私を陥れた妹と裏切った男は共に破滅する事になりましたが…私はそれを静かに見届けます。

coco

文字の大きさ
1 / 1

私を陥れた妹と裏切った男は共に破滅する事になりましたが…私はそれを静かに見届けます。

しおりを挟む
「お姉様は、巫女みことして失格です。だって、付き人の私を…実の妹を虐めてるんですもの!」

「可哀相に…。そんな女を婚約者に持つなど恥だ、すぐに婚約破棄するよ。それに正直言うと…俺はあんな地味な女より、君のような美しい女が好きなんだ。」

 神殿の片隅で抱き合う、男と女。

 男の方は私の婚約者で、私を守る役目も背負っていた。
 そして女の方は、私の妹だった。

 最近、神殿での風当たりが妙にキツイと思ったら…あの子があんな嘘を付いていたからなのね。
 神官長も神官たちも、美しいあの子の言う事を真に受けたんだわ。

 そしてとうとう、私の婚約者である彼までも─。

 それにしてもあの子…この神殿に入る時、ここに祀られる神に誓ったはずよね?
 ここに居る間は、決して嘘を付かない…真っ当な人間で在る、と─。

 それを破るから、今、神殿は─。

 そして…あの男の女好きにも困ったものだわ。
 巫女である私の婚約者に選ばれながら、色んな女性に手を出したあげく、私の妹と関係を持つとは─。

 あの二人には、いずれ責を負って貰わねば─。

※※※
 
 そんなある日の事、神殿に一人の人物が訪ねて来た。

「まさか、貴方様にお会いできるなんて…光栄ですわ!」

 妹は向かいに座る人物を目にし、頬を赤く染め興奮した様子で挨拶をした。

「それで、王様が私に何の御用でしょう?」

「実はな、君にある重大な役目を負って貰いたい。今のこの神殿には、君の力が必要なんだ。これは、そこに居る巫女には任せられない事だ。どうだ、やってくれるか?」

 その言葉に、妹は私をちらりと見て、馬鹿にしたように笑った。

 そして王様を見て、満面の笑みを浮かべこう言った。
 
「勿論です!王様直々のご命令とあれば、この命に代えてもその務めを果たすと誓います!」

「素晴らしい心がけだ。では、君には彼女の護衛を任せよう。やってくれるか?」

 王様は、妹の隣に居た彼にも尋ねた。

「はい!私も、命に代えてもその務めを果たすと誓います!」

「その言葉、確かに聞いた。では早速、ある儀式を執り行う。それから…今回その役目を果たさぬ彼女には、ここを出て行ってもらう。」

 王様は私を見て、そう言い放った。

「そうですわね、お姉様は居ても邪魔なだけですね。」

「ここを追い出されるなら、これで俺との婚約は破棄だな。せいぜい他の男と、幸せになれ。」

 そして二人の嘲笑を背に受け、私は神殿を後にした─。

※※※

「では儀式を始める。二人共…このひつぎの中に入るがいい。」

「棺って…まるで生贄いけにえじゃないの!これはどういうことなの王様!?」

「それも全てお前のせいだ。お前が神殿で嘘ばかりつくから…そのせいで神殿に悪しき神、邪神が住み着いてしまってな。それを鎮めるには、嘘を付き、そんな神を呼び寄せた張本人の命を捧げねばならない。それにお前は言ったであろう?命に代えても務めを果たすと。今がその時だ。」

「だったら俺は何だ!?俺は関係ないぞ!」

「お前は彼女の護衛なのだから、どんな時でもその傍に居なければならない。彼女が生贄になるのならば、お前もそれに付き従って当然だ。さぁ…そろそろ始めようか。」

「ちょ、ちょっとお姉様!見てないで助けなさいよ!?」

「おい、俺はお前の婚約者の男だぞ!?」

 すると二人は、王の近くに居た私に気付き声をかけて来た。

「…生贄に選ばれるのは、ある意味名誉な事よ。しっかり務めを果たしなさい。それから、私とあなたが婚約関係にあったのは、もう過去の事。婚約破棄になり神殿を出た私とは、もうすっかり縁も切れたのです。ですから私は…ここから静かに、あなたたちの最期を見届けますね?」

