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呪われた令嬢だと婚約破棄されましたが…私を捨てれば、あなたは不幸になるそうですよ?
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「呪われた女とは、婚約破棄だ!」
私の額を指差し、呪いだと言う婚約者。
「お前…この家に呪いを持ち込む気だろう!俺の知り合いが言っていたぞ、お前は呪い持ちだって。その呪いで俺を殺し、この家の財産を独り占めしようと企んでいると。」
知り合いというのは、恐らくあの女の事だろう。
でもこれは、呪いなんかじゃないのに─。
婚約が決まり彼の家に移り住む事になった私は、それまで暮らしていた領地を出る事になった。
そして私は、毎日通っていた神殿に最後の祈りを捧げた。
「彼との生活が上手く行くよう、どうぞお守り下さい─。」
私はこれまでにも、その神殿に何度も祈りを捧げてきた。
そして、願いはどれもちゃんと叶ってきた。
だから今回も、きっと神様が叶えて下さる─。
その時…頭の中にある声が響いた。
『その願い、叶えてやりたいが…どうにもならなさそうだ。』
「あ、あなたは…?」
『私はこの神殿い祀られしもの…お前たちが、神様と呼んでいるものだ。』
「えぇ!?か、神様…願いが叶えられないって、どうしてです?」
私は驚きつつも、先程の言葉の意味を尋ねた。
『その男には…もう愛人が居るからだ。』
「そ、そんな…!私、彼が好きなんです…このまま諦めたくは─」
『ならば、君に私の加護を付けよう、もしかしたら、悪縁が良縁に代わるやも知れん。』
その瞬間、私の額が急に温かくなった。
そして、もう声は一切聞こえなくなった。
一体、私の額はどうなったんだろう…。
気になったものの、そのまま彼の家に向かえば…私の顔を見るなり、彼は驚きの声を上げた。
「何だ、その醜い痣は─!?」
彼はそうは言うけど…この痣、私には見えないのよね。
私だけじゃない、この家の使用人や、周りの人たちにも見えていない。
見えているのは、彼とその愛人だけのようだった。
それにしても、痣くらいで何だと言うの?
大事なのは、見てくれではなくその人の心…中身よ。
それを呪いだのと決めつけ、一方的に婚約破棄を言い渡すなんて─。
「俺には、もっと自分にふさわしい婚約者が居る。だから、お前はさっさと出て行け!」
「…やはりあなたとの縁は悪縁だった、神様の言った通りだわ。」
「神様だと…?」
「そうよ、私には神様の加護があるの。」
私は彼に、神殿での出来事を話した。
※※※
「…馬鹿馬鹿しい。どうせお前の聞き違いだ!」
「いいえ。私は本当に、神様の声を聞いたのよ!」
すると屋敷の中に、あの神殿で聞いたのと同じ声が響いた。
『愚かな男だ。神の加護を受けた娘を婚約者に迎えたと言うのに…それを自ら捨てるなど。この加護が痣のように醜く見えるのは、お前と愛人の心や生き方が醜いからだ。今日限りで彼女との縁を切るお前には、この先は不幸しか訪れない。神の言葉は絶対だ…覚悟するがよい。』
「ほ、本当に神なのか…?俺が不幸になるだなんて…!おい、婚約破棄は取り辞めだ。」
「いいえ。私はもう、貴方への愛はすっかり冷めてしまいましたから…このまま婚約破棄で構いません。私を愛してるから傍に置きたいのではなく、不幸になりたくないから傍に置きたいだなんて…身勝手が過ぎます!」
私は彼の制止を振り切り…彼の元を去った─。
※※※
「神様、あの時は助けで下さってありがとうございました。」
私は自分の暮らして居た領地に戻ると、すぐに神殿へお礼をしに行った。
すると、また頭の中に神様の声が響いた。
『ここで暫し待て…お前の、運命の相手が現れる。』
「え…!」
そして…一人の殿方が、私の元へとやって来た。
「君がこの地を離れる際、この神殿へ参拝に来た時…その時、俺はあなたに一目惚れをしました。ですが…あなたはもう婚約者が居て…。それでも俺は諦めきれず、恋が叶うよう祈りに来ていたのです。そしてある日、神の声を聞き…今日のこの時間、ここに来るように言われ─。お願いです、どうか俺の恋人になって下さい!」
彼の真剣な眼差し、私をひたむきに思って居てくれた心…それが、今の私にはとても嬉しかった。
「…私たち、どうやら運命の相手らしいですよ。私で良かったら…どうぞ、よろしくお願い致します。」
こうして私は、神様から加護を授かった上に、運命の恋人まで手に入れる事が出来た。
一方、私を捨てた婚約者だが…何故か急に愛人が病に倒れ関係は終わってしまい、それと同時に家の事業は失敗し、屋敷も火事で焼失…彼はついに、路頭に迷う事になってしまった。
