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私の願いは、あなたと幸せになる事でした…それを裏切ったあなたには、不幸が訪れるでしょう。
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私の願いは…婚約者である彼と、幸せになる事だった。
だが…彼はそんな事、望んでは居なかった様だ─。
私がいつもの様に礼拝堂で祈りを捧げ、そして彼の元を訪ねた時…彼の傍には、一人の可愛らしい女が寄り添っていた。
「あの、その方は…?」
「彼女は、俺の家に新しく来た使用人だ。田舎から出て来たばかりで心細いと言うから、少し話し相手をして居たんだ。」
そう言って、彼は彼女に優しく笑いかけた。
そして彼女の方も…そんな彼を見て、うっとりと頬を染めた。
私はその様子を見て、何故かとても嫌な予感がした。
このままでは…二人の距離があっという間に縮んでしまいそうな─。
そして彼は、今に私に見向きもしなくなるのではないかと…そんな気持ちが、心に渦巻いていたのだ─。
※※※
すると、この私の不安は見事に的中した。
彼が、彼女を自分付きのメイドにすると言い出したのだ。
「どうして、あなたの身の回りの事だけさせるのです…!あなたは、私の婚約者でしょう?あまり、年ごろの娘を傍に置かないで欲しいのです。」
しかし…彼は溜息をつくと、私を冷たい目で見た。
「彼女は気が利くし、愛嬌があって…一緒に居ると楽しいんだ。この際だからハッキリ言わせて貰うが…いつも礼拝堂に籠って居る、暗いお前と居ても…面白くも何ともないんだよ!どうしてお前のような女を、俺の婚約相手に選んでしまったのか…後悔しかない!」
「そんな…あんまりです!私があそこで祈って居るのには、訳が─」
「いい、いい。聞きたくない。俺はこれから、彼女を連れ街に買い物に出るから…お前の話など聞いている時間はないんだ。」
そう言って、彼は彼女の肩を抱き…家を出て行ってしまった。
これでは私は…何の為に苦しい思いをして…そして、毎日祈りを捧げて居たのか─。
彼に幸せになって貰いたい…そして、いずれは二人で幸せになろうと思い…私は必死で─。
でも、いいわ。
あんな事を言われたら…私はもう、あなたとの幸せなど願わない。
あなたがどうなろうと…私は知らないから─。
※※※
「…あの方も、お誘いしなくて良かったのですか?」
「構わないさ。実は…あいつとは、近く婚約破棄しようと思って居るんだ。それで、新しい婚約者には…君を選びたい。可愛らしい君が、俺の相手になってくれれば…こんなに幸せな事は無い。」
「私…とても嬉しいわ!」
そう言って、彼女は俺に抱き着いて来た。
まだ街に着くまで時間があるし…このまま馬車の中で、深い関係になるのも悪くはないな─。
そう、俺がほくそ笑んだ時だった。
突然、馬車が道を外れ…運が悪い事に、俺たちの乗った馬車は崖から転落してしまったのだ。
そして…俺が愛した彼女は、その場で息絶えてしまった。
それだけじゃない…。
俺はその事故が元で、美しい顔と…健康な体を失った。
更に、出かけている間に屋敷に窃盗団が入り込み…金目の物は全て盗まれてしまったのだ。
その上、その時まで上手く行っていた事業が突如傾き…すぐに、多額の借金を背負う羽目になってしまった。
おかげで俺は、この怪我を治す事も叶わず…田舎の診療所に送られ、放置されてしまって居る。
「ど、どうしてこう、次から次に不幸に襲われるんだ…!俺は、呪われているのか!?」
「はい…その通りですよ。」
※※※
「お前…俺を見舞いに来てくれたのか!」
「いえ…そうではありません。私は、あなたにお別れを言いに来たのです。」
「…え?」
