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悪役令嬢の使用人ですが、そろそろ飽きたのであなたを破滅させます。<前>
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「あんたって女は、本当に使えないわね…。」
「おい、ヘレナ。どうしてこんな女を使用人にする。もっとマシな奴がいるだろう?」
「お父様が、この女を連れて来たのよ。まぁ何のとりえもないこんな女、他に行く当てもないしね。私が捨てたら、可哀そうなことになるでしょ?」
「ヘレナは、優しいな。さすが、俺の婚約者だ。」
「やだ、ライル様。あの女が見てますわ…。」
また、私をいびってイチャイチャしてる。
あなたたち2人は、いちいち人を貶めないと愛を育めないの?
本当に、バカで可哀そうな人たちね。
あーあ、そろそろ、ここでの暮らしも飽きて来ちゃった。
だから、もういいわよね。
彼女を破滅させちゃっても─。
「そんな、お待ちください!もう少しだけ、あと少しだけではないですか!」
「だって、イヤなものはイヤなんだもの。」
「そんなことになったら、あの約束は…!」
「そんなの知らないわ。あなたが、あの子をちゃんと躾られなかったのが悪いのよ。」
決行は、明日にしよう。
確かお嬢様、明日はライル様とデートだって言ってた。
正に天国から地獄へ、真っ逆さまね。
※※※
「ちょっと、シエル。あんた、どうして私を起こさなかったのよ!ライル様とのデートに、遅刻しちゃうじゃない!」
「ああ、それなら大丈夫ですよ。今日はライル様、お見えになりませんから。」
「は…?どういうことよ。」
「ですから、今日のデートは無しになりました。なのでお嬢様は、私と一緒にお出かけしましょう。」
「馬鹿言わないでよ。何でライル様の代わりに、あんたなんかと!」
「あなたのお父上も、そうしてくれとおっしゃっていましたよ。」
「父が…?ああもう、分かったわよ。じゃあ早速、着替えを手伝いなさい。」
「ごめんなさいお嬢様。今日は私も着替えないといけないので、ご自分でなさって下さい。」
「えぇ!?あんたに髪を整えてもらわないと、自分じゃできないわよ。それにドレスだって…!」
私はごちゃごちゃ言っているお嬢様を無視し、部屋を後にした─。
「ちょっと、着替えて来たわよ…って、あんた何よその恰好は!」
「何か、問題でも?」
「大有りよ!何であんたが、そんなドレスを着てるのよ。それにアクセサリーだって…みんな私より、高価な物ばかりじゃない。どうしてただの使用人のあんたが、そんな物を持ってるの!?」
ただの使用人ね…。
その答えは、これから行く所にありますよ─。
※※※
「久しぶりだね、ヘレナ嬢。」
「は、はい。カイン様。まさか、あなたのお家にお邪魔することになるなんて…夢の様ですわ。それに、ずっと昔パーティ会場でご挨拶しただけの私の名を、覚えていて下さったなんて…!」
ヘレナはカイン様を見て、頬を染めうっとりしている。
カイン様は名家のご子息で、地位・家柄申し分ないお方。
おまけに容姿端麗、文武両道…社交界の中で、ご令嬢たちの憧れの存在なのだ。
「おい、ヘレナ。どうしてこんな女を使用人にする。もっとマシな奴がいるだろう?」
「お父様が、この女を連れて来たのよ。まぁ何のとりえもないこんな女、他に行く当てもないしね。私が捨てたら、可哀そうなことになるでしょ?」
「ヘレナは、優しいな。さすが、俺の婚約者だ。」
「やだ、ライル様。あの女が見てますわ…。」
また、私をいびってイチャイチャしてる。
あなたたち2人は、いちいち人を貶めないと愛を育めないの?
本当に、バカで可哀そうな人たちね。
あーあ、そろそろ、ここでの暮らしも飽きて来ちゃった。
だから、もういいわよね。
彼女を破滅させちゃっても─。
「そんな、お待ちください!もう少しだけ、あと少しだけではないですか!」
「だって、イヤなものはイヤなんだもの。」
「そんなことになったら、あの約束は…!」
「そんなの知らないわ。あなたが、あの子をちゃんと躾られなかったのが悪いのよ。」
決行は、明日にしよう。
確かお嬢様、明日はライル様とデートだって言ってた。
正に天国から地獄へ、真っ逆さまね。
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「ちょっと、シエル。あんた、どうして私を起こさなかったのよ!ライル様とのデートに、遅刻しちゃうじゃない!」
「ああ、それなら大丈夫ですよ。今日はライル様、お見えになりませんから。」
「は…?どういうことよ。」
「ですから、今日のデートは無しになりました。なのでお嬢様は、私と一緒にお出かけしましょう。」
「馬鹿言わないでよ。何でライル様の代わりに、あんたなんかと!」
「あなたのお父上も、そうしてくれとおっしゃっていましたよ。」
「父が…?ああもう、分かったわよ。じゃあ早速、着替えを手伝いなさい。」
「ごめんなさいお嬢様。今日は私も着替えないといけないので、ご自分でなさって下さい。」
「えぇ!?あんたに髪を整えてもらわないと、自分じゃできないわよ。それにドレスだって…!」
私はごちゃごちゃ言っているお嬢様を無視し、部屋を後にした─。
「ちょっと、着替えて来たわよ…って、あんた何よその恰好は!」
「何か、問題でも?」
「大有りよ!何であんたが、そんなドレスを着てるのよ。それにアクセサリーだって…みんな私より、高価な物ばかりじゃない。どうしてただの使用人のあんたが、そんな物を持ってるの!?」
ただの使用人ね…。
その答えは、これから行く所にありますよ─。
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「は、はい。カイン様。まさか、あなたのお家にお邪魔することになるなんて…夢の様ですわ。それに、ずっと昔パーティ会場でご挨拶しただけの私の名を、覚えていて下さったなんて…!」
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