30 / 141
電動アシストブレイン(YouTube配信中)
しおりを挟む
「本当にこの機械を使うと、うちの息子の成績が伸びるざーますのね?」
「もちろんです。それで、この機械は耳の穴の中に入れて使います。補聴器みたいですが、超小型ですから外から見ても他人からは、まず気付かれません」
「そうざーますか。それで、補聴器のように耳に入れると、どうなるざーますの?」
「実はこの機械はこんなに小さくても、本当に凄い機能を持っているのです」
「と、申しますと?」
「お子さんの脳が活動すると、脳波が発生しますが、この機械はそれを検出します。そして脳波を検出するとそれを増幅し、そして特殊な電磁波に変換して脳に照射します」
「照射って、脳に悪影響はないざーますか?」
「増幅すると言ってもごく微弱な電磁波ですし、それと神経細胞は放射線にも強いですから、ほとんど害はありません」
「そうざーますか。それで?」
「それで、この機械が発する電磁波の作用で脳細胞が活性化されます。例えば数学の勉強をしていると、脳からは数学の脳波が出ますが、それを検出して機械が数学の電磁波を出します」
「数学の…、電磁波ざーますか?」
「そうです。そして数学の電磁波を照射された脳の、とりわけ数学に関する脳細胞がこの電磁波にシンクロして活発に活動を始めます」
「そうしますと?」
「この機械を使わないときと比べ、おおよそ2倍の、数学に関する脳細胞が活動します」
「はぁ~」
「つまり脳を使い脳波が出て、機械がそれを検出して電磁波を出し、それに脳細胞がシンクロして、そして脳の機能が上がるのです」
「ややこしくて何だかよくわかりませんが、それで、どのくらい上がるざーますか?」
「我々が行った実験では、おおよそ2倍になりました」
「まあ、2倍ざーますか」
「平たく言えば、知能指数が2倍になったと思っていただければ…」
「知能指数が2倍? それは素晴らしゅうございます!」
「言い換えるとこれは、電動アシスト自転車の『脳バージョン』です。電動アシスト自転車は、足の筋肉をアシストして2倍の力を出しますが、この機械は脳をアシストして2倍の脳力、つまりこれは知能指数倍増計画です! 私は嘘は申しません。わっはっは!」
それでこのお母さんは、大きな声では言えないくらいの値段でその補聴器みたいな、そして、なにやら怪しげな「電動アシストブレイン」とやらを買った。
だけどそれを使っても、息子の成績はさっぱり上がらなかった。
それからしばらくして、そのお母さんは文句を言うため、息子を連れて再びやってきた。
「成績ぜ~んぜん上がらないざーます!」
「困りましたな。ところで君、勉強してるかい?」
「ぜんせんしてないブー」
「ぜんぜんしていない…、ええと、それじゃ何か考えているかい?」
「ぜ~んぜん、な~んにも、考えてないブー」
「何も考えていない? はぁ~ それじゃはっきり言って無理ですわ」
「無理?」
「何も考えなければ脳波は出ませんからね。だから脳波を増幅するも何も、ええと、電動アシスト自転車だってこがないと前に進まない訳で…」
「もちろんです。それで、この機械は耳の穴の中に入れて使います。補聴器みたいですが、超小型ですから外から見ても他人からは、まず気付かれません」
「そうざーますか。それで、補聴器のように耳に入れると、どうなるざーますの?」
「実はこの機械はこんなに小さくても、本当に凄い機能を持っているのです」
「と、申しますと?」
「お子さんの脳が活動すると、脳波が発生しますが、この機械はそれを検出します。そして脳波を検出するとそれを増幅し、そして特殊な電磁波に変換して脳に照射します」
「照射って、脳に悪影響はないざーますか?」
「増幅すると言ってもごく微弱な電磁波ですし、それと神経細胞は放射線にも強いですから、ほとんど害はありません」
「そうざーますか。それで?」
「それで、この機械が発する電磁波の作用で脳細胞が活性化されます。例えば数学の勉強をしていると、脳からは数学の脳波が出ますが、それを検出して機械が数学の電磁波を出します」
「数学の…、電磁波ざーますか?」
「そうです。そして数学の電磁波を照射された脳の、とりわけ数学に関する脳細胞がこの電磁波にシンクロして活発に活動を始めます」
「そうしますと?」
「この機械を使わないときと比べ、おおよそ2倍の、数学に関する脳細胞が活動します」
「はぁ~」
「つまり脳を使い脳波が出て、機械がそれを検出して電磁波を出し、それに脳細胞がシンクロして、そして脳の機能が上がるのです」
「ややこしくて何だかよくわかりませんが、それで、どのくらい上がるざーますか?」
「我々が行った実験では、おおよそ2倍になりました」
「まあ、2倍ざーますか」
「平たく言えば、知能指数が2倍になったと思っていただければ…」
「知能指数が2倍? それは素晴らしゅうございます!」
「言い換えるとこれは、電動アシスト自転車の『脳バージョン』です。電動アシスト自転車は、足の筋肉をアシストして2倍の力を出しますが、この機械は脳をアシストして2倍の脳力、つまりこれは知能指数倍増計画です! 私は嘘は申しません。わっはっは!」
それでこのお母さんは、大きな声では言えないくらいの値段でその補聴器みたいな、そして、なにやら怪しげな「電動アシストブレイン」とやらを買った。
だけどそれを使っても、息子の成績はさっぱり上がらなかった。
それからしばらくして、そのお母さんは文句を言うため、息子を連れて再びやってきた。
「成績ぜ~んぜん上がらないざーます!」
「困りましたな。ところで君、勉強してるかい?」
「ぜんせんしてないブー」
「ぜんぜんしていない…、ええと、それじゃ何か考えているかい?」
「ぜ~んぜん、な~んにも、考えてないブー」
「何も考えていない? はぁ~ それじゃはっきり言って無理ですわ」
「無理?」
「何も考えなければ脳波は出ませんからね。だから脳波を増幅するも何も、ええと、電動アシスト自転車だってこがないと前に進まない訳で…」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる