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姉に婚約者を奪われた可哀相な令嬢の私ですが、後に新しい愛を手にする事が出来ました。
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「そんな辛い目に遭って、お可哀相に…。」
「私たちに、何でもご相談して下さいね?」
そう言って、私を憐れみ励ますご令嬢たち。
また慰められてしまったわ…。
でも、仕方ないか。
だって私は、姉に婚約者を奪われた可哀そうな令嬢ですもの─。
※※※
ある日、私の婚約者と姉が、二人揃って姿を消した。
それを知った周りの者は、あの性悪な姉が婚約者を誘惑し私から奪うと、二人は駆け落ちしたと噂した。
そして一人残された私を、可哀相な令嬢と呼んだ─。
部屋のドアをノックする音が聞こえ、一人の青年が入って来た。
「気分はどうだい?」
「大分落ち着いてきたわ。あなたがこうして、毎日来てくれるおかげよ。」
「だって…こんな可哀相な君を、放ってはおけないよ。君の事は僕が支えるから、何も心配しなくていい。」
彼は、私の幼馴染だ。
あの二人が消えてから、彼は毎日、私の元を訪れるようになった。
可哀相な君、か…。
そういう事にしておくわ、だって、その方が─。
私は、今から少し前の事を思い返していた─。
※※※
「こんなところをあの子が見たら、泣いちゃうでしょうね。」
「おいおい、あいつには内緒にしてくれよ?」
「勿論よ。これからも、ここでたっぷり愛し合いましょうね。」
ドアの向こうから、荒い息遣いと喘ぎ声が聞こえてくる。
お二人は、またここで密会しているのね。
私が気づいてないと思ってるみたいだけど、それは大間違いだわ。
だから私はある事を思い付き、それを実行した。
そして、もうすぐそれが分かるわ。
その時のあなたたちの顔、さぞや間抜けな顔をしているんでしょうね。
ああ、でもその顔は見れないわね。
何故ならそれは─。
「…よし、そろそろ、出るか。」
「そうね。いくら隠し部屋で密会してるからって、あまり長居してはあの子に怪しまれるわ。」
「…おい、ドアが開かないぞ!?」
「嘘!?もっと、力を入れてみてよ。」
「無駄です。もうこのドアは開きません。」
「あなた!?な、何でそこに居るのよ!?」
「それより、開かないとはどういう事だ!まさかお前…何かしたのか!?」
「お二人がこの隠し部屋で密会しているのは、とっくに知ってました。でも、その部屋を何だと思って居るのです?」
「ここは…ただの空き部屋で─」
「違います。そこは、魔力を持った私が魔法の勉強に励む為に作って貰った、秘密の部屋です。床を見て下さい…魔法陣が浮かんでいるでしょう?」
「ほ、本当だわ…いつの間にこんな物!」
「おい…これは何の魔法陣だ!?」
「それは…悪しき者を捕えておく捕縛の魔法陣です。そしてその魔法陣は私の魔力で出来ており…私の魔力が尽きない限り、解ける事はありません。」
「た、確かあなたの魔力は…あなたが生きてる限り無限に生まれるのよね…?」
「はい。因みに、私は百歳まで生きると聖女様に断言されて居ますので…お二人は、当分そこから出られませんよ。」
「百年って…そんなの、俺たちとっくに死んで…?」
「酷いわ…この悪女が!」
「…酷いのはどっちよ。ずっと私を裏切り、心の中で馬鹿にしてきた癖に。むしろ…そんなあなた達を、死ぬまで二人一緒に居させてあげるのですから、お礼を言って欲しい位です─。」
扉の向こうで二人はまだ何かを言っていたが…私はそれを無視し、そこを後にした─。
※※※
…これが、駆け落ちの真相だ。
あの隠し部屋で起きた事は、あの二人と私以外、誰も知らない。
だから、私が魔法陣を消さない限り、あの二人はもう─。
「…何か、気掛かりな事でも?」
「いいえ、全く無いわ。それより…今日は何だか、緊張して居ませんか?」
「…今日は、君に大事な話があるんだ。君にはあの愚かな男の事は早く忘れて貰い、幸せになって欲しい。そしてそれは、僕に叶えさせて欲しいんだ。僕は昔から君の事を、一人の女性として好きだった…。哀れみで傍に居るんじゃなく、ただ君が欲しくて─」
私は、彼の唇に自身の唇をそっと重ねた。
「私も…毎日私を見舞い、寄り添ってくれるあなたが好きになったわ。この先も、どうか私の傍に居てね─。」
※※※
「…そうですか。幼馴染のあの方とご婚約を。」
「良かったですわ。辛い事は早く忘れ、新しい幸せに身を委ねる方が良いですものね!」
えぇ…本当に。
あの二人の事など、早く忘れてしまう事にするわ。
