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悪役令嬢の使用人ですが、そろそろ飽きたのであなたを破滅させます。<後>
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「君の噂は、よく聞こえてくるからね。」
「やだ、どんな噂かしら。でもこうしてカイン様とお話しできるなんて、私、今日ここに来て良かったわ。」
「君は今日、婚約者とデートだったと、彼女から聞いたよ。悪いことをしたね。」
そのセリフに、ヘレナは私をギロリと睨んだ。
「そんなこと、カイン様はお気になさらないで。全くこの子は余計なことを言って…どうしようもない付き人ですわ。本当に、気が利かないんだから。」
「へえ、そこまで使えないのかい?」
「ええ。いつも大人しくて面白味もない、愛想もなくて可愛げもない、どうしようもない付き人ですわ。」
「そうなんだ。じゃあ…そんな付き人は、もういらない?」
「そうですわね。他に良い者が居たら、そんな女はクビですわ。でも、行く当てがなければ可哀そうでしょう?」
「いや、当てならあるよ。というか、もう随分前から決まっている。」
「え…?それは、どういう…。」
「おいで、シエル。」
私はカイン様の元へ走って行き、彼に飛びついた。
「カイン様、わがまま言ってごめんなさい。私、もうあそこの暮らし飽きちゃったの。」
「フフ、もう気が済んだだろう?花嫁修業はお終いにして、俺の所へ戻って来るね?」
「シエル、あんた何やってるのよ!?使用人のくせに、カイン様に気安く抱きついてるんじゃないわよ!」
「黙れ、ヘレナ。お前は誰に向かって口をきいている。シエルは俺の婚約者だ。そして、この国の第三王女だぞ。」
「婚約者…王女!?」
「ウフフ、驚かせてごめんなさい。私、一度でいいから使用人として、よそのお嬢様に仕えてみたかったの。そのわがままを、婚約者のカイン様が叶えて下さったのよ。ただし、結婚する日までの期限付きでね。私がその日まで無事あなたの元で勤めあげれば、あなたの家やあなたにそれは素晴らしいご褒美が与えられる約束だったんだけど…それは一切あげられないわね。」
「君はずいぶん彼女をいびってくれたみたいだね。そのお礼は、たっぷりとさせてもらおう。ああ、そうそう…君の婚約者はすでに責任を取ってくれたよ。次は、君だ。君の家は、裏で随分とあくどい事をやっていると聞くからね。その責任も取らなければならないし、ちょうどいいだろう。」
「そんな…!私だって、あなたの正体を知ってれば、大事にしてやったわよ。なのに騙すなんてあんまりだわ!」
「本当かしら。私が王女だと知ったら、それはそれで金をせびるんじゃなくて?大事にしてやる、そんなことを平気で言う人だもの。」
ヘレナは、その場にガクリと崩れ落ちた─。
「シエル…ようやく俺の元に帰って来た。使用人たちの気持ちを知りたい、君がそう言いだした時は驚いたよ。」
「私、いつも王女様として使用人たちに囲まれてきたでしょ。だから、彼女たちの仕事や心の内を知りたかったの。そうしたら、もっといい関係が築けるかと思って。それに、お掃除やお料理が上手くなったら、素敵なお嫁さんになれるじゃない。私、お飾りの王女様は飽き飽きしてたし、花嫁修業も兼ねて行ってきたの。でも、寂しい思いをさせてごめんなさい。私、もうどこにも行かないわ。あなたと、ずっと一緒よ。」
「ああ。もう、離さないからね。」
こうして、使用人だった王女様は、愛する人の元へ戻ってきました。
幸せになる為に、悪役令嬢を破滅させて─。
「やだ、どんな噂かしら。でもこうしてカイン様とお話しできるなんて、私、今日ここに来て良かったわ。」
「君は今日、婚約者とデートだったと、彼女から聞いたよ。悪いことをしたね。」
そのセリフに、ヘレナは私をギロリと睨んだ。
「そんなこと、カイン様はお気になさらないで。全くこの子は余計なことを言って…どうしようもない付き人ですわ。本当に、気が利かないんだから。」
「へえ、そこまで使えないのかい?」
「ええ。いつも大人しくて面白味もない、愛想もなくて可愛げもない、どうしようもない付き人ですわ。」
「そうなんだ。じゃあ…そんな付き人は、もういらない?」
「そうですわね。他に良い者が居たら、そんな女はクビですわ。でも、行く当てがなければ可哀そうでしょう?」
「いや、当てならあるよ。というか、もう随分前から決まっている。」
「え…?それは、どういう…。」
「おいで、シエル。」
私はカイン様の元へ走って行き、彼に飛びついた。
「カイン様、わがまま言ってごめんなさい。私、もうあそこの暮らし飽きちゃったの。」
「フフ、もう気が済んだだろう?花嫁修業はお終いにして、俺の所へ戻って来るね?」
「シエル、あんた何やってるのよ!?使用人のくせに、カイン様に気安く抱きついてるんじゃないわよ!」
「黙れ、ヘレナ。お前は誰に向かって口をきいている。シエルは俺の婚約者だ。そして、この国の第三王女だぞ。」
「婚約者…王女!?」
「ウフフ、驚かせてごめんなさい。私、一度でいいから使用人として、よそのお嬢様に仕えてみたかったの。そのわがままを、婚約者のカイン様が叶えて下さったのよ。ただし、結婚する日までの期限付きでね。私がその日まで無事あなたの元で勤めあげれば、あなたの家やあなたにそれは素晴らしいご褒美が与えられる約束だったんだけど…それは一切あげられないわね。」
「君はずいぶん彼女をいびってくれたみたいだね。そのお礼は、たっぷりとさせてもらおう。ああ、そうそう…君の婚約者はすでに責任を取ってくれたよ。次は、君だ。君の家は、裏で随分とあくどい事をやっていると聞くからね。その責任も取らなければならないし、ちょうどいいだろう。」
「そんな…!私だって、あなたの正体を知ってれば、大事にしてやったわよ。なのに騙すなんてあんまりだわ!」
「本当かしら。私が王女だと知ったら、それはそれで金をせびるんじゃなくて?大事にしてやる、そんなことを平気で言う人だもの。」
ヘレナは、その場にガクリと崩れ落ちた─。
「シエル…ようやく俺の元に帰って来た。使用人たちの気持ちを知りたい、君がそう言いだした時は驚いたよ。」
「私、いつも王女様として使用人たちに囲まれてきたでしょ。だから、彼女たちの仕事や心の内を知りたかったの。そうしたら、もっといい関係が築けるかと思って。それに、お掃除やお料理が上手くなったら、素敵なお嫁さんになれるじゃない。私、お飾りの王女様は飽き飽きしてたし、花嫁修業も兼ねて行ってきたの。でも、寂しい思いをさせてごめんなさい。私、もうどこにも行かないわ。あなたと、ずっと一緒よ。」
「ああ。もう、離さないからね。」
こうして、使用人だった王女様は、愛する人の元へ戻ってきました。
幸せになる為に、悪役令嬢を破滅させて─。
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