如何に拘わらず、つまり例えどのような事情があったとしても、地獄行きが免除されるのじゃ」
「理由の如何を問わず、例えどのような理由があっても、地獄行きが、免除? で、免除されて、どうなるのです?」
「竜宮城へ送致されるのじゃ」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる