悪役令嬢の使用人ですが、そろそろ飽きたのであなたを破滅させます。

coco

文字の大きさ
2 / 2

悪役令嬢の使用人ですが、そろそろ飽きたのであなたを破滅させます。<後>

しおりを挟む
「君のうわさは、よく聞こえてくるからね。」

「やだ、どんな噂かしら。でもこうしてカイン様とお話しできるなんて、私、今日ここに来て良かったわ。」

「君は今日、婚約者こんやくしゃとデートだったと、彼女から聞いたよ。悪いことをしたね。」

 そのセリフに、ヘレナは私をギロリとにらんだ。

「そんなこと、カイン様はお気になさらないで。全くこの子は余計よけいなことを言って…どうしようもない付き人ですわ。本当に、気がかないんだから。」

「へえ、そこまで使えないのかい?」

「ええ。いつも大人しくて面白味もない、愛想あいそもなくて可愛げもない、どうしようもない付き人ですわ。」

「そうなんだ。じゃあ…そんな付き人は、もういらない?」

「そうですわね。他に良い者が居たら、そんな女はクビですわ。でも、行く当てがなければ可哀そうでしょう?」

「いや、当てならあるよ。というか、もう随分ずいぶん前から決まっている。」

「え…?それは、どういう…。」

「おいで、シエル。」

 私はカイン様の元へ走って行き、彼に飛びついた。

「カイン様、わがまま言ってごめんなさい。私、もうあそこのらしきちゃったの。」

「フフ、もう気がんだだろう?花嫁修業はなよめしゅぎょうはおしまいにして、俺の所へ戻って来るね?」

「シエル、あんた何やってるのよ!?使用人しようにんのくせに、カイン様に気安きやすきついてるんじゃないわよ!」

だまれ、ヘレナ。お前は誰に向かって口をきいている。シエルは俺の婚約者だ。そして、この国の第三王女だぞ。」 

「婚約者…王女!?」

「ウフフ、おどろかせてごめんなさい。私、一度でいいから使用人として、よそのお嬢様に仕えてみたかったの。そのわがままを、婚約者のカイン様がかなえて下さったのよ。ただし、結婚する日までの期限付きでね。私がその日まで無事あなたの元でつとめあげれば、あなたの家やあなたにそれは素晴らしいご褒美ほうびが与えられる約束やくそくだったんだけど…それは一切いっさいあげられないわね。」

「君はずいぶん彼女をいびってくれたみたいだね。そのお礼は、たっぷりとさせてもらおう。ああ、そうそう…君の婚約者はすでに責任せきにんを取ってくれたよ。次は、君だ。君の家は、うら随分ずいぶんとあくどい事をやっていると聞くからね。その責任も取らなければならないし、ちょうどいいだろう。」

「そんな…!私だって、あなたの正体を知ってれば、大事だいじにしてやったわよ。なのにだますなんてあんまりだわ!」

「本当かしら。私が王女だと知ったら、それはそれで金をせびるんじゃなくて?大事に、そんなことを平気へいきで言う人だもの。」

 ヘレナは、その場にガクリとくずれ落ちた─。

「シエル…ようやく俺の元に帰って来た。使用人たちの気持ちを知りたい、君がそう言いだした時はおどろいたよ。」

「私、いつも王女様として使用人たちに囲まれてきたでしょ。だから、彼女たちの仕事や心の内を知りたかったの。そうしたら、もっといい関係がきずけるかと思って。それに、お掃除やお料理が上手うまくなったら、素敵すてきなお嫁さんになれるじゃない。私、おかざりの王女様は飽き飽きしてたし、花嫁修業もねて行ってきたの。でも、さびしい思いをさせてごめんなさい。私、もうどこにも行かないわ。あなたと、ずっと一緒よ。」

「ああ。もう、はなさないからね。」

 こうして、使用人だった王女様は、愛する人の元へ戻ってきました。
 幸せになる為に、悪役令嬢あくやくれいじょう破滅はめつさせて─。 
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

平手打ちされたので、婚約破棄宣言に拳でお答えしました

Megumi
恋愛
婚約破棄を告げられ、婚約者に平手打ちされた——その瞬間。 伯爵令嬢イヴの拳が炸裂した。 理不尽に耐える淑女の時代は、もう終わり。 これは“我慢しない令嬢”が、これまでの常識を覆す話。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

すべてを思い出したのが、王太子と結婚した後でした

珠宮さくら
恋愛
ペチュニアが、乙女ゲームの世界に転生したと気づいた時には、すべてが終わっていた。 色々と始まらなさ過ぎて、同じ名前の令嬢が騒ぐのを見聞きして、ようやく思い出した時には王太子と結婚した後。 バグったせいか、ヒロインがヒロインらしくなかったせいか。ゲーム通りに何一ついかなかったが、ペチュニアは前世では出来なかったことをこの世界で満喫することになる。 ※全4話。

聖夜は愛人と過ごしたい?それなら、こちらにも考えがあります

法華
恋愛
貴族の令嬢であるメイシアは、親同士の政略によってランディと婚約していた。年明けには結婚が迫っているというのに、ランディは準備もせず愛人と過ごしてばかり。そんな中迎えたクリスマス、ランディはメイシアが懸命に用意した互いの親族を招いてのパーティーをすっぽかし、愛人と過ごすと言い出して......。 そんなに協力する気がないなら、こちらにも考えがあります。最高のプレゼントをご用意しましょう。 ※四話完結

幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。

灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。 曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。 婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。 前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。

許すかどうかは、あなたたちが決めることじゃない。ましてや、わざとやったことをそう簡単に許すわけがないでしょう?

珠宮さくら
恋愛
婚約者を我がものにしようとした義妹と義母の策略によって、薬品で顔の半分が酷く爛れてしまったスクレピア。 それを知って見舞いに来るどころか、婚約を白紙にして義妹と婚約をかわした元婚約者と何もしてくれなかった父親、全員に復讐しようと心に誓う。 ※全3話。

地味な私では退屈だったのでしょう? 最強聖騎士団長の溺愛妃になったので、元婚約者はどうぞお好きに

有賀冬馬
恋愛
「君と一緒にいると退屈だ」――そう言って、婚約者の伯爵令息カイル様は、私を捨てた。 選んだのは、華やかで社交的な公爵令嬢。 地味で無口な私には、誰も見向きもしない……そう思っていたのに。 失意のまま辺境へ向かった私が出会ったのは、偶然にも国中の騎士の頂点に立つ、最強の聖騎士団長でした。 「君は、僕にとってかけがえのない存在だ」 彼の優しさに触れ、私の世界は色づき始める。 そして、私は彼の正妃として王都へ……

処理中です...