「ここって…お姉様が座るそこは、お妃様が座る席じゃ…?」

 妹の言葉に、王は微笑みこう言った。

「そうだ。彼女は神殿を出て、俺の妃になったのだ。俺は以前から、彼女を自分の妃にしたいと思っていたからな。彼女の様な心の綺麗な持ち主を、邪神の住み着くような腐敗した神殿になど置いておけるか。」

「そんな…王様、私こんなの嫌です!務めなどとても果たせません!」

「頼む、俺を助けてくれ…!俺は今度こそお前を好きになるから…だからもう一度婚約を─!」

 二人はそれぞれ好き勝手叫んでいたが…王の従者たちにより、棺に押し込められてしまった。

 私はそんな二人の最期の声を聞きながら、隣に座る王にそっとこの身を寄せた。

 今更そんな事を言っても、何もかももう遅いわ…。
 
 私は、ここから静かに見届けさせて頂きます。
 
 嘘が…そして身勝手な愛が呼び寄せた邪神に、あなたたちがその醜い命を捧げる所をね─。 
しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

お前は要らない、ですか。そうですか、分かりました。では私は去りますね。あ、私、こう見えても人気があるので、次の相手もすぐに見つかりますよ。

四季
恋愛
お前は要らない、ですか。 そうですか、分かりました。 では私は去りますね。

婚約破棄をされるのですね、そのお相手は誰ですの?

恋愛
フリュー王国で公爵の地位を授かるノースン家の次女であるハルメノア・ノースン公爵令嬢が開いていた茶会に乗り込み突如婚約破棄を申し出たフリュー王国第二王子エザーノ・フリューに戸惑うハルメノア公爵令嬢 この婚約破棄はどうなる? ザッ思いつき作品 恋愛要素は薄めです、ごめんなさい。

婚約者の座は譲って差し上げます、お幸せに

四季
恋愛
婚約者が見知らぬ女性と寄り添い合って歩いているところを目撃してしまった。

〖完結〗親友だと思っていた彼女が、私の婚約者を奪おうとしたのですが……

藍川みいな
恋愛
大好きな親友のマギーは、私のことを親友だなんて思っていなかった。私は引き立て役だと言い、私の婚約者を奪ったと告げた。 婚約者と親友をいっぺんに失い、失意のどん底だった私に、婚約者の彼から贈り物と共に手紙が届く。 その手紙を読んだ私は、婚約発表が行われる会場へと急ぐ。 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 前編後編の、二話で完結になります。 小説家になろう様にも投稿しています。

【完結】私の小さな復讐~愛し合う幼馴染みを婚約させてあげましょう~

山葵
恋愛
突然、幼馴染みのハリーとシルビアが屋敷を訪ねて来た。 2人とは距離を取っていたから、こうして会うのは久し振りだ。 「先触れも無く、突然訪問してくるなんて、そんなに急用なの?」 相変わらずベッタリとくっ付きソファに座る2人を見ても早急な用事が有るとは思えない。 「キャロル。俺達、良い事を思い付いたんだよ!お前にも悪い話ではない事だ」 ハリーの思い付いた事で私に良かった事なんて合ったかしら? もう悪い話にしか思えないけれど、取り合えずハリーの話を聞いてみる事にした。

妹の方が良かった?ええどうぞ、熨斗付けて差し上げます。お幸せに!!

古森真朝
恋愛
結婚式が終わって早々、新郎ゲオルクから『お前なんぞいるだけで迷惑だ』と言い放たれたアイリ。 相手に言い放たれるまでもなく、こんなところに一秒たりとも居たくない。男に二言はありませんね? さあ、責任取ってもらいましょうか。

【完】お望み通り婚約解消してあげたわ

さち姫
恋愛
婚約者から婚約解消を求められた。 愛する女性と出会ったから、だと言う。 そう、それなら喜んで婚約解消してあげるわ。 ゆるゆる設定です。3話完結で書き終わっています。

処理中です...