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第11話 不可解な現象が発生しました
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九王たちは草加インターチェンジから下道に降りて、環境測定に最適な場所を探す。九王がマップを参考に周辺を見渡してみると、少し歩いた所に学校があることが分かった。
「学校の屋上や校庭なら調査にちょうどいいですね」
「そうだね。じゃあそこにしようか」
そういって二人は学校を目指す。
その道中、風に揺られて枯れかけた木々が微かに音を鳴らす。もうこの星には生命体がほぼ存在しないことを改めて認識させられる。
学校に到着する。門は開きっぱなしにされており、簡単に侵入することができた。校庭を進むと、その隅のほうに脚付きの白い箱が見えるだろう。
「おや。アレは絶滅したはずの私たちの祖先、百葉箱先輩じゃないですか」
「機能しているかはともかく、この終末世界でもちゃんと生き残っていたんだね」
九王は百葉箱の前に立ち、百葉箱を見上げる。植物のツタが大量に絡みつき、もはや本来の仕事ができない程になっていた。
「では百葉箱先輩の意思を継いで、ここで測定をしましょうか」
そういって九王はウッマから測定機器を降ろし、機器と自身を同期させる。その間に機器を展開し、風速や温度、空間放射線量を測定できるようにする。
「準備完了です」
「こっちも問題ないよ」
「では、清応49年5月4日20時16分。心霊現象の観測を目的とした環境測定を開始します」
そういって各種測定機器を起動させ、周辺の様子を確認する。
最初のうちは風の音と枯れた木々が擦れる音しか記録されなかった。
測定開始から52分が経過する。その時、九王のカメラが明らかに異常な影を捉えた。それは白い人影である。
(人影……? なんで人間が……?)
九王はカメラの視線を、白い人影のほうに向ける。その状態でも明らかに人影が存在していた。
(どう見ても異常な存在があります……。なのに、視線を外すことができません……)
その白い人影は、少しゆらゆらしており、明らかに人間ではない。なのに九王はそれに視線を釘付けにされていた。
九王はそれでも、計測機器のデータを取得して今の環境を確認する。気温や湿度には何も変化がない。これが自然現象ではないことを示している。
さらに九王は自身のカメラを赤外線モードに変更した。これにもヒト型の姿は映っていない。そこに温度差がある熱源が存在していないことを意味している。
(これは一体……)
その瞬間、九王は何かを感じ取る。自分という意識の外側に、もう一人の自分がいるような感覚。自分ではない自分が、衝動的に自分の体を乗っ取って突き動かすような、気持ちの悪い感覚だ。
九王の電源が一瞬途切れ、再起動する。その影響で、九王は膝から崩れ落ちた。
「みこね? 大丈夫?」
計測機器と有線で繋がっていたウッマが、九王の同期が途切れたことを不審に思い、聞いてくる。
九王は瞬時に先ほどの映像を再確認する。しかし、そこには何も映っていなかった。
おかしい。確かに人影を見たのだ。
九王は視線を下に向けたまま、ウッマに問う。
「……ウッマ。私に異常は見られますか?」
「異常? どの程度の異常を言ってる?」
「OSやアルゴリズムのレベルです」
「うーん、異常は特に見当たらないと思うけど。そもそも僕がメンテナンスをするわけじゃないから、なんとも言えないよ。それに僕とみこねじゃ、使われているシステムOSもアルゴリズムも全部違うでしょ?」
ウッマは何も異常は起きていないことを前提に話を進める。
九王は苦しみを覚えた。
(苦しい……?)
九王は混乱する。しかし数ミリ秒で結論を導き出した。
「ウッマ、今日の環境測定はここまでにしましょう。小堀さんの所に戻ったら、私は一度レベルの高い自己診断を行います」
「……? 何か変なウイルスにでも感染した?」
「そう……ですね。そうかもしれません」
「わかった。みこねがそういうなら、僕はそれに従うよ」
こうして日付が変わった25時02分に環境測定を緊急停止する。
計測機器をウッマに乗せ、二人は小堀の元に戻る。小堀は出かけた時と同じ場所、同じ姿勢で寝ていた。どうやら寝相はしないようだ。
「では小堀さんが起きる時間まで休ませてもらいます」
「分かった。何かあったら言ってね」
ウッマはトラックの荷台に乗り、そのままスリープモードに入る。
九王も助手席に乗り、スリープモードから自己診断モードに移行した。
(今日の映像は何だったのでしょう?)
自己診断をしながら、その裏で記憶を思い起こす。確かにあの場所で白い人影を見た。
(記憶……。記憶?)
