オカルト・アポカリプス~人類なき後の地球における心霊現象の発生について~

紫 和春

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第36話 偶然が起きました

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 九王とウッマは、データの解析を終えた後、メンテナンスを行っていた。今回はかなりの期間外出していたことから、バッテリーや駆動系のチェックを綿密に行おうと決めていたのだ。
 メンテ君によって九王がレベル2のレッドパッケージ━━レベル3ほどではないが、それに匹敵するくらい重要なメンテナンス━━が行われ、ウッマに移ろうとしていた時だった。
 研究室の出入口がノックされる。

「俺だ、小堀だ」
「開いてますよ」

 九王は服を着ながら返事をする。服を着終わった瞬間に小堀が研究室に入ってきた。

「おん、メンテナンスでもしていたのか?」
「そうですね。小堀さんのほうはどうしたんですか?」
「あぁ。ちょっと上からの命令が来てな……」

 小堀はその辺に置いてあったパイプ椅子に座る。

「母艦の観測室からの警告だ。前に話したソルレイバーストの一件があっただろ?」
「ありましたね」

 元気なあのインド人の姿が思い浮かぶ。

「どうも、ここ数週間の間にソルレイバーストが立て続けに発生しているようでな。指揮官名義で避難準備指示が出てきた。正直このまま引き上げたほうがいいレベルだ」
「そんなにですか」
「あぁ。頻度も多く、強度もかなり強いようだ。医務局の推定によれば、銀河クラスの特大ガンマ線バーストを100光年の距離で浴びるようなものらしい。そんな環境にいれば、俺たちサイボーグは簡単に命を落とす。いくら替えの利く俺たちでも、生産コストや時間が要求される。そんなリスクを犯すことは出来ないと判断したのだろう」

 小堀がパソコンを操作しながら、九王とウッマに説明する。

「そしたら、僕たちだってソルレイバーストの影響を受けることになるじゃないか。それはどうするつもりだい?」
「……き、……人工知能に対しての対策は書かれてないから、正直分からん」
「それは困るよ。僕たちだってある意味生きているんだから」

 ウッマの横で、九王が何か考えている。そして口を開いた。

「小堀さん。ソルレイバーストに関するデータって、今ここで見られますか?」
「それは……、ちょっと困る」
「困るってなんだい? 僕たちの命がかかっているんだよ?」
「それは分かっている。心苦しいのは分かるんだが、機密情報の取り扱いは厳密に行わなくちゃいけないし……」

 小堀は滅茶苦茶嫌がっているようだ。
 そんな小堀に、九王は接近する。

「これは場合によっては私たちと小堀さんが助かるかもしれない事案なんです。私の直感がそう言っています」
「九王君に直感なんてあるのか……?」
「なんでもいいので、見せてください」

 九王は小堀に詰め寄る。人工知能とは思えないような重圧を感じるだろう。
 小堀は降参した。

「……分かった。だがこれは機密事項だからな? 他言無用で頼む」
「もちろんです」

 そういって小堀はパソコンの画面を見せる。そこにはソルレイバーストの発生日時やバーストの周波数、強度などが記載されていた。

「これを見て何か分かることはあまりないと思うが……」

 小堀は機密が流出するのを恐れ、ちょっとソワソワしている。
 そんな中、九王が画面をじっと見て解析のようなものを行っていた。そして一つの結論を導き出す。

「ソルレイバーストの発生日時と、私たちの観測を行っていた時間帯が一致します」
「は?」
「みこね、本当?」
「えぇ。詳細までは分かりませんが、大きなくくりで見れば、私たちが主に心霊観測を行っていた時間帯にソルレイバーストが強く多く発生しているようです」

 その結果を聞いた小堀は、思わず椅子から転げ落ちる。

「そ、そんな偶然があるものか! これは……、そうだ! 疑似相関とかいうやつだろ!?」
「同じ日時を比べているのに、疑似と言い張るのは意味をなしていないと思いますよ」
「ならなんで……」

 小堀は少し混乱しているようだ。

「時間帯が一致しているとなると、今度は場所が気になりますが……。小堀さん、ソルレイバーストが発生している場所についてのデータはありませんか?」
「んあぁ……。そもそも発生している場所が近すぎて、『地球からガンマ線が観測される』以外は分かってない……」
「そうですか……。それは残念です。もし場所も分かれば、私たちが移動するのに合わせて発生場所も移動していると思ったのですが……」

 そういって九王は、世界地図が貼られている壁の前まで移動する。

「しかし、ソルレイバーストと心霊現象の発生に何かしらの関係があるとするなら……。それは重大な意味を持っていると考えられます」

 九王の直感が何かを主張しているような、そんな予感を感じる九王であった。
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