「あなたがこんな目に遭ったのは、あなたが呪われた一族の末裔だったから─。私はそれを知りつつも、あなたを何とか幸せにしたくて…それで、あなたの代わりに呪いを受け、それが少しでも軽くなるよう、礼拝堂で毎日祈って居たのです。そして、いつか完全い呪いが消えたら…私達は共に幸せになろうと、そう思って─。なのに、あなたはそんな私の気持ちを裏切った。だから、私は祈る事を辞めたのです。」
「何…!?」
「そのせいで、一気にあなたに対し呪いが牙を剥き…あなたの愛した女は死に、あなたの身体は壊れ…何もかも失う事になったのです。」
「彼女は、俺のせいで─」
「でもあんな女、そんな目に遭っても仕方ないです。」
「何だと!?」
「彼女…田舎から出て来たなんて言ってましたが…あれは嘘です。彼女は窃盗団の一味で…金持ちの家に入り込み、仲間を引き込む役を担っていた。あなたの家を襲った窃盗団は…彼女の仲間です。あなたは、あの女に愛されてなど居なかった。あなたは…良いカモだったんですよ。」
「そ、そんな…。」
愛した女の裏切りに…彼は肩を震わせ涙した。
「俺が信じられるのは、やはりお前だけだ…!だから頼む…再び俺の為に、祈りを捧げでくれ!そして今度こそ、二人で幸せになろうじゃないか!」
「お断りです。私…もう別の方とお付きをする事に決めましたから。」
「なッ…!?相手は誰だ!?」
「その礼拝堂を守って居る方で…毎日祈りに来る私を、とても気にかけて下さった優しい方です。彼はそんな私を見て、私が幸せになるよう祈ってくれていたそうです。私…今度お付き合いするなら、そういう思いやりのある方が良いと思ったので…だから、彼の気持ちに応える事にしたのです。では、私はもう行きます。あなたとは、二度とお会いする事は無いでしょう─。」
「待て、行かないでくれ─!」
彼は必死に私の名を呼んでいたが…私はそれを無視し、愛する彼の元へ向かった。
きっとあの方は…今日も私の幸せを願い、あそこで祈りを捧げているだろう。
私はそんな彼に、一刻も早く自分の気持ちを告げたいのだ。
私は、あなたと幸せになりたい…だからこの先は、ずっと一緒に居ましょうね、と─。
だが…彼はそんな事、望んでは居なかった様だ─。
私がいつもの様に礼拝堂で祈りを捧げ、そして彼の元を訪ねた時…彼の傍には、一人の可愛らしい女が寄り添っていた。
「あの、その方は…?」
「彼女は、俺の家に新しく来た使用人だ。田舎から出て来たばかりで心細いと言うから、少し話し相手をして居たんだ。」
そう言って、彼は彼女に優しく笑いかけた。
そして彼女の方も…そんな彼を見て、うっとりと頬を染めた。
私はその様子を見て、何故かとても嫌な予感がした。
このままでは…二人の距離があっという間に縮んでしまいそうな─。
そして彼は、今に私に見向きもしなくなるのではないかと…そんな気持ちが、心に渦巻いていたのだ─。
※※※
すると、この私の不安は見事に的中した。
彼が、彼女を自分付きのメイドにすると言い出したのだ。
「どうして、あなたの身の回りの事だけさせるのです…!あなたは、私の婚約者でしょう?あまり、年ごろの娘を傍に置かないで欲しいのです。」
しかし…彼は溜息をつくと、私を冷たい目で見た。
「彼女は気が利くし、愛嬌があって…一緒に居ると楽しいんだ。この際だからハッキリ言わせて貰うが…いつも礼拝堂に籠って居る、暗いお前と居ても…面白くも何ともないんだよ!どうしてお前のような女を、俺の婚約相手に選んでしまったのか…後悔しかない!」
「そんな…あんまりです!私があそこで祈って居るのには、訳が─」
「いい、いい。聞きたくない。俺はこれから、彼女を連れ街に買い物に出るから…お前の話など聞いている時間はないんだ。」
そう言って、彼は彼女の肩を抱き…家を出て行ってしまった。
これでは私は…何の為に苦しい思いをして…そして、毎日祈りを捧げて居たのか─。
彼に幸せになって貰いたい…そして、いずれは二人で幸せになろうと思い…私は必死で─。