九王は先ほどから混乱しっぱなしだ。記録ではない物を記憶なんて思うなんて、どう考えても人工知能としておかしいからだ。
(とにかく、今は診断待ちです)
そういって自己診断機能以外をシャットダウンするのだった。
「学校の屋上や校庭なら調査にちょうどいいですね」
「そうだね。じゃあそこにしようか」
そういって二人は学校を目指す。
その道中、風に揺られて枯れかけた木々が微かに音を鳴らす。もうこの星には生命体がほぼ存在しないことを改めて認識させられる。
学校に到着する。門は開きっぱなしにされており、簡単に侵入することができた。校庭を進むと、その隅のほうに脚付きの白い箱が見えるだろう。
「おや。アレは絶滅したはずの私たちの祖先、百葉箱先輩じゃないですか」
「機能しているかはともかく、この終末世界でもちゃんと生き残っていたんだね」
九王は百葉箱の前に立ち、百葉箱を見上げる。植物のツタが大量に絡みつき、もはや本来の仕事ができない程になっていた。
「では百葉箱先輩の意思を継いで、ここで測定をしましょうか」
そういって九王はウッマから測定機器を降ろし、機器と自身を同期させる。その間に機器を展開し、風速や温度、空間放射線量を測定できるようにする。
「準備完了です」
「こっちも問題ないよ」
「では、清応49年5月4日20時16分。心霊現象の観測を目的とした環境測定を開始します」
そういって各種測定機器を起動させ、周辺の様子を確認する。
最初のうちは風の音と枯れた木々が擦れる音しか記録されなかった。
測定開始から52分が経過する。その時、九王のカメラが明らかに異常な影を捉えた。それは白い人影である。
(人影……? なんで人間が……?)
九王はカメラの視線を、白い人影のほうに向ける。その状態でも明らかに人影が存在していた。
(どう見ても異常な存在があります……。なのに、視線を外すことができません……)
その白い人影は、少しゆらゆらしており、明らかに人間ではない。なのに九王はそれに視線を釘付けにされていた。
九王はそれでも、計測機器のデータを取得して今の環境を確認する。気温や湿度には何も変化がない。これが自然現象ではないことを示している。
さらに九王は自身のカメラを赤外線モードに変更した。これにもヒト型の姿は映っていない。そこに温度差がある熱源が存在していないことを意味している。
(これは一体……)
その瞬間、九王は何かを感じ取る。自分という意識の外側に、もう一人の自分がいるような感覚。自分ではない自分が、衝動的に自分の体を乗っ取って突き動かすような、気持ちの悪い感覚だ。
九王の電源が一瞬途切れ、再起動する。その影響で、九王は膝から崩れ落ちた。
「みこね? 大丈夫?」
計測機器と有線で繋がっていたウッマが、九王の同期が途切れたことを不審に思い、聞いてくる。
九王は瞬時に先ほどの映像を再確認する。しかし、そこには何も映っていなかった。
おかしい。確かに人影を見たのだ。
九王は視線を下に向けたまま、ウッマに問う。
「……ウッマ。私に異常は見られますか?」
「異常? どの程度の異常を言ってる?」
「OSやアルゴリズムのレベルです」
「うーん、異常は特に見当たらないと思うけど。そもそも僕がメンテナンスをするわけじゃないから、なんとも言えないよ。それに僕とみこねじゃ、使われているシステムOSもアルゴリズムも全部違うでしょ?」
ウッマは何も異常は起きていないことを前提に話を進める。
九王は苦しみを覚えた。
(苦しい……?)
九王は混乱する。しかし数ミリ秒で結論を導き出した。
「ウッマ、今日の環境測定はここまでにしましょう。小堀さんの所に戻ったら、私は一度レベルの高い自己診断を行います」
「……? 何か変なウイルスにでも感染した?」
「そう……ですね。そうかもしれません」
「わかった。みこねがそういうなら、僕はそれに従うよ」
こうして日付が変わった25時02分に環境測定を緊急停止する。
計測機器をウッマに乗せ、二人は小堀の元に戻る。小堀は出かけた時と同じ場所、同じ姿勢で寝ていた。どうやら寝相はしないようだ。
「では小堀さんが起きる時間まで休ませてもらいます」
「分かった。何かあったら言ってね」
ウッマはトラックの荷台に乗り、そのままスリープモードに入る。
九王も助手席に乗り、スリープモードから自己診断モードに移行した。
(今日の映像は何だったのでしょう?)
自己診断をしながら、その裏で記憶を思い起こす。確かにあの場所で白い人影を見た。
(記憶……。記憶?)
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(とにかく、今は診断待ちです)
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