私が大人しいのを良い事に浮気しまくっていた婚約者は、誰からも見放されてしまいました。

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私が大人しいのを良い事に浮気しまくっていた婚約者は、誰からも見放されてしまいました。

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「お前は大人しいから、婚約破棄などできないだろう?」

 …だからと言って、浮気をして良い理由にはならないのに─。

 私の婚約者は、私に隠す事もなく平然と浮気を繰り返していた。
 
 そんな婚約者など、早く捨ててしまえばいい…そうは思うが、彼が拒否するのだ。
 お前の事は好きじゃないが、婚約破棄をする程嫌いでもない…そんな訳の分からない事を言って─。

「お前と結婚したら、ちゃんと落ち着く…それまでは自由にさせてくれ、な?」

 そんな未来…本当に来るのかしら─。

※※※

「…あなたが私の所に来るのは、久しぶりね。もう少し私の相手をしてよ!」

 この女は俺の愛人だが…何人目だったかな?

 余りに色んな女に手を出しすぎて、最近は顔と名前が一致しなくなってきた。

「私、そろそろ誕生日なの。お祝いに、何かくれる約束だったわよね?」

「そ、そうだったか…?」

「そうよ!それを約束してくれたから、お金を貸してあげたんじゃない…もしかして、忘れてた?」

「まさか!…実は、ちゃんと買ってあるぞ!」
 
 俺は鞄の中からネックレスを取り出し、愛人に渡した。
 愛人はかなり気に入ったようで、これからは肌身離さず付けると言った。

 俺はその愛人と楽しんだ後、夜にはその家を出て、また別の愛人の家に向かった。

 実は、あのネックレスは後から会う愛人に渡すつもりだったんだが…予定外の事が起きてしまったな。

 でも大丈夫…代わりの物は用意した。
 さっきあの愛人の家から、指輪を一つ盗んで来た。

 あの女は指輪がなくなった事も、俺が盗った事も何も気づいていない。
 このまま別の愛人に渡しても、大丈夫だろう。

 新しい物を買う金はない…何せ、沢山の愛人を囲うには金がかかる。
 そのせいで、今は少しばかり借金を背負っているが…何、婚約者であるあいつと結婚すれば、何の問題もない。
 
 あいつの家は金持ちだからな、借金などすぐにチャラに出来る。
 
 だから結婚までは浮気しまくり、愛人と楽しく過ごすぞ─!

 そう、思っていたのに…。

「俺と別れる!?この前、贈り物をしたばかりだぞ!」

「これは返すわ。だってこれ、私じゃなく私の義妹に渡す物だったのよね?そしてあなたは私の指輪を盗み、あの子に渡したでしょう?」

「これ、お姉様の指輪よね…盗んだ物がプレゼントってどういう事よ!」

 聞けばこの二人、事情があり離れて暮らして居るが、義理の姉妹だったらしい。
 そして恋人から貰った物を見せ合う内にその秘密に気づき、それを贈った相手が同じ人物…俺である事にも気付いたと言うのだ。

 俺は二人から、泥棒や詐欺で訴える、慰謝料をよこせと散々責められた。

 俺は何とか逃げ出し、他の愛人宅に向かったが…愛人は、俺を屋敷に居れる事を断固拒否した。

「あなたが泥棒だと、もっぱらの噂よ?そんな男が愛人だなんて世間に知られたら、私まで白い目で見られる。貸したお金だけ置いて、さっさと出て行って!」

 そう言って、俺を屋敷から叩き出した。

 その後どの愛人の家に行っても同じような事を言われ、どうする事も出来なかった─。
 
※※※

「それで、私に助けを求めて来たと…?」

「頼むよ、慰謝料や借りた金を払わないなら訴えると、愛人共が口を揃えて言うんだ。お前は俺の婚約者だろ、助けてくれよ!」

「お断りします。」

「何!?」

「あなたとは、この場で婚約破棄します…もう嫌とは言わせません。そして愛人に慰謝料を払うなら、私にも払って下さい。」

「何故だ!」

「私という婚約者が居ながら、浮気をしたからです。私が大人しいから、だから許されるなど勘違いも甚だしいわ。口には出さないだけで、私はとても傷付いたし嫌な思いをしてきました。あなたはこのまま結婚まで持って行って、私にあなたの借金を背負わせるつもりだったんでしょうが、そうは行かないから。」

「そ、そんな…。」

 私をすっかり当てにしていた彼はそれが叶わない事を知り、ガクリとその場に崩れ落ちた─。

 その後彼の噂は、瞬く間に世間に知れ渡る事に。
 彼は女の敵とみなされたのか、この地の女から総スカンを食らってしまった。
 そしてそれを見た男たちからも彼は無視され、全く相手にされなくなってしまった。

 これには彼の両親も焦ったのか、当主の座を彼ではなくその弟に渡す事にし、彼を家から…そしてこの地からも追い出してしまった。

 結局彼に残されたのは、莫大な慰謝料と未返済の借金の山だけ─。

 あれだけ美形で人気があり、常に人に囲まれていた彼が、こんな事になり誰からも見放されてしまうとはね…夢にも思わなかったわ。
 でも、こうなったのも自業自得よ─。
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