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第100話 怒り
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一九三八年十二月十日。アメリカ、ホワイトハウス。
ルーズベルト大統領はいつものようにイラついていた。
「何故だ……! 何故イギリスは、ジャップに侵略されているのに何も言わない……!」
その怒りを鎮めようと、トルーマン副大統領が言葉を選んで諭す。
「確かに侵略に見えそうではありますが、日本とイギリスは共同の不可侵条約と植民地放棄条約にて、イギリス領への進駐を許可する旨を明記しています。イギリス領マレーに軍を派遣しているのはこのためでしょう」
「理屈としてはそうだろう。しかし、それではイギリスの国益にならない! あのイギリスのことだ、何か裏を考えているに違いない……!」
そういって机を叩く。
「とにかくだ! イギリスに連絡でもして、真意を確かめるんだ!」
ルーズベルト大統領は外務省の職員に指示を出す。
職員は直ちにイギリス大使館へと赴き、事情を話して説明を求める。
それに回答したイギリス大使の返答はこうだった。
『ノーコメント』
わざわざ格式のある紙に、二つのワードを記載したものをルーズベルトに寄こしたのである。
「ぐぐ……っ! ふざけているのか……!」
その紙を思いっきり握り、力任せに引きちぎる。外務省の職員は、大事な外交文書を破られて顔面蒼白だ。
「こうなれば、イギリス領マレーにでも空爆してやる! 陸軍! できるだろう!?」
ルーズベルト大統領は陸軍士官に問う。
「いえ……、現在ある基地から英領マレーまで飛行できる爆撃機はありません、閣下……」
「ならどこが攻められる!?」
「日本軍がいて、かつ近い場所となりますと……。香港でしょうか?」
それを聞いたトルーマンが、即座に反応する。
「それはいけません! 今香港には、民国軍とイギリス軍がいます! 仮にも同盟である民国軍とイギリス軍に攻撃が命中すれば、直ちに外交問題に発展して国内世論が反戦に傾くことになります!」
「それがどうした!? 多少の犠牲は止むを得んだろう!?」
もはや、ヒトラーとは違った方向性の狂気を孕んでいる。トルーマンはそう思った。
「いいから香港に空爆だ! すべてを破壊すれば、証拠すら残らんだろう!?」
こうして、ルーズベルト大統領の冷静でない命令により、中華民国内の航空基地から多数のB-25が出撃する。
合計二十機のB-25 が上空二〇〇〇メートルを飛行する。
「本当に香港爆撃していいんすかねー?」
編隊長の機体に乗っていた下士官が、隊長に聞く。
「知らんよ。しかしルーズベルト大統領からの直々の命令らしい。それなら、俺たちは大統領の期待に答えるしかないんだよ」
「そういうもんすかねー……」
そんな話をしていると、前方から光る何かが見える。
「ん? 前方に飛行物体らしきものを発見。アレが何か分かるか?」
そういって銃座に座っている兵士が、双眼鏡で観測する。
「あれは……」
雲の隙間から、大量の戦闘機が現れる。その胴体には、赤い丸の国籍識別標が見えるだろう。
「ジャップです! ジャップの戦闘機だ!」
「戦闘準備だ! 対空戦闘用意!」
そういって、全機に命令しようとした時だった。
「待ってください! ジャップの戦闘機以外に何かいます!」
「何!?」
その戦闘機は、日本機と同じ円形の国籍識別標、特徴的な楕円形の主翼。
本来ならここにはいないはずの戦闘機であった。
「スピットファイアです! スピットファイアがいます!」
「なにぃ! どういうことだ!?」
本来ならこんな所にいるはずのない戦闘機である。しかし、現にここにいるのだ。
「もしスピットファイアを撃墜なんてしたら、同盟関係に傷がつく可能性がある! 攻撃はするな!」
「しかしジャップが来てますよ!?」
「とにかく進路変更だ! 爆撃は中止して回避する!」
そういってB-25の編隊は、北に向けて進路を変更する。
しかし、それを容易く見逃してくれるほど、日本は軟弱では無かった。
進路変更している隙を突いて、九八戦が最接近する。そして狙いすましたように二十ミリ機銃をぶっ放す。
一斉に襲い掛かったことによって、B-25の編隊はどんどん墜ちていく。
「くそぉ!」
生き残っている機体の機銃が、九八戦のことを捉える。だがそれを遮るように、スピットファイアが射線を切ってくる。
そして別の方向から九八戦が攻撃する。エンジン火災を発生させ、尾翼を折り、徹底的に攻撃する。
こうしてB-25の編隊は全て墜とされたのだった。
ところで、何故今回は九八戦がB-25の編隊を迎え撃てたのか。それは、イギリスと日本の技術を融合させ、広域レーダーを完成させていたのだ。これにより、レーダーに捉えられた編隊を確認し、迎撃に向かったというわけである。
数時間後、ルーズベルト大統領がB-25が撃墜された知らせを聞く。
「なん……だと……?」
大統領は思わず椅子から転げ落ちてしまう。
「大統領!」
職員が思わず駆け寄るも、大統領は頭を抱えて苦しんでいた。
うめき声の後、全身の力が抜けて床に転がる。
「大統領? 大統領!」
