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<後編>
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「しかし、王がそれをお許しになるか…。」
「その汚染された土地で作られた作物が、あなたの口に入ったらどうなさるんです!それに何より、私を守ってくれるんでしょう?」
「口に入る…それは確かに恐ろしい!君を守る為にも俺はやるよ、あいつらを追い出してやる─。」
※※※
「ここがそいつらの住む土地なの?」
「あぁ…だが全く人気が無い。」
「もしかしてどこかに隠れてるとか…それとも逃げた?」
「俺たちの計画が知られてるとでも言うのか?」
「その通りだ、お前たちのやろうとしている事はもう分かっている。罪もない領民を追い出すなど、この国の王として見過ごせない。」
「王がなぜここに!?魔族の瘴気は土地を汚します、俺はそれを何とかしようと来たんです!」
「国王様、私はこの地を守ろうとする、いわば聖女です。私に免じて─」
「何が聖女よ、そんな差別的な心を持った聖女が居るはずないでしょう?あなたの偏見と野心は、私たち魔族よりもよっぽど恐ろしいわ!」
「何であなたが!?」
「あそこを追い出された私はすぐに王の元を訪れ、異世界から来たあなたの話をしたのよ。すると王は、あなたの事をご存じだった。」
「城に仕える魔術師が、近く異世界からの来訪者があると言った。その者は自分の思想を周りに押し付け、いずれその地を支配する恐ろしい存在だと…それはお前の事だったんだな。そうなる前に、この地の住人は皆保護した。」
「私たちにはもうほとんど魔族の血は流れていない。あったとしても人が好きで平和を愛する、そういう心よ…血なんて関係ないわ。」
「お前のような罪深き女はこの地に必要ない、そしてそれに従う愚かな領主もだ。この2人を捕えよ!」
「離して、私は間違ってなんかないわ!」
「頼む、許してくれ─!」
2人はわめき暴れたが、大勢の兵に取り押さえられどうする事もできなかった─。
※※※
あの地は新しい領主が治める事になり、保護されていた住人達も無事に帰って行った。
「王様、私と皆を保護して下さりありがとうございました。」
「俺にはすぐ分かった、君がそんな恐ろしい存在ではないと。君は辛い目に遭っても、周りの事を考え行動できる素晴らしい人だ。どうか、俺の妃になって欲しい。」
「はい、喜んで!」
私はこうして王に求婚され、今ではお城で幸せに暮らしている。
一方捕らえられた2人は牢に入れられ、厳しい罰を受ける事になった。
2人揃ってこの国を追放され、海に浮かぶ離れ小島に送られる事になった。
そこは未開の地とされ、どんな生き物が住んで居るかも分からない島だ。
でもきっと、あなたたちほど恐ろしいものは居ないと私は思うの。
だから安心して、己の罪を償うといいわ─。
「その汚染された土地で作られた作物が、あなたの口に入ったらどうなさるんです!それに何より、私を守ってくれるんでしょう?」
「口に入る…それは確かに恐ろしい!君を守る為にも俺はやるよ、あいつらを追い出してやる─。」
※※※
「ここがそいつらの住む土地なの?」
「あぁ…だが全く人気が無い。」
「もしかしてどこかに隠れてるとか…それとも逃げた?」
「俺たちの計画が知られてるとでも言うのか?」
「その通りだ、お前たちのやろうとしている事はもう分かっている。罪もない領民を追い出すなど、この国の王として見過ごせない。」
「王がなぜここに!?魔族の瘴気は土地を汚します、俺はそれを何とかしようと来たんです!」
「国王様、私はこの地を守ろうとする、いわば聖女です。私に免じて─」
「何が聖女よ、そんな差別的な心を持った聖女が居るはずないでしょう?あなたの偏見と野心は、私たち魔族よりもよっぽど恐ろしいわ!」
「何であなたが!?」
「あそこを追い出された私はすぐに王の元を訪れ、異世界から来たあなたの話をしたのよ。すると王は、あなたの事をご存じだった。」
「城に仕える魔術師が、近く異世界からの来訪者があると言った。その者は自分の思想を周りに押し付け、いずれその地を支配する恐ろしい存在だと…それはお前の事だったんだな。そうなる前に、この地の住人は皆保護した。」
「私たちにはもうほとんど魔族の血は流れていない。あったとしても人が好きで平和を愛する、そういう心よ…血なんて関係ないわ。」
「お前のような罪深き女はこの地に必要ない、そしてそれに従う愚かな領主もだ。この2人を捕えよ!」
「離して、私は間違ってなんかないわ!」
「頼む、許してくれ─!」
2人はわめき暴れたが、大勢の兵に取り押さえられどうする事もできなかった─。
※※※
あの地は新しい領主が治める事になり、保護されていた住人達も無事に帰って行った。
「王様、私と皆を保護して下さりありがとうございました。」
「俺にはすぐ分かった、君がそんな恐ろしい存在ではないと。君は辛い目に遭っても、周りの事を考え行動できる素晴らしい人だ。どうか、俺の妃になって欲しい。」
「はい、喜んで!」
私はこうして王に求婚され、今ではお城で幸せに暮らしている。
一方捕らえられた2人は牢に入れられ、厳しい罰を受ける事になった。
2人揃ってこの国を追放され、海に浮かぶ離れ小島に送られる事になった。
そこは未開の地とされ、どんな生き物が住んで居るかも分からない島だ。
でもきっと、あなたたちほど恐ろしいものは居ないと私は思うの。
だから安心して、己の罪を償うといいわ─。
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