6 / 24
教えてくれる
しおりを挟む
祖母が子供のころ、友達に教えてもらった話です。
祖母とその友達は家が近所ということもあり、幼いころからとても仲がよかったそうです。
その友達は、畑で採れた野菜や山で採れた木の実など、祖母によくおすそ分けをしてくれました。
どの食べ物もみな美味しく、祖母はとても嬉しかったそうです。
中でも、秋に持ってきてくれる「柿」が一番おいしかったそうです。
しっかりと色づき形も美しく、口に入れた時の食感や甘みが抜群だったそうです。
そしてその友達が持ってきてくれる柿は、全てがそんな立派な柿でした。
その日もおすそ分けしてもらった柿をおやつに、二人で仲良く食べていました。
「どうすれば、こんなにおいしい柿を見分けることができるの?」
祖母は、その秘訣を友達に尋ねました。
「教えてくれるのよ。」
そう友達は答えました。
そして、更にこう続けました。
「普通に収穫するときは何もないんだけれど、誰かにおすそ分けするときだけ、柿の木が教えてくれるんだよ。」
その友達が言うには、家には三本の柿の木があり、その内の一本がおいしい柿を教えてくれるというのです。
誰かにおすそ分けしよう…さて、どの実がおいしいだろうかと考えていると、その柿の木の枝の一部がガサガサと揺れるのです。
何かが触れたわけでも、風に吹かれたわけでもなく、自然と枝が揺れるのだそうです。
その揺れた枝に実った柿の中から良いものを収穫し、さて今度はどの実にしようかなと見回すと、違う枝がガサガサと揺れるのです。
そして先ほどと同じように、その枝の中から選別し収穫する…これを繰り返すのです。
そうしてもう十分な量になったと思い収穫を終えると、木の枝もピタリと揺れなくなるのだそうです。
「木がそうして教えてくれるから、その教え通りに選んでもってきているんだよ。」
それを聞いた祖母は、何ともありがたい柿の木があるものだと、深く感じ入ったそうです。
そして、柿の木が教えてくれるのは、この子が優しいからだろうと思いました。
この子が持っている、分けてあげたい、美味しいものを食べてもらいたい、そういう想いに、柿の木が応えてれたのだろう…。
祖母は友達に自分の考えを伝え、改めて今までのお礼を口にしました。
「そうだったら嬉しいな。そうして授かったものをこうして一緒に食べるから、より美味しく感じるね。」
友達は祖母にそう返すと、優しく微笑みました。
秋になると、優しい友達とあの美味しい柿が思い出される-。
どこか懐かしい表情で、祖母は語りました。
祖母とその友達は家が近所ということもあり、幼いころからとても仲がよかったそうです。
その友達は、畑で採れた野菜や山で採れた木の実など、祖母によくおすそ分けをしてくれました。
どの食べ物もみな美味しく、祖母はとても嬉しかったそうです。
中でも、秋に持ってきてくれる「柿」が一番おいしかったそうです。
しっかりと色づき形も美しく、口に入れた時の食感や甘みが抜群だったそうです。
そしてその友達が持ってきてくれる柿は、全てがそんな立派な柿でした。
その日もおすそ分けしてもらった柿をおやつに、二人で仲良く食べていました。
「どうすれば、こんなにおいしい柿を見分けることができるの?」
祖母は、その秘訣を友達に尋ねました。
「教えてくれるのよ。」
そう友達は答えました。
そして、更にこう続けました。
「普通に収穫するときは何もないんだけれど、誰かにおすそ分けするときだけ、柿の木が教えてくれるんだよ。」
その友達が言うには、家には三本の柿の木があり、その内の一本がおいしい柿を教えてくれるというのです。
誰かにおすそ分けしよう…さて、どの実がおいしいだろうかと考えていると、その柿の木の枝の一部がガサガサと揺れるのです。
何かが触れたわけでも、風に吹かれたわけでもなく、自然と枝が揺れるのだそうです。
その揺れた枝に実った柿の中から良いものを収穫し、さて今度はどの実にしようかなと見回すと、違う枝がガサガサと揺れるのです。
そして先ほどと同じように、その枝の中から選別し収穫する…これを繰り返すのです。
そうしてもう十分な量になったと思い収穫を終えると、木の枝もピタリと揺れなくなるのだそうです。
「木がそうして教えてくれるから、その教え通りに選んでもってきているんだよ。」
それを聞いた祖母は、何ともありがたい柿の木があるものだと、深く感じ入ったそうです。
そして、柿の木が教えてくれるのは、この子が優しいからだろうと思いました。
この子が持っている、分けてあげたい、美味しいものを食べてもらいたい、そういう想いに、柿の木が応えてれたのだろう…。
祖母は友達に自分の考えを伝え、改めて今までのお礼を口にしました。
「そうだったら嬉しいな。そうして授かったものをこうして一緒に食べるから、より美味しく感じるね。」
友達は祖母にそう返すと、優しく微笑みました。
秋になると、優しい友達とあの美味しい柿が思い出される-。
どこか懐かしい表情で、祖母は語りました。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる