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お前のせいで不幸になったと姉が乗り込んできました、ご自分から彼を奪っておいて何なの?
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「あなたのせいで不幸になったわ…責任取りなさい!」
ある日、けたたましい声と共に姉が押しかけて来た。
「どうなさったの、そんなに興奮なさって。」
「どうもこうもないわ!私、このまま行ったら牢に入れられる…犯罪者になっちゃうのよ!?こうなったのもあなたが悪いのよ、あなたがあんな男を婚約者に迎えるから~!」
何だ…あの男の事で。
だったら仕方ないわ。
だってお姉様は、妹である私の婚約者をご自分から誘惑し奪って行ったんだもの─。
※※※
私には、ついこの前まで美形の婚約者が居た。
彼は容姿が優れているだけでなく、何と密かに王家の血を継いでいると言うではないか─。
「これがその証さ。王家の男は、体のどこかに炎の様な形の痣がある。俺は生まれた頃から、既にこの痣を持って居た。当時の王家はいざこざが絶えなくてな…俺は今の家にひっそりと預けられたと言う訳だ。」
お前は俺の婚約者なんだから、特別に教えてやった…彼はそう言った。
しかしこの話を、姉が盗み聞きしていたのだ。
「妹の癖に姉を差し置き、そんな高貴な身分のお方と婚約してるのは許せないわ!」
「でも、お姉様には既に婚約者が…。」
「あぁ、あの男?彼とはもう婚約破棄したわ。だって、あんな小太りの冴えない男嫌だもの。それにいくらお金持ちでも、王家には敵いっこないじゃない!」
「それなんですが─」
「何よ、私に彼を譲りたくないって?あなたが何と言おうと、私は彼を自分の物にするわ!」
姉は私の話を最後まで聞く事なく、彼へのアプローチを開始した。
姉は私と違い、顔も良くグラマラスな女だ。
そんな姉に迫られ、彼はすぐに姉に夢中になった。
そして私に、婚約破棄を言い渡したのだ。
「あんな美しい女に好きと言われ、断らない男は居ない。悪いがお前との婚約は破棄に…それから、あの話も忘れろよ?」
自分が王家の血を引いているという事は、くれぐれも内密に…彼はそう念を押し、私の元を去った。
「彼が王家へ帰還すれば、婚約者である私は…!あなたとは姉妹だけど、これからの人生は全く違う道を行く事になるでしょう。そうなっても恨まないでよ!」
そう言っていたお姉様が…まさか、犯罪者の道を行く事になるとは─。
※※※
「私はお城に乗り込んで、私の婚約者は王家の血を継いだ男だと教えてあげたのよ!なのに、そんな男は王家に存在しないと言うの。しかも、それに近い男は、もうとっくに戻って来てると言うのよ?そのせいで、私は王家を欺こうとした女だと追われる身に…。一体、何がどうなってるのよ!」
「そんなの簡単な事…彼が、嘘を付いていただけです。痣はいつからあるかは知りませんが、形は偶然そうなっただけ。」
「そんな…!」
「まぁ…私はすぐ気づきましたけど。」
「な、何故!?」
「その嘘のモデルになった人物とは、以前からお知り合いですもの。」
「あなたが本物の王家の男と知り合い…?何でそんな事に、一体どこで!?」
姉は信じられないといった目で、私を見た。
「私たちが幼い頃、一時男の子が家に預けられたでしょう?彼こそが、その嘘のモデルで既に王家に帰還した男です。」
「あ、あれは使用人の子供じゃ…。」
「お父様はそう言って誤魔化してましたがね。お姉様はそれを理由に彼を虐め、そのせいで傷を負った彼を私が手当てしたら…その身体には炎の痣がありました。彼はそれを、王家の男の証だと話してくれました。あの燃える炎の赤い痣…それを見たからこそ、あの男の青黒い痣は偽物だと分かったんです。」
姉はショックの余り、その場に崩れ落ちた。
「王家を欺こうとした上に、本物の王家の人物を虐め傷付けたとあっては…お姉様、タダではすみませんよ─?」
※※※
その後姉は、駆けつけた城の兵に連れて行かれた。
捕らえられた姉は、すぐに牢に入れられた。
そしてその牢の中には、既に元婚約者の嘘つきな彼が捕らえられていた。
その後二人は、共に王家から罰を受ける事に…。
暫く牢に幽閉の後、犯罪者の烙印を押され他国に追放が決まったのだ。
どうやら私が王家に彼の嘘を報せ、彼が捕らえられる直前、姉がお城に乗り込んで行ったのね。
そんな事しなければ、あなたは嘘を付かれた被害者で済んだ話だったのに…。
