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第7話 生命体が出現しました
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ヒト型の影が出現すると、ソレはバランスを崩してハッチから転げ落ちる。
「いっで!」
地面に衝突する際、そんな言葉を発する。九王たちと同じ、日本語を使用しているようだ。
ヒト型のソレは、地面にひっくり返ったまま九王のほうを見る。
「……あれ? 人間?」
「いえ、私は特定環境把握ヒューマノイドの九王みこねです」
「ヒューマノイド……。つまりロボットか。じゃあ地球人類は滅んだんだな?」
「えぇ、そうです」
「……というかさ、その物騒な銃は何? 俺に向けてるの?」
「いえ、これはマスターキーです」
「そんな物騒なマスターキーが存在していいわけないでしょ」
そういってヒト型は起き上がり、自分の体に傷がついていないか確認する。
それが終わったら、ヒト型は自己紹介をした。
「俺は小堀宝治だ。小さい堀って書いて小堀。いわゆるスペーサーだ。第4銀河艦隊第22巡航部隊第185突撃調査隊所属のクローンサイボーグでもある」
「クローンサイボーグ……?」
「あぁ。脳細胞を培養して、それをサイボーグの体に移植する。脳みそだけが本物のクローン人間だよ。本物の体は艦隊に保存してある」
「そんな技術があるんですね……」
九王はショットガンを下ろし、小堀の話を真面目に聞く。
そこにウッマが割り込んでくる。
「みこね。そのヒトの話を信じるの?」
「うおっ、馬がしゃべった」
「こちらは私のお供である機械の馬、ウッマです」
「その名前はダジャレか何か?」
「いえ、正式名称です」
「あっそう……」
「みこねは今の話を信じるの?」
「信じる以外に何があるんですか? せっかく宇宙に進出していた人類が戻ってきたんですよ?」
「でも、このヒトの狙いが分からないじゃないか」
ウッマはとにかく疑惑の目で小堀を見ているようだ。
「じゃあ本人に聞いてみましょう。小堀さん、あなたの狙いはなんですか?」
「まぁ簡単に言えば、地球への再入植の調査だ。艦隊のほうでも、地球で絶滅戦争が起きたことは把握している。ここで再入植が叶えば、既存の施設やインフラをそのまま利用することができるからな。少々空間放射線量が高いようだが、宇宙放射線と比べればまだ低いほうだから環境的には最も最適と言える。そういった観点から、地球規模で調査を行おうと各地に仲間が降り立っているところだ」
「そうですか。でしたら、私の環境測定データが使えるかもしれません。ぜひ活用してください」
「いいのか? それはありがたい」
「結局こうなっちゃうのか……」
ウッマは頭を抱えた。馬なのに。
結局九王は小堀を理研へと案内し、これまでの環境測定データを提供することにした。
「データの数は少ないけど、調査初日にこれだけのデータが存在するのはありがたい。これからの予測も立てられる」
そういって小堀はデータを受け取ろうとするが、どうやら通信方法や通信ケーブルの規格が合わないようで四苦八苦していた。
そんな小堀を横目に、九王は何か考え込んでいた。
「九王君、この通信ケーブル、いつの規格なの?」
「……」
「九王君?」
「あ……、すみません。ちょっと考え事をしていて……」
「そう。ところでこれいつの通信ケーブル?」
「最後の製造が数十年前ですから、規格自体はもっと前ですね」
「そんなに古い規格、対応していたっけなぁ……」
小堀はケーブルの形状を確認している。
そんな中、九王は何かを決めたようだ。
「小堀さん、一つお願いしてもいいですか?」
「ん、何?」
「私の環境測定に同行してほしいんです」
「あぁ、その程度ならいいけど?」
「いえ。私が環境測定する本当の目的は、心霊現象が確かに存在することを確認するためです」
それを聞いた小堀は動きを止める。
「小堀さんの脳は複製でも本物の人間の脳です。もしかしたら観測者効果によって本物の心霊現象が確認できるかもしれないんです。お願いします、私たちと一緒に調査をお願いできませんか?」
小堀は持っていたケーブルをゆっくりと机に置き、九王のほうを見た。
「九王君。俺はあくまで今の地球の環境を確認しに来た調査員だ。心霊現象を調査するのは管轄外と言わざるを得ない」
「それでも……! 本物の人間がいれば何か変化が見られるかもしれないじゃないですか!」
「残念だが、それでも俺はノーと言わないといけない」
「どうしてですか!?」
「理由か? 単純だ」
そういって小堀は九王の方を見る。
「俺は……、ホラーやオカルトが苦手だからだ!」
その衝撃の告白に、九王とウッマは呆気に取られた。
「心霊とかなんなんだよ!? こちらの一般常識が通用しない連中にどう対処すればいいんだよ!? 実際に体験したわけじゃないからなんとも言えないが、ホラー映画とかにある幽霊って突然意味わからんところから出てくるじゃん! アレおかしいだろ!? ホラゲーもそうだ! 基本的な対処方法が逃げるくらいしかない! そんな相手にどう立ち向かえと!? そんなことするなら、俺は職務放棄して艦隊に戻る! そのまま収容されたほうがマシだ!」