そして幼馴染と婚約が決まった私を、もう誰も可哀そうな令嬢などとは呼ばなくなり…私は彼の愛に包まれ、毎日を幸せに過ごしている─。
「私たちに、何でもご相談して下さいね?」
そう言って、私を憐れみ励ますご令嬢たち。
また慰められてしまったわ…。
でも、仕方ないか。
だって私は、姉に婚約者を奪われた可哀そうな令嬢ですもの─。
※※※
ある日、私の婚約者と姉が、二人揃って姿を消した。
それを知った周りの者は、あの性悪な姉が婚約者を誘惑し私から奪うと、二人は駆け落ちしたと噂した。
そして一人残された私を、可哀相な令嬢と呼んだ─。
部屋のドアをノックする音が聞こえ、一人の青年が入って来た。
「気分はどうだい?」
「大分落ち着いてきたわ。あなたがこうして、毎日来てくれるおかげよ。」
「だって…こんな可哀相な君を、放ってはおけないよ。君の事は僕が支えるから、何も心配しなくていい。」
彼は、私の幼馴染だ。
あの二人が消えてから、彼は毎日、私の元を訪れるようになった。
可哀相な君、か…。
そういう事にしておくわ、だって、その方が─。
私は、今から少し前の事を思い返していた─。
※※※
「こんなところをあの子が見たら、泣いちゃうでしょうね。」
「おいおい、あいつには内緒にしてくれよ?」
「勿論よ。これからも、ここでたっぷり愛し合いましょうね。」
ドアの向こうから、荒い息遣いと喘ぎ声が聞こえてくる。
お二人は、またここで密会しているのね。
私が気づいてないと思ってるみたいだけど、それは大間違いだわ。
だから私はある事を思い付き、それを実行した。
そして、もうすぐそれが分かるわ。
その時のあなたたちの顔、さぞや間抜けな顔をしているんでしょうね。
ああ、でもその顔は見れないわね。
何故ならそれは─。
「…よし、そろそろ、出るか。」
「そうね。いくら隠し部屋で密会してるからって、あまり長居してはあの子に怪しまれるわ。」
「…おい、ドアが開かないぞ!?」
「嘘!?もっと、力を入れてみてよ。」
「無駄です。もうこのドアは開きません。」
「あなた!?な、何でそこに居るのよ!?」
「それより、開かないとはどういう事だ!まさかお前…何かしたのか!?」
「お二人がこの隠し部屋で密会しているのは、とっくに知ってました。でも、その部屋を何だと思って居るのです?」
「ここは…ただの空き部屋で─」
「違います。そこは、魔力を持った私が魔法の勉強に励む為に作って貰った、秘密の部屋です。床を見て下さい…魔法陣が浮かんでいるでしょう?」
「ほ、本当だわ…いつの間にこんな物!」
「おい…これは何の魔法陣だ!?」
「それは…悪しき者を捕えておく捕縛の魔法陣です。そしてその魔法陣は私の魔力で出来ており…私の魔力が尽きない限り、解ける事はありません。」
「た、確かあなたの魔力は…あなたが生きてる限り無限に生まれるのよね…?」
「はい。因みに、私は百歳まで生きると聖女様に断言されて居ますので…お二人は、当分そこから出られませんよ。」
「百年って…そんなの、俺たちとっくに死んで…?」
「酷いわ…この悪女が!」
「…酷いのはどっちよ。ずっと私を裏切り、心の中で馬鹿にしてきた癖に。むしろ…そんなあなた達を、死ぬまで二人一緒に居させてあげるのですから、お礼を言って欲しい位です─。」
扉の向こうで二人はまだ何かを言っていたが…私はそれを無視し、そこを後にした─。
※※※
…これが、駆け落ちの真相だ。
あの隠し部屋で起きた事は、あの二人と私以外、誰も知らない。
だから、私が魔法陣を消さない限り、あの二人はもう─。
「…何か、気掛かりな事でも?」
「いいえ、全く無いわ。それより…今日は何だか、緊張して居ませんか?」
「…今日は、君に大事な話があるんだ。君にはあの愚かな男の事は早く忘れて貰い、幸せになって欲しい。そしてそれは、僕に叶えさせて欲しいんだ。僕は昔から君の事を、一人の女性として好きだった…。哀れみで傍に居るんじゃなく、ただ君が欲しくて─」
私は、彼の唇に自身の唇をそっと重ねた。
「私も…毎日私を見舞い、寄り添ってくれるあなたが好きになったわ。この先も、どうか私の傍に居てね─。」
※※※
「…そうですか。幼馴染のあの方とご婚約を。」
「良かったですわ。辛い事は早く忘れ、新しい幸せに身を委ねる方が良いですものね!」
えぇ…本当に。
あの二人の事など、早く忘れてしまう事にするわ。
そして幼馴染と婚約が決まった私を、もう誰も可哀そうな令嬢などとは呼ばなくなり…私は彼の愛に包まれ、毎日を幸せに過ごしている─。
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