オカルト・アポカリプス~人類なき後の地球における心霊現象の発生について~

紫 和春

文字の大きさ
37 / 54

第37話 仮説を立てました

しおりを挟む
「小堀はこのあとどうするつもりなんだい?」

 ウッマが小堀に尋ねる。

「うーん、避難準備指示だからなぁ……。必ず戻れってわけではないし……」
「じゃあ命令された調査の続きでもするの?」
「そのあたりは全然考えてない。まだ他の調査員の手伝いをするってのもあるが……」

 小堀とウッマが会話している横で、九王はずっと何かを考えているようだ。

「みこね、何か気になることでもあるの?」
「気になることはたくさんありますけど、今はソルレイバーストの発生源がどこなのかを知りたいですね」
「でも、発生源を知ったとして、何か対策を講じることは出来ないんじゃない?」
「……それもそうですね。なら私たちにできることを考えましょう」

 九王はかなり冷静な考えのもと、行動を移そうとしている。
 その様子は、以前のような天真爛漫な性格とは真逆のようにも見える。

「まず、ソルレイバーストがどうして発生するのかを考えましょう」
「どうしてって……。理由なんて簡単に分かるものなのか? しかも宇宙規模の自然現象に対してよ……」
「簡単ではありません。ですが、理解することは現象を解明するための第一歩に相当します。まずは少し実験をしましょう」

 そういって九王は、棚の引き出しに手をかけ、その中から棒状のものを取り出す。

「それは……、懐中電灯?」
「はい。懐中電灯は電池とスイッチが導線に繋がっており、スイッチを入れることで発光部が光ります」
「そりゃそうだろ。俺のことを舐めてるのか?」

 常識問題に、小堀がちょっとイラつく。

「これと同じことがソルレイバーストにも言えるはずです。バースト自体が発光部からの照射に相当し、電池というエネルギー源から供給を受けている……。では、ソルレイバーストのエネルギー源とはなんでしょうか?」
「それは……、あれ? ソルレイバーストは何をエネルギーにしているんだ?」
「通常のガンマ線バーストの場合は、中性子星同士もしくは中性子星とブラックホールの衝突によって発生していると考えられています。ですが、ガンマ線バーストにはそれ相応のエネルギー源が存在しているのに、ソルレイバーストのエネルギー源は存在していません。これは不可解ですね」

 九王の問いかけに、小堀は疑問を浮かべた顔になる。

「原因がないにも関わらず、結果が存在するなんておかしいでしょう。それこそが、ソルレイバーストが何なのかを理解する第一歩です」

 その九王の言葉に、小堀が反論する。

「いやいやいやいや……。となるとだ。ソルレイバーストがガンマ線バーストと異なる原因によって発生しているなら、なんで心霊現象と関係が出てくるんだ? さっき九王君はソルレイバーストと心霊観測の日時が一致していると話したばかりじゃないか。ここまでくると、心霊現象との関係なんてないとしたほうが自然だぞ」

 その言葉に、九王が考えを打ち明ける。

「そこで一つ仮説を立てます。心霊現象が何らかの原因になって、ソルレイバーストを引き起こしているとすれば?」
「心霊現象が原因……? それはいくら何でも言いすぎだろう……」

 小堀は思わず困惑する。それに九王は論を展開する。

「そうとは言い切れません。ソルレイバーストと心霊現象の発生日時が一致している。ソルレイバーストのエネルギー源が不明。偶然とも言うべき事象がすでに二つもあります。偶然は三つ起これば、それは原因が存在する必然と言えるのです」
「だがまだ二つなんだろ? だったらまだ偶然で済ませたほうが楽なんじゃないか?」
「すでに偶然が二つも発生している時点でおかしいとも言えます。ここは原因が分かるまで探求するべきです」

 そういう九王に、小堀は少し疲れた表情をする。

「またこの調子になるのか……」
「こうなったら、みこねは止まらないからね」

 ウッマは九王のやることには基本賛成する。ここで反対の立場をとっているのは小堀だけだ。

「……はぁ、しょうがねぇなぁ……」

 小堀も腹をくくった。

「ソルレイバーストと心霊現象の関係を知る。次の目標はそこか」
「はい。やりましょう。私たちならできるはずです」

 九王たちの次の目標が決まった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー

黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた! あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。 さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。 この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。 さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。

サイレント・サブマリン ―虚構の海―

来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。 科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。 電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。 小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。 「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」 しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。 謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か—— そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。 記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える—— これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。 【全17話完結】

アガルタ・クライシス ―接点―

来栖とむ
SF
神話や物語で語られる異世界は、空想上の世界ではなかった。 九州で発見され盗難された古代の石板には、異世界につながる何かが記されていた。 同時に発見された古い指輪に偶然触れた瞬間、平凡な高校生・結衣は不思議な力に目覚める。 不審な動きをする他国の艦船と怪しい組織。そんな中、異世界からの来訪者が現れる。政府の秘密組織も行動を開始する。 古代から権力者たちによって秘密にされてきた異世界との関係。地球とアガルタ、二つの世界を巻き込む陰謀の渦中で、古代の謎が解き明かされていく。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

名もなき民の戦国時代

のらしろ
ファンタジー
 徹夜で作った卒論を持って大学に向かう途中で、定番の異世界転生。  異世界特急便のトラックにはねられて戦国時代に飛ばされた。  しかも、よくある有名人の代わりや、戦国武将とは全く縁もゆかりもない庶民、しかも子供の姿で桑名傍の浜に打ち上げられる。  幸いなことに通りかかった修行僧の玄奘様に助けられて異世界生活が始まる。  でも、庶民、それも孤児の身分からの出発で、大学生までの生活で培った現代知識だけを持ってどこまで戦国の世でやっていけるか。  とにかく、主人公の孫空は生き残ることだけ考えて、周りを巻き込み無双していくお話です。

処理中です...