小堀による熱弁。九王とウッマはポカンとするしかなかった。
数秒の沈黙の後、九王が指摘する。
「宇宙からやってきたあなたの存在そのものがオカルトみたいなものですけど?」
「そんな馬鹿なぁ!?」
小堀は頭を抱えて床を転げまわった。
九王とウッマは、それにゴミを見るような視線を向けるのだった。
「いっで!」
地面に衝突する際、そんな言葉を発する。九王たちと同じ、日本語を使用しているようだ。
ヒト型のソレは、地面にひっくり返ったまま九王のほうを見る。
「……あれ? 人間?」
「いえ、私は特定環境把握ヒューマノイドの九王みこねです」
「ヒューマノイド……。つまりロボットか。じゃあ地球人類は滅んだんだな?」
「えぇ、そうです」
「……というかさ、その物騒な銃は何? 俺に向けてるの?」
「いえ、これはマスターキーです」
「そんな物騒なマスターキーが存在していいわけないでしょ」
そういってヒト型は起き上がり、自分の体に傷がついていないか確認する。
それが終わったら、ヒト型は自己紹介をした。
「俺は小堀宝治だ。小さい堀って書いて小堀。いわゆるスペーサーだ。第4銀河艦隊第22巡航部隊第185突撃調査隊所属のクローンサイボーグでもある」
「クローンサイボーグ……?」
「あぁ。脳細胞を培養して、それをサイボーグの体に移植する。脳みそだけが本物のクローン人間だよ。本物の体は艦隊に保存してある」
「そんな技術があるんですね……」
九王はショットガンを下ろし、小堀の話を真面目に聞く。
そこにウッマが割り込んでくる。
「みこね。そのヒトの話を信じるの?」
「うおっ、馬がしゃべった」
「こちらは私のお供である機械の馬、ウッマです」
「その名前はダジャレか何か?」
「いえ、正式名称です」
「あっそう……」
「みこねは今の話を信じるの?」
「信じる以外に何があるんですか? せっかく宇宙に進出していた人類が戻ってきたんですよ?」
「でも、このヒトの狙いが分からないじゃないか」
ウッマはとにかく疑惑の目で小堀を見ているようだ。
「じゃあ本人に聞いてみましょう。小堀さん、あなたの狙いはなんですか?」
「まぁ簡単に言えば、地球への再入植の調査だ。艦隊のほうでも、地球で絶滅戦争が起きたことは把握している。ここで再入植が叶えば、既存の施設やインフラをそのまま利用することができるからな。少々空間放射線量が高いようだが、宇宙放射線と比べればまだ低いほうだから環境的には最も最適と言える。そういった観点から、地球規模で調査を行おうと各地に仲間が降り立っているところだ」
「そうですか。でしたら、私の環境測定データが使えるかもしれません。ぜひ活用してください」
「いいのか? それはありがたい」
「結局こうなっちゃうのか……」
ウッマは頭を抱えた。馬なのに。
結局九王は小堀を理研へと案内し、これまでの環境測定データを提供することにした。
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そういって小堀はデータを受け取ろうとするが、どうやら通信方法や通信ケーブルの規格が合わないようで四苦八苦していた。
そんな小堀を横目に、九王は何か考え込んでいた。
「九王君、この通信ケーブル、いつの規格なの?」
「……」
「九王君?」
「あ……、すみません。ちょっと考え事をしていて……」
「そう。ところでこれいつの通信ケーブル?」
「最後の製造が数十年前ですから、規格自体はもっと前ですね」
「そんなに古い規格、対応していたっけなぁ……」
小堀はケーブルの形状を確認している。
そんな中、九王は何かを決めたようだ。
「小堀さん、一つお願いしてもいいですか?」
「ん、何?」
「私の環境測定に同行してほしいんです」
「あぁ、その程度ならいいけど?」
「いえ。私が環境測定する本当の目的は、心霊現象が確かに存在することを確認するためです」
それを聞いた小堀は動きを止める。
「小堀さんの脳は複製でも本物の人間の脳です。もしかしたら観測者効果によって本物の心霊現象が確認できるかもしれないんです。お願いします、私たちと一緒に調査をお願いできませんか?」
小堀は持っていたケーブルをゆっくりと机に置き、九王のほうを見た。
「九王君。俺はあくまで今の地球の環境を確認しに来た調査員だ。心霊現象を調査するのは管轄外と言わざるを得ない」
「それでも……! 本物の人間がいれば何か変化が見られるかもしれないじゃないですか!」
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「どうしてですか!?」
「理由か? 単純だ」
そういって小堀は九王の方を見る。
「俺は……、ホラーやオカルトが苦手だからだ!」
その衝撃の告白に、九王とウッマは呆気に取られた。
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小堀による熱弁。九王とウッマはポカンとするしかなかった。
数秒の沈黙の後、九王が指摘する。
「宇宙からやってきたあなたの存在そのものがオカルトみたいなものですけど?」
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