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序章 終わり際に君は
−5話 持つべきものは、方位磁石。
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砂漠っていうのは、とても暑い場所だと思っていた。
しかし、夜の砂漠は日本の冬のように寒く、火を起こすことに必死になっていた。
幸いなことに、手元に数発分の銃弾とナイフがあった。
ちかくの枯れ木と無煙火薬を使って、火を起こしていく。
中学時代に勝った、戦争映画の知識がまだ頭の片隅に残っていたことに感激しながらも、なるべく体力を消費しないように、焚火のそばで温まっていた。
何もない砂漠の夜空はとても美しく、数日前まで見ていたコンクリートと蛍光灯で遮られていた星空とは大きく違っていた。
「ここは一体……どこなんだ?」
そんなことを考えていた。
楽観的な考えしかできない。
なぜなら、今の今まで非現実的な場所で永遠と戦っていて、現に帰れたはいいけど、見知らぬ土地に飛ばされていた。
「そういえば、今日卒業式だったっけ?」
日にち感覚はわからないし、あれからどれくらいの時間が流れているかは知らないけど、多分今日は卒業式だ。
そんな、謎の確信だけが心の中にあった。
朝になったら、太陽の位置がわかって、自分がどこにいて何処へ行けば帰れるか、なんとなくわかると思っていた。
日出る国と呼ばれた国だ、日の出の方向をひたすら進めばいい。
【西暦二〇二一年・夏ノ事】
日の出とともに、熱くなった砂漠を歩き出す。
遠く後に、川が見えた。
とりあえずそこで水を飲めると思いながら歩いていた。
あと、300mくらいだろうか、歩けど近づくことができない。
砂漠のど真ん中、川を目指して歩き続ける。
何時間もひたすら機械的に、歩きづつけたとき、誰かが自分とすれ違った。
(リィィン)
はっきりとした、日本の鈴の音。
横目で見えた姿は、黒く短い髪の毛と黒い襟シャツ。
体格からして女性だ。
振り返って、その女性を見つめなおした。
「君は?」
初対面だと思うがどこかであったような雰囲気があった。
だから、初初しくもなれなれしくもない口調で、
「どっかで会ったこと、なかったかい?」
そう聞いてみた、女性は背中を見せたまま。
「人は、忘れることができる、だからいい人生を送れるんだ」
そういった。
全く質問の答えになっていない。
「どういうこと?」
そう聞くと同時に気づいた。
日本人。
日本語を話している。
「あっ、君日本人だよね?」
そう尋ねて、彼女の元へと近づく。
彼女は、身動き一つもせず、「迷い込んで、こんなところまで……今返してあげます……先輩」
そうつぶやいた。
「え?どういうこと?」
わけがわからない。
なんで自分がここにいるのかも、どうしてこんなに冷静に、そして楽観的に歩けているのかも。
目の前の女性が何者なのかもわからなかった。
ただ、今いる場所が現実だということだけ理解できる。
それだけが、自分の瘴気を保てる唯一のものであった。
「なぁ、アンタいったい」
そう言った時、自分の右足首を誰かがつかんだ。
驚き、血の気を引かせながら下をのぞく。
彼女の陰から真っ黒な人間がこちらを除き足をつかなんでいたのだ。
「えっ?」
そう声が出た、反射的なもので抑えることも何もできなかった。
彼女は、人間ではない気がした。
まずい、殺される。
そう思って逃げようと足を回した。
でも遅かった。
自分の右足を引っ張り、影の中へと引き釣りこまれた。
(ザブーン)
温かく、真っ暗な海の中に沈むような気分だった。
死んだな。
やけに冷静な反応だった。
その冷静さが死ぬことへの恐怖より大きかった。
ゆっくりと、水の底へと沈んでいく。
「茅野……お前は還れたかな」
そんな言葉が出てきた。
