おもしろSFショート

永久食料－Ｗｓｏｐａｄｉａ

永久食料（Perpetual Food）とは、件の系外惑星旅行（22世紀中盤に打ち上げ予定）において、極めて長期間に及ぶ飛行時間（数世代とも数十世代ともいわれる）において、深刻な問題となるであろう食糧問題を、根本的に解決するものとして、かつて考案された画期的な食品生産技術である。

この考えの源流は、件の「永久畜産」にある。すなわちこれは、原材料を人間の糞尿とし（おえ～～！）、これに特殊な加工を施すもので、永久畜産を考案した人々（例の3人）の、「そいぎんた人間の糞ば食うて生きられるごとするぎんたがばい良かさい」という考えに基づくもので、その後、その3人を中心として、とある研究所が開設された。

その後、そこで開発された技術は、前述の永久機関壁材より得られた電気で駆動される特殊な機械により、人間の糞尿に、人間が生活するに必要なエネルギーを付加するというもので、これにより宇宙船内の人類は永続的に食料を得ることが出来るのである。

しかしこの技術が発表されるや、「おえ～～！」とか「がばい気色悪かばい！」とかいう苦情が殺到し、それはもう非難轟轟の状態となり、しかもそれを開発した研究所には、連日糞尿を満載した肥担桶を抱えた過激な反対派が殺到し、研究所員が出てくるや、一斉に糞尿を浴びせかけるというすえ恐ろしい事態に至り、そういう経緯故、以後の研究は中止せざるを得なくなるに至ったものである。

つまり、これは食糧問題を解決する画期的な研究であるにも拘らず、一部の心ない反対派による過激な反対運動により、豪快にぽしゃってしまった、人類史上類を見ない、とても残念な話だったのである。（あのさぁ、そんな糞から作ったようなもん、あんた食えるの？）