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第54話 オカルトは未知でした
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九王との通信が途絶えて1分ほど。
状況は次第に悪化していた。
『キューランソー、敵艦に対して体当たりを敢行!』
『アーバンカークラスの砲撃で、ハラルドルンが航行不能に!』
「えぇい、こちらの浮き砲台も攻撃に回せ!」
「しかし、それではILPAへの電源供給が低下してしまいます!」
『アーバンカークラスの撃沈を確認!』
『こちらも体当たりだ! 1隻でも道連れにしろ!』
前線を張っている2隻の標準戦艦の状況が飛び込んでくる。明らかに劣勢だ。
「クソッ、こんな時に九王君は何をしているんだ……!?」
小堀はパソコンで九王の位置を把握しようとするものの、どこにも反応がない。
そして状況は次第に悪化の一途を辿っていく。
『キューランソー撃沈……!』
『ハラルドルンも航行不能! 撃沈していきます!』
すでにこちら側は満身創痍という状況。もはや防衛手段は残されていない。
そんな時だった。
『検出装置に異常な熱源を確認!』
「何ィ!?」
ブラックホールが蒸発する際には熱が放出される。だが予想値よりもかなり高いようだ。
その異変は上空にいた標準戦艦も確認したようである。
『ILPAから高出力のエネルギー源を確認! これは……、キルシー級超大型戦艦と同規模です!』
水平線の向こうでエモータル級標準戦艦が沈み、アーバンカークラスがこちらに目標を定めた時だった。
突如として検出装置からの通信が途絶え、同時に巨大な揺れに見舞われる。
「じ、地震か!?」
小堀が床にへばりついていると、音声通信で状況が聞こえてくる。
『地表200メートル近くに何かが出現! 人型が浮いています!』
映像が画面に投影される。そこには空中に浮いている九王の姿があった。
「なん……、どうなってるんだ……?」
小堀が驚いている。同然だろう。機械である以外、人間と変わりないはずの九王が空中に浮かんでいるのだから。
その九王の瞳は無機質なカメラのレンズではなく、青く光る有機質な目のようだった。
九王が右手を上げ、アーバンカークラスに手のひらを向ける。
すると、アーバンカークラスの船体が赤くなり、やがて液体へと変化した。
「な、なんだぁ……?」
小堀やシン、シュートリヒは、何が何が起きているのか映像を見てもさっぱりだった。
『アーバンカークラスから強力な熱反応を感知!』
これの種明かしをすれば、九王が余剰次元からエネルギーを抽出し、それを熱エネルギーとしてアーバンカークラスにぶつけたのだ。
結果として、残っていたアーバンカークラスは残らず膨大な熱によって、その機能を喪失していく。
すると九王は、今度は右手をそのまま天へと向けた。すると敵の艦隊全体がグンと上向きに吹き飛ばされ、そのまま宇宙空間へと放出される。
「な、何が起きたんだ……?」
小堀や関係者一同、そのように思うが、一つだけ分かったことがある。
九王に助けられた、ということだ。
それから数日ほど時間が経過する。九王と小堀の姿はジェンジュンにあった。ジェンジュンの近くには、第4銀河艦隊第22巡航部隊の旗艦であるフェリエスケスが鎮座している。
「第4銀河艦隊は、正式に地球に再入植することにしたそうだ。ただし、今後の環境変化を考えて、150年ほど先送りにするらしいが」
「そうですか」
小堀は少し言葉をためらったが、結局口に出す。
「その……、九王君の中には地球人類の統合精神体がいるんだよな?」
「正確に言うなら、地球人類と九王みこねの人格が融合した、新しい機械人間、といったところでしょうか」
「そ、そうか……。今でも余剰次元に出入りできるんだってな?」
「えぇ。意識だけではなく、エネルギーもある程度操ることもできますが、それ以上のことはできません」
「それだけでも十分人間離れしていると思うがな……」
小堀はタハハと笑う。
「ですが、それでも謎は残っています。九王みこねの見立てでは、余剰次元にいた地球人類の精神体による介入が心霊現象の正体だと思われていました。しかし、こうして余剰次元から地球人類の意識を引き上げたにも関わらず、心霊現象はいまだに発生しています。つまり、九王みこねの予想は間違っていたというわけです」
「じゃあ、どうするんだ?」
小堀からの質問に、九王は考え込まずに即答する。
「もちろん、このまま地球に残って心霊現象の正体を突き止めます。それが九王みこねの存在意義ですから」
「そうか……、残念だな。俺は第4銀河艦隊総司令部から呼び出しを食らってるから、一緒に行けない」
「大丈夫です。あなたのことは忘れませんから」
「そう言ってもらえると助かる」
こうして九王は、小堀に見送られて地球へと帰還する。実家ともいえる理研へと降り立つと、そのまま心霊現象を解き明かすための旅へと出発した。
それから数十年後、第4銀河艦隊の独自ネットワーク上にて、とある記事がアップロードされた。