でも、いいわ。
あんな事を言われたら…私はもう、あなたとの幸せなど願わない。
あなたがどうなろうと…私は知らないから─。
※※※
「…あの方も、お誘いしなくて良かったのですか?」
「構わないさ。実は…あいつとは、近く婚約破棄しようと思って居るんだ。それで、新しい婚約者には…君を選びたい。可愛らしい君が、俺の相手になってくれれば…こんなに幸せな事は無い。」
「私…とても嬉しいわ!」
そう言って、彼女は俺に抱き着いて来た。
まだ街に着くまで時間があるし…このまま馬車の中で、深い関係になるのも悪くはないな─。
そう、俺がほくそ笑んだ時だった。
突然、馬車が道を外れ…運が悪い事に、俺たちの乗った馬車は崖から転落してしまったのだ。
そして…俺が愛した彼女は、その場で息絶えてしまった。
それだけじゃない…。
俺はその事故が元で、美しい顔と…健康な体を失った。
更に、出かけている間に屋敷に窃盗団が入り込み…金目の物は全て盗まれてしまったのだ。
その上、その時まで上手く行っていた事業が突如傾き…すぐに、多額の借金を背負う羽目になってしまった。
おかげで俺は、この怪我を治す事も叶わず…田舎の診療所に送られ、放置されてしまって居る。
「ど、どうしてこう、次から次に不幸に襲われるんだ…!俺は、呪われているのか!?」
「はい…その通りですよ。」
※※※
「お前…俺を見舞いに来てくれたのか!」
「いえ…そうではありません。私は、あなたにお別れを言いに来たのです。」
「…え?」
「あなたがこんな目に遭ったのは、あなたが呪われた一族の末裔だったから─。私はそれを知りつつも、あなたを何とか幸せにしたくて…それで、あなたの代わりに呪いを受け、それが少しでも軽くなるよう、礼拝堂で毎日祈って居たのです。そして、いつか完全い呪いが消えたら…私達は共に幸せになろうと、そう思って─。なのに、あなたはそんな私の気持ちを裏切った。だから、私は祈る事を辞めたのです。」
「何…!?」
「そのせいで、一気にあなたに対し呪いが牙を剥き…あなたの愛した女は死に、あなたの身体は壊れ…何もかも失う事になったのです。」
「彼女は、俺のせいで─」
「でもあんな女、そんな目に遭っても仕方ないです。」
「何だと!?」
「彼女…田舎から出て来たなんて言ってましたが…あれは嘘です。彼女は窃盗団の一味で…金持ちの家に入り込み、仲間を引き込む役を担っていた。あなたの家を襲った窃盗団は…彼女の仲間です。あなたは、あの女に愛されてなど居なかった。あなたは…良いカモだったんですよ。」
「そ、そんな…。」
愛した女の裏切りに…彼は肩を震わせ涙した。
「俺が信じられるのは、やはりお前だけだ…!だから頼む…再び俺の為に、祈りを捧げでくれ!そして今度こそ、二人で幸せになろうじゃないか!」
「お断りです。私…もう別の方とお付きをする事に決めましたから。」
「なッ…!?相手は誰だ!?」
「その礼拝堂を守って居る方で…毎日祈りに来る私を、とても気にかけて下さった優しい方です。彼はそんな私を見て、私が幸せになるよう祈ってくれていたそうです。私…今度お付き合いするなら、そういう思いやりのある方が良いと思ったので…だから、彼の気持ちに応える事にしたのです。では、私はもう行きます。あなたとは、二度とお会いする事は無いでしょう─。」
「待て、行かないでくれ─!」
彼は必死に私の名を呼んでいたが…私はそれを無視し、愛する彼の元へ向かった。
きっとあの方は…今日も私の幸せを願い、あそこで祈りを捧げているだろう。
私はそんな彼に、一刻も早く自分の気持ちを告げたいのだ。
私は、あなたと幸せになりたい…だからこの先は、ずっと一緒に居ましょうね、と─。
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