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第2怪 同じ
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怪異に触れるものは、それ自身も怪異になる-。
「なるほど、そうかもしれないね。」
私の言葉を聞いた友達のHちゃんは、そう笑った。
「怖がらせるために言ったんじゃないよ。ただそういうことって、あるかなと思って。」
そう言うと、彼女はその理由を説明した。
※※※
昔ネットで流行ったでしょ、くねくねって話。
あれって、くねくねを遠くから眺めるくらいじゃ問題無いけど、詳細が見えて、それが何者であるかを理解しちゃったら、その人は精神的におかしくなる、そういう内容だったじゃん。
自分から怖いもの見たさに、双眼鏡まで使って覗いて…自分から怪異に近づきすぎたんだよ。
それで、自分自身もおかしいもの、怪異になってしまった。
それは、百物語も同じじゃない?
怖い話を偶然聞いたくらいじゃ何もないけど、自分から百も怖い話を綴るなんて、双眼鏡で自分からくねくね見た人と何も変わらないよ。
あんたの言い方を借りるなら、自分は深淵を覗き込んでるだけのただの観察者だったのに、百物語を綴るようになった時点でただの観察者ではなくなった。
そしてその物語を綴り終えた時に、自身に何らかの怪異が起きる。
その怪異が何であるかを理解した時にはもう、あんた自身は怪異になり果てている。
…なんてね、飛躍しすぎか。
そうそう、私の従兄弟にもそういう怖い話あるよ。
従兄弟はね、あんたと同じように怖いものが好きだった。
心霊スポットに行くことが好きで、あちこちいろんなところへ行ってたみたい。
特に怖い思いをしたり、何か見たりとかは無かったらしくて、自分も早く幽霊を見たい…なんて口にしてた。
そんな従兄弟が、ある日を境に急におかしくなったの。
まるで別人のように、変わってしまった。
そうなったのは、ある心霊スポットに行ってからだった。
私はその心霊スポットで従兄弟に何があったのか、そこに一緒に行ったという従兄弟の友達に話を聞いた。
それはね…いや、話が長くなるから、また今度にしようか。
次会った時に話すから、それ百物語のどこかに入れてよ、これはHちゃんの話ですって。
※※※
フフフと笑うと、Hちゃんは私の方へ身を乗り出した。
「怪異に触れるものは、それ自身も怪異になる。まさに従兄弟はそうなったんだ。自分から怪異に近づいて、自分自身が恐ろしい怪異になってしまった。だからあんたの言う通り、そういうことあはるよ。」
そして、ふと真面目な顔で私にこう言った。
「あんたは、同じにならないでね。」
「なるほど、そうかもしれないね。」
私の言葉を聞いた友達のHちゃんは、そう笑った。
「怖がらせるために言ったんじゃないよ。ただそういうことって、あるかなと思って。」
そう言うと、彼女はその理由を説明した。
※※※
昔ネットで流行ったでしょ、くねくねって話。
あれって、くねくねを遠くから眺めるくらいじゃ問題無いけど、詳細が見えて、それが何者であるかを理解しちゃったら、その人は精神的におかしくなる、そういう内容だったじゃん。
自分から怖いもの見たさに、双眼鏡まで使って覗いて…自分から怪異に近づきすぎたんだよ。
それで、自分自身もおかしいもの、怪異になってしまった。
それは、百物語も同じじゃない?
怖い話を偶然聞いたくらいじゃ何もないけど、自分から百も怖い話を綴るなんて、双眼鏡で自分からくねくね見た人と何も変わらないよ。
あんたの言い方を借りるなら、自分は深淵を覗き込んでるだけのただの観察者だったのに、百物語を綴るようになった時点でただの観察者ではなくなった。
そしてその物語を綴り終えた時に、自身に何らかの怪異が起きる。
その怪異が何であるかを理解した時にはもう、あんた自身は怪異になり果てている。
…なんてね、飛躍しすぎか。
そうそう、私の従兄弟にもそういう怖い話あるよ。
従兄弟はね、あんたと同じように怖いものが好きだった。
心霊スポットに行くことが好きで、あちこちいろんなところへ行ってたみたい。
特に怖い思いをしたり、何か見たりとかは無かったらしくて、自分も早く幽霊を見たい…なんて口にしてた。
そんな従兄弟が、ある日を境に急におかしくなったの。
まるで別人のように、変わってしまった。
そうなったのは、ある心霊スポットに行ってからだった。
私はその心霊スポットで従兄弟に何があったのか、そこに一緒に行ったという従兄弟の友達に話を聞いた。
それはね…いや、話が長くなるから、また今度にしようか。
次会った時に話すから、それ百物語のどこかに入れてよ、これはHちゃんの話ですって。
※※※
フフフと笑うと、Hちゃんは私の方へ身を乗り出した。
「怪異に触れるものは、それ自身も怪異になる。まさに従兄弟はそうなったんだ。自分から怪異に近づいて、自分自身が恐ろしい怪異になってしまった。だからあんたの言う通り、そういうことあはるよ。」
そして、ふと真面目な顔で私にこう言った。
「あんたは、同じにならないでね。」
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