その題名は、「人類なき後の地球における心霊現象の発生について」である。
状況は次第に悪化していた。
『キューランソー、敵艦に対して体当たりを敢行!』
『アーバンカークラスの砲撃で、ハラルドルンが航行不能に!』
「えぇい、こちらの浮き砲台も攻撃に回せ!」
「しかし、それではILPAへの電源供給が低下してしまいます!」
『アーバンカークラスの撃沈を確認!』
『こちらも体当たりだ! 1隻でも道連れにしろ!』
前線を張っている2隻の標準戦艦の状況が飛び込んでくる。明らかに劣勢だ。
「クソッ、こんな時に九王君は何をしているんだ……!?」
小堀はパソコンで九王の位置を把握しようとするものの、どこにも反応がない。
そして状況は次第に悪化の一途を辿っていく。
『キューランソー撃沈……!』
『ハラルドルンも航行不能! 撃沈していきます!』
すでにこちら側は満身創痍という状況。もはや防衛手段は残されていない。
そんな時だった。
『検出装置に異常な熱源を確認!』
「何ィ!?」
ブラックホールが蒸発する際には熱が放出される。だが予想値よりもかなり高いようだ。
その異変は上空にいた標準戦艦も確認したようである。
『ILPAから高出力のエネルギー源を確認! これは……、キルシー級超大型戦艦と同規模です!』
水平線の向こうでエモータル級標準戦艦が沈み、アーバンカークラスがこちらに目標を定めた時だった。
突如として検出装置からの通信が途絶え、同時に巨大な揺れに見舞われる。
「じ、地震か!?」
小堀が床にへばりついていると、音声通信で状況が聞こえてくる。
『地表200メートル近くに何かが出現! 人型が浮いています!』
映像が画面に投影される。そこには空中に浮いている九王の姿があった。
「なん……、どうなってるんだ……?」
小堀が驚いている。同然だろう。機械である以外、人間と変わりないはずの九王が空中に浮かんでいるのだから。
その九王の瞳は無機質なカメラのレンズではなく、青く光る有機質な目のようだった。
九王が右手を上げ、アーバンカークラスに手のひらを向ける。
すると、アーバンカークラスの船体が赤くなり、やがて液体へと変化した。
「な、なんだぁ……?」
小堀やシン、シュートリヒは、何が何が起きているのか映像を見てもさっぱりだった。
『アーバンカークラスから強力な熱反応を感知!』
これの種明かしをすれば、九王が余剰次元からエネルギーを抽出し、それを熱エネルギーとしてアーバンカークラスにぶつけたのだ。
結果として、残っていたアーバンカークラスは残らず膨大な熱によって、その機能を喪失していく。
すると九王は、今度は右手をそのまま天へと向けた。すると敵の艦隊全体がグンと上向きに吹き飛ばされ、そのまま宇宙空間へと放出される。
「な、何が起きたんだ……?」
小堀や関係者一同、そのように思うが、一つだけ分かったことがある。
九王に助けられた、ということだ。
それから数日ほど時間が経過する。九王と小堀の姿はジェンジュンにあった。ジェンジュンの近くには、第4銀河艦隊第22巡航部隊の旗艦であるフェリエスケスが鎮座している。
「第4銀河艦隊は、正式に地球に再入植することにしたそうだ。ただし、今後の環境変化を考えて、150年ほど先送りにするらしいが」
「そうですか」
小堀は少し言葉をためらったが、結局口に出す。
「その……、九王君の中には地球人類の統合精神体がいるんだよな?」
「正確に言うなら、地球人類と九王みこねの人格が融合した、新しい機械人間、といったところでしょうか」
「そ、そうか……。今でも余剰次元に出入りできるんだってな?」
「えぇ。意識だけではなく、エネルギーもある程度操ることもできますが、それ以上のことはできません」
「それだけでも十分人間離れしていると思うがな……」
小堀はタハハと笑う。
「ですが、それでも謎は残っています。九王みこねの見立てでは、余剰次元にいた地球人類の精神体による介入が心霊現象の正体だと思われていました。しかし、こうして余剰次元から地球人類の意識を引き上げたにも関わらず、心霊現象はいまだに発生しています。つまり、九王みこねの予想は間違っていたというわけです」
「じゃあ、どうするんだ?」
小堀からの質問に、九王は考え込まずに即答する。
「もちろん、このまま地球に残って心霊現象の正体を突き止めます。それが九王みこねの存在意義ですから」
「そうか……、残念だな。俺は第4銀河艦隊総司令部から呼び出しを食らってるから、一緒に行けない」
「大丈夫です。あなたのことは忘れませんから」
「そう言ってもらえると助かる」
こうして九王は、小堀に見送られて地球へと帰還する。実家ともいえる理研へと降り立つと、そのまま心霊現象を解き明かすための旅へと出発した。
それから数十年後、第4銀河艦隊の独自ネットワーク上にて、とある記事がアップロードされた。
その題名は、「人類なき後の地球における心霊現象の発生について」である。
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