私のせいで不幸になった、責任を取れと言うから何事かと思えば…全てご自分の行動が招いた結果じゃないの。
まさに、自業自得ね─。
ある日、けたたましい声と共に姉が押しかけて来た。
「どうなさったの、そんなに興奮なさって。」
「どうもこうもないわ!私、このまま行ったら牢に入れられる…犯罪者になっちゃうのよ!?こうなったのもあなたが悪いのよ、あなたがあんな男を婚約者に迎えるから~!」
何だ…あの男の事で。
だったら仕方ないわ。
だってお姉様は、妹である私の婚約者をご自分から誘惑し奪って行ったんだもの─。
※※※
私には、ついこの前まで美形の婚約者が居た。
彼は容姿が優れているだけでなく、何と密かに王家の血を継いでいると言うではないか─。
「これがその証さ。王家の男は、体のどこかに炎の様な形の痣がある。俺は生まれた頃から、既にこの痣を持って居た。当時の王家はいざこざが絶えなくてな…俺は今の家にひっそりと預けられたと言う訳だ。」
お前は俺の婚約者なんだから、特別に教えてやった…彼はそう言った。
しかしこの話を、姉が盗み聞きしていたのだ。
「妹の癖に姉を差し置き、そんな高貴な身分のお方と婚約してるのは許せないわ!」
「でも、お姉様には既に婚約者が…。」
「あぁ、あの男?彼とはもう婚約破棄したわ。だって、あんな小太りの冴えない男嫌だもの。それにいくらお金持ちでも、王家には敵いっこないじゃない!」
「それなんですが─」
「何よ、私に彼を譲りたくないって?あなたが何と言おうと、私は彼を自分の物にするわ!」
姉は私の話を最後まで聞く事なく、彼へのアプローチを開始した。
姉は私と違い、顔も良くグラマラスな女だ。
そんな姉に迫られ、彼はすぐに姉に夢中になった。
そして私に、婚約破棄を言い渡したのだ。
「あんな美しい女に好きと言われ、断らない男は居ない。悪いがお前との婚約は破棄に…それから、あの話も忘れろよ?」
自分が王家の血を引いているという事は、くれぐれも内密に…彼はそう念を押し、私の元を去った。
「彼が王家へ帰還すれば、婚約者である私は…!あなたとは姉妹だけど、これからの人生は全く違う道を行く事になるでしょう。そうなっても恨まないでよ!」
そう言っていたお姉様が…まさか、犯罪者の道を行く事になるとは─。
※※※
「私はお城に乗り込んで、私の婚約者は王家の血を継いだ男だと教えてあげたのよ!なのに、そんな男は王家に存在しないと言うの。しかも、それに近い男は、もうとっくに戻って来てると言うのよ?そのせいで、私は王家を欺こうとした女だと追われる身に…。一体、何がどうなってるのよ!」
「そんなの簡単な事…彼が、嘘を付いていただけです。痣はいつからあるかは知りませんが、形は偶然そうなっただけ。」
「そんな…!」
「まぁ…私はすぐ気づきましたけど。」
「な、何故!?」
「その嘘のモデルになった人物とは、以前からお知り合いですもの。」
「あなたが本物の王家の男と知り合い…?何でそんな事に、一体どこで!?」
姉は信じられないといった目で、私を見た。
「私たちが幼い頃、一時男の子が家に預けられたでしょう?彼こそが、その嘘のモデルで既に王家に帰還した男です。」
「あ、あれは使用人の子供じゃ…。」
「お父様はそう言って誤魔化してましたがね。お姉様はそれを理由に彼を虐め、そのせいで傷を負った彼を私が手当てしたら…その身体には炎の痣がありました。彼はそれを、王家の男の証だと話してくれました。あの燃える炎の赤い痣…それを見たからこそ、あの男の青黒い痣は偽物だと分かったんです。」
姉はショックの余り、その場に崩れ落ちた。
「王家を欺こうとした上に、本物の王家の人物を虐め傷付けたとあっては…お姉様、タダではすみませんよ─?」
※※※
その後姉は、駆けつけた城の兵に連れて行かれた。
捕らえられた姉は、すぐに牢に入れられた。
そしてその牢の中には、既に元婚約者の嘘つきな彼が捕らえられていた。
その後二人は、共に王家から罰を受ける事に…。
暫く牢に幽閉の後、犯罪者の烙印を押され他国に追放が決まったのだ。
どうやら私が王家に彼の嘘を報せ、彼が捕らえられる直前、姉がお城に乗り込んで行ったのね。
そんな事しなければ、あなたは嘘を付かれた被害者で済んだ話だったのに…。
私のせいで不幸になった、責任を取れと言うから何事かと思えば…全てご自分の行動が招いた結果じゃないの。
まさに、自業自得ね─。
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