異世界でエルフに転生したら狙われている件

15.冥冥

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「……――！」

ふいに、ぎゅっと、暖かい手に自分の手が包まれる。

収まらない震えを受け止めるように握られ、思わず真横にいる人物を見上げた。

僕が苦しい時、辛い時、泣きそうなとき、彼は決まって、優しく僕を抱き締める。

「大丈夫」

「！」

「大丈夫だ。信じろ。アルの母親や、村のみんなが無事だって、アルが信じ続けろ。」

そして、そんなこと絶対ありえないって思うことを、なぜか説得力のある言葉で無責任にも堂々と、胸を張って教えてくれるんだ。


その優しさに安心して、泣きそうになる。











けど、それだけじゃない。

胸が熱くなって、心の鼓動がどんどん速くなって、ドキドキして、たまにキュンッとして……。



まるで、何かの病気だ。

病名もわからない、でもどこか甘くて切ない、病気だ。