あぁそうだ、あの子は……俺の……
もう死ぬことを受け入れていた。
暗闇の中終わるときを待つだけだ。
しかし、夜の砂漠は日本の冬のように寒く、火を起こすことに必死になっていた。
幸いなことに、手元に数発分の銃弾とナイフがあった。
ちかくの枯れ木と無煙火薬を使って、火を起こしていく。
中学時代に勝った、戦争映画の知識がまだ頭の片隅に残っていたことに感激しながらも、なるべく体力を消費しないように、焚火のそばで温まっていた。
何もない砂漠の夜空はとても美しく、数日前まで見ていたコンクリートと蛍光灯で遮られていた星空とは大きく違っていた。
「ここは一体……どこなんだ?」
そんなことを考えていた。
楽観的な考えしかできない。
なぜなら、今の今まで非現実的な場所で永遠と戦っていて、現に帰れたはいいけど、見知らぬ土地に飛ばされていた。
「そういえば、今日卒業式だったっけ?」
日にち感覚はわからないし、あれからどれくらいの時間が流れているかは知らないけど、多分今日は卒業式だ。
そんな、謎の確信だけが心の中にあった。
朝になったら、太陽の位置がわかって、自分がどこにいて何処へ行けば帰れるか、なんとなくわかると思っていた。
日出る国と呼ばれた国だ、日の出の方向をひたすら進めばいい。
【西暦二〇二一年・夏ノ事】
日の出とともに、熱くなった砂漠を歩き出す。
遠く後に、川が見えた。
とりあえずそこで水を飲めると思いながら歩いていた。
あと、300mくらいだろうか、歩けど近づくことができない。
砂漠のど真ん中、川を目指して歩き続ける。
何時間もひたすら機械的に、歩きづつけたとき、誰かが自分とすれ違った。
(リィィン)
はっきりとした、日本の鈴の音。
横目で見えた姿は、黒く短い髪の毛と黒い襟シャツ。
体格からして女性だ。
振り返って、その女性を見つめなおした。
「君は?」
初対面だと思うがどこかであったような雰囲気があった。
だから、初初しくもなれなれしくもない口調で、
「どっかで会ったこと、なかったかい?」
そう聞いてみた、女性は背中を見せたまま。
「人は、忘れることができる、だからいい人生を送れるんだ」
そういった。
全く質問の答えになっていない。
「どういうこと?」
そう聞くと同時に気づいた。
日本人。
日本語を話している。
「あっ、君日本人だよね?」
そう尋ねて、彼女の元へと近づく。
彼女は、身動き一つもせず、「迷い込んで、こんなところまで……今返してあげます……先輩」
そうつぶやいた。
「え?どういうこと?」
わけがわからない。
なんで自分がここにいるのかも、どうしてこんなに冷静に、そして楽観的に歩けているのかも。
目の前の女性が何者なのかもわからなかった。
ただ、今いる場所が現実だということだけ理解できる。
それだけが、自分の瘴気を保てる唯一のものであった。
「なぁ、アンタいったい」
そう言った時、自分の右足首を誰かがつかんだ。
驚き、血の気を引かせながら下をのぞく。
彼女の陰から真っ黒な人間がこちらを除き足をつかなんでいたのだ。
「えっ?」
そう声が出た、反射的なもので抑えることも何もできなかった。
彼女は、人間ではない気がした。
まずい、殺される。
そう思って逃げようと足を回した。
でも遅かった。
自分の右足を引っ張り、影の中へと引き釣りこまれた。
(ザブーン)
温かく、真っ暗な海の中に沈むような気分だった。
死んだな。
やけに冷静な反応だった。
その冷静さが死ぬことへの恐怖より大きかった。
ゆっくりと、水の底へと沈んでいく。
「茅野……お前は還れたかな」
そんな言葉が出てきた。
あぁそうだ、あの子は……俺の……
もう死ぬことを受け入れていた。
暗闇の中終わるときを待つだけだ。
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