アメリカ時間一九三八年一二月十二日、十九時三十二分。ルーズベルト大統領の死亡が確認された。
ルーズベルト大統領はいつものようにイラついていた。
「何故だ……! 何故イギリスは、ジャップに侵略されているのに何も言わない……!」
その怒りを鎮めようと、トルーマン副大統領が言葉を選んで諭す。
「確かに侵略に見えそうではありますが、日本とイギリスは共同の不可侵条約と植民地放棄条約にて、イギリス領への進駐を許可する旨を明記しています。イギリス領マレーに軍を派遣しているのはこのためでしょう」
「理屈としてはそうだろう。しかし、それではイギリスの国益にならない! あのイギリスのことだ、何か裏を考えているに違いない……!」
そういって机を叩く。
「とにかくだ! イギリスに連絡でもして、真意を確かめるんだ!」
ルーズベルト大統領は外務省の職員に指示を出す。
職員は直ちにイギリス大使館へと赴き、事情を話して説明を求める。
それに回答したイギリス大使の返答はこうだった。
『ノーコメント』
わざわざ格式のある紙に、二つのワードを記載したものをルーズベルトに寄こしたのである。
「ぐぐ……っ! ふざけているのか……!」
その紙を思いっきり握り、力任せに引きちぎる。外務省の職員は、大事な外交文書を破られて顔面蒼白だ。
「こうなれば、イギリス領マレーにでも空爆してやる! 陸軍! できるだろう!?」
ルーズベルト大統領は陸軍士官に問う。
「いえ……、現在ある基地から英領マレーまで飛行できる爆撃機はありません、閣下……」
「ならどこが攻められる!?」
「日本軍がいて、かつ近い場所となりますと……。香港でしょうか?」
それを聞いたトルーマンが、即座に反応する。
「それはいけません! 今香港には、民国軍とイギリス軍がいます! 仮にも同盟である民国軍とイギリス軍に攻撃が命中すれば、直ちに外交問題に発展して国内世論が反戦に傾くことになります!」
「それがどうした!? 多少の犠牲は止むを得んだろう!?」
もはや、ヒトラーとは違った方向性の狂気を孕んでいる。トルーマンはそう思った。
「いいから香港に空爆だ! すべてを破壊すれば、証拠すら残らんだろう!?」
こうして、ルーズベルト大統領の冷静でない命令により、中華民国内の航空基地から多数のB-25が出撃する。
合計二十機のB-25 が上空二〇〇〇メートルを飛行する。
「本当に香港爆撃していいんすかねー?」
編隊長の機体に乗っていた下士官が、隊長に聞く。
「知らんよ。しかしルーズベルト大統領からの直々の命令らしい。それなら、俺たちは大統領の期待に答えるしかないんだよ」
「そういうもんすかねー……」
そんな話をしていると、前方から光る何かが見える。
「ん? 前方に飛行物体らしきものを発見。アレが何か分かるか?」
そういって銃座に座っている兵士が、双眼鏡で観測する。
「あれは……」
雲の隙間から、大量の戦闘機が現れる。その胴体には、赤い丸の国籍識別標が見えるだろう。
「ジャップです! ジャップの戦闘機だ!」
「戦闘準備だ! 対空戦闘用意!」
そういって、全機に命令しようとした時だった。
「待ってください! ジャップの戦闘機以外に何かいます!」
「何!?」
その戦闘機は、日本機と同じ円形の国籍識別標、特徴的な楕円形の主翼。
本来ならここにはいないはずの戦闘機であった。
「スピットファイアです! スピットファイアがいます!」
「なにぃ! どういうことだ!?」
本来ならこんな所にいるはずのない戦闘機である。しかし、現にここにいるのだ。
「もしスピットファイアを撃墜なんてしたら、同盟関係に傷がつく可能性がある! 攻撃はするな!」
「しかしジャップが来てますよ!?」
「とにかく進路変更だ! 爆撃は中止して回避する!」
そういってB-25の編隊は、北に向けて進路を変更する。
しかし、それを容易く見逃してくれるほど、日本は軟弱では無かった。
進路変更している隙を突いて、九八戦が最接近する。そして狙いすましたように二十ミリ機銃をぶっ放す。
一斉に襲い掛かったことによって、B-25の編隊はどんどん墜ちていく。
「くそぉ!」
生き残っている機体の機銃が、九八戦のことを捉える。だがそれを遮るように、スピットファイアが射線を切ってくる。
そして別の方向から九八戦が攻撃する。エンジン火災を発生させ、尾翼を折り、徹底的に攻撃する。
こうしてB-25の編隊は全て墜とされたのだった。
ところで、何故今回は九八戦がB-25の編隊を迎え撃てたのか。それは、イギリスと日本の技術を融合させ、広域レーダーを完成させていたのだ。これにより、レーダーに捉えられた編隊を確認し、迎撃に向かったというわけである。
数時間後、ルーズベルト大統領がB-25が撃墜された知らせを聞く。
「なん……だと……?」
大統領は思わず椅子から転げ落ちてしまう。
「大統領!」
職員が思わず駆け寄るも、大統領は頭を抱えて苦しんでいた。
うめき声の後、全身の力が抜けて床に転がる。
「大統領? 大統領!」
アメリカ時間一九三八年一二月十二日、十九時三十二分。ルーズベルト大統領の死亡が確認された。
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