今では、愛人の言葉を信じ込み、私を呪われた娘だと捨ててしまった事を、死ぬ程後悔しているそうよ─。
私の額を指差し、呪いだと言う婚約者。
「お前…この家に呪いを持ち込む気だろう!俺の知り合いが言っていたぞ、お前は呪い持ちだって。その呪いで俺を殺し、この家の財産を独り占めしようと企んでいると。」
知り合いというのは、恐らくあの女の事だろう。
でもこれは、呪いなんかじゃないのに─。
婚約が決まり彼の家に移り住む事になった私は、それまで暮らしていた領地を出る事になった。
そして私は、毎日通っていた神殿に最後の祈りを捧げた。
「彼との生活が上手く行くよう、どうぞお守り下さい─。」
私はこれまでにも、その神殿に何度も祈りを捧げてきた。
そして、願いはどれもちゃんと叶ってきた。
だから今回も、きっと神様が叶えて下さる─。
その時…頭の中にある声が響いた。
『その願い、叶えてやりたいが…どうにもならなさそうだ。』
「あ、あなたは…?」
『私はこの神殿い祀られしもの…お前たちが、神様と呼んでいるものだ。』
「えぇ!?か、神様…願いが叶えられないって、どうしてです?」
私は驚きつつも、先程の言葉の意味を尋ねた。
『その男には…もう愛人が居るからだ。』
「そ、そんな…!私、彼が好きなんです…このまま諦めたくは─」
『ならば、君に私の加護を付けよう、もしかしたら、悪縁が良縁に代わるやも知れん。』
その瞬間、私の額が急に温かくなった。
そして、もう声は一切聞こえなくなった。
一体、私の額はどうなったんだろう…。
気になったものの、そのまま彼の家に向かえば…私の顔を見るなり、彼は驚きの声を上げた。
「何だ、その醜い痣は─!?」
彼はそうは言うけど…この痣、私には見えないのよね。
私だけじゃない、この家の使用人や、周りの人たちにも見えていない。
見えているのは、彼とその愛人だけのようだった。
それにしても、痣くらいで何だと言うの?
大事なのは、見てくれではなくその人の心…中身よ。
それを呪いだのと決めつけ、一方的に婚約破棄を言い渡すなんて─。
「俺には、もっと自分にふさわしい婚約者が居る。だから、お前はさっさと出て行け!」
「…やはりあなたとの縁は悪縁だった、神様の言った通りだわ。」
「神様だと…?」
「そうよ、私には神様の加護があるの。」
私は彼に、神殿での出来事を話した。
※※※
「…馬鹿馬鹿しい。どうせお前の聞き違いだ!」
「いいえ。私は本当に、神様の声を聞いたのよ!」
すると屋敷の中に、あの神殿で聞いたのと同じ声が響いた。
『愚かな男だ。神の加護を受けた娘を婚約者に迎えたと言うのに…それを自ら捨てるなど。この加護が痣のように醜く見えるのは、お前と愛人の心や生き方が醜いからだ。今日限りで彼女との縁を切るお前には、この先は不幸しか訪れない。神の言葉は絶対だ…覚悟するがよい。』
「ほ、本当に神なのか…?俺が不幸になるだなんて…!おい、婚約破棄は取り辞めだ。」
「いいえ。私はもう、貴方への愛はすっかり冷めてしまいましたから…このまま婚約破棄で構いません。私を愛してるから傍に置きたいのではなく、不幸になりたくないから傍に置きたいだなんて…身勝手が過ぎます!」
私は彼の制止を振り切り…彼の元を去った─。
※※※
「神様、あの時は助けで下さってありがとうございました。」
私は自分の暮らして居た領地に戻ると、すぐに神殿へお礼をしに行った。
すると、また頭の中に神様の声が響いた。
『ここで暫し待て…お前の、運命の相手が現れる。』
「え…!」
そして…一人の殿方が、私の元へとやって来た。
「君がこの地を離れる際、この神殿へ参拝に来た時…その時、俺はあなたに一目惚れをしました。ですが…あなたはもう婚約者が居て…。それでも俺は諦めきれず、恋が叶うよう祈りに来ていたのです。そしてある日、神の声を聞き…今日のこの時間、ここに来るように言われ─。お願いです、どうか俺の恋人になって下さい!」
彼の真剣な眼差し、私をひたむきに思って居てくれた心…それが、今の私にはとても嬉しかった。
「…私たち、どうやら運命の相手らしいですよ。私で良かったら…どうぞ、よろしくお願い致します。」
こうして私は、神様から加護を授かった上に、運命の恋人まで手に入れる事が出来た。
一方、私を捨てた婚約者だが…何故か急に愛人が病に倒れ関係は終わってしまい、それと同時に家の事業は失敗し、屋敷も火事で焼失…彼はついに、路頭に迷う事になってしまった。
今では、愛人の言葉を信じ込み、私を呪われた娘だと捨ててしまった事を、死ぬ程後悔しているそうよ─。
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