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婚約者が義妹と結ばれる事を望むので、ある秘密を告白し婚約破棄しようと思います─。
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素顔を見せたがらない引きこもりの姉と、美しく社交的な義妹。
私たちは、正反対の姉妹だった。
そんな私に対し、婚約者はもはや愛などない─。
※※※
「お姉様、ちょっとくらい顔を見なさいよ。余程自分の顔に自信がないの?」
真っ赤に塗りたくった唇を歪め、笑みを浮かべる女。
彼女は、最近できた血の繋がらない妹だ。
その彼女に、婚約者の彼はすぐに心奪われた。
「そんな奴放っておけ!そいつは醜い化け物。初めて引き合わされた時に見たそいつの顔…とんでもなく気色の悪いものだった。そんな女の近くに居れば、美しいお前に害があるかも知れん。」
「やだ、怖い!だったら早く婚約破棄して、私をあなたの婚約者にして?」
「それが…父がうるさくてな。そいつは神託で選ばれた娘だから、大事にしろと。だが父が亡くなり、俺がこの家を任されたからにはもう自由…すぐに君の望み通りにするよ。」
あなたは最後まで、私を醜い化け物と呼び嫌った。
そしてついに、私の真実に気付く事なく捨ててしまう。
義妹を迎える…そのせいで失うものが多くあると言うのに─。
※※※
「大事な話とは何だ?まさか…お前から婚約破棄をしてくれるのか!?」
「はい。あなたがそんなに私が嫌いで、あの義妹がお好きなら、妄想した方が良いかと思いまして。」
私の言葉に、彼は満面の笑みを浮かべた。
「ならばその、代々この家に伝わる指輪を返せ。婚約前、お前が父から貰った指輪だよ。」
「あれなら、もう先に義妹に渡しました。あの子も早く欲しがっていたから。今頃はあれを付け、あなたの家であなたの帰りを待ってるでしょう。」
「ならば、一刻も早く帰らねば!」
「お待ちを!あなたは、あの指輪がどういう物か、詳しくご存じ?」
「いや、珍しい宝石を使ってる事くらいしか─」
「あれは、人の魔力を好む石で…故にそれをはめた者の魔力を吸い取り、幸運へと変える…一種の魔道具でもあるのす。」
「な、何だってそんな物が婚約指輪に…!」
「あなたの家は、代々ご神託で選ばれた婚約者の娘の力を借り幸運を得て…そして繫栄して来たのです。私もその一人でした。でも、魔力をずっと吸い取られると言うのは、中々に辛いもの。体への負担が相当かかります。私はその代償として、自身の美を失いました。」
「美って…お前は醜い化け物じゃ─」
私は、顔に撒いていたストールを外した。
するとそこには、幸のように白くて透明な肌を持つ、儚くて可憐な美しい娘が─。
婚約者は、私のその顔に思わず見とれてしまっている。
「あの指輪を外した事で、私は本体の自分に戻れました。」
「お、おい…やっぱり婚約破棄は─」
「無理です、もう婚約の証は義妹に渡しましたので。今のあなたの婚約者は義妹です。いいじゃない、あの子も中々に美しいから。でも…今もそうとは限りませんけどね。魔力をたっぷり持った私でもあんなことになったんだから…信託も授かってない、魔力がわずかしかない義妹では…どうなってるでしょうね。どうぞお行になって?私はあなたの様な男など、喜んであの子に譲りますから。」
私の言葉に、彼は真っ青になり家を飛び出した─。
※※※
案の定、義妹は指輪を付けたまま、醜い姿で息絶え絶えになっていた。
おそらく魔力が足りなかったから、生命力まで吸われてしまったのね。
そして今回の騒動が明るみとなり、彼の家は恐ろしい一族だと噂されるようになった。
彼の婚約者になる事は、まさに悪魔の生贄にされるのと同じだと悪評が立ち、あんなに美形でモテていた彼は、嘘みたいに嫌われてしまい…そしてついには、この地に居られなくなり姿を消した。
指輪を外された義妹も、未だに元の美しい姿に戻ることができす、家に引きこもるようになってしまった。
一方、元の顔に戻った私は自信を取り戻し、そのおかげで本来の社交的な性格に戻る事が出来た。
そしてあるパーティーで素敵な殿方と出会い、縁あって婚約する事となった。
彼から贈られた指輪は、今度こそちゃんとした婚約指輪で…それを指にはめて貰った私は、満面の笑みを浮かべた─。
私たちは、正反対の姉妹だった。
そんな私に対し、婚約者はもはや愛などない─。
※※※
「お姉様、ちょっとくらい顔を見なさいよ。余程自分の顔に自信がないの?」
真っ赤に塗りたくった唇を歪め、笑みを浮かべる女。
彼女は、最近できた血の繋がらない妹だ。
その彼女に、婚約者の彼はすぐに心奪われた。
「そんな奴放っておけ!そいつは醜い化け物。初めて引き合わされた時に見たそいつの顔…とんでもなく気色の悪いものだった。そんな女の近くに居れば、美しいお前に害があるかも知れん。」
「やだ、怖い!だったら早く婚約破棄して、私をあなたの婚約者にして?」
「それが…父がうるさくてな。そいつは神託で選ばれた娘だから、大事にしろと。だが父が亡くなり、俺がこの家を任されたからにはもう自由…すぐに君の望み通りにするよ。」
あなたは最後まで、私を醜い化け物と呼び嫌った。
そしてついに、私の真実に気付く事なく捨ててしまう。
義妹を迎える…そのせいで失うものが多くあると言うのに─。
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「大事な話とは何だ?まさか…お前から婚約破棄をしてくれるのか!?」
「はい。あなたがそんなに私が嫌いで、あの義妹がお好きなら、妄想した方が良いかと思いまして。」
私の言葉に、彼は満面の笑みを浮かべた。
「ならばその、代々この家に伝わる指輪を返せ。婚約前、お前が父から貰った指輪だよ。」
「あれなら、もう先に義妹に渡しました。あの子も早く欲しがっていたから。今頃はあれを付け、あなたの家であなたの帰りを待ってるでしょう。」
「ならば、一刻も早く帰らねば!」
「お待ちを!あなたは、あの指輪がどういう物か、詳しくご存じ?」
「いや、珍しい宝石を使ってる事くらいしか─」
「あれは、人の魔力を好む石で…故にそれをはめた者の魔力を吸い取り、幸運へと変える…一種の魔道具でもあるのす。」
「な、何だってそんな物が婚約指輪に…!」
「あなたの家は、代々ご神託で選ばれた婚約者の娘の力を借り幸運を得て…そして繫栄して来たのです。私もその一人でした。でも、魔力をずっと吸い取られると言うのは、中々に辛いもの。体への負担が相当かかります。私はその代償として、自身の美を失いました。」
「美って…お前は醜い化け物じゃ─」
私は、顔に撒いていたストールを外した。
するとそこには、幸のように白くて透明な肌を持つ、儚くて可憐な美しい娘が─。
婚約者は、私のその顔に思わず見とれてしまっている。
「あの指輪を外した事で、私は本体の自分に戻れました。」
「お、おい…やっぱり婚約破棄は─」
「無理です、もう婚約の証は義妹に渡しましたので。今のあなたの婚約者は義妹です。いいじゃない、あの子も中々に美しいから。でも…今もそうとは限りませんけどね。魔力をたっぷり持った私でもあんなことになったんだから…信託も授かってない、魔力がわずかしかない義妹では…どうなってるでしょうね。どうぞお行になって?私はあなたの様な男など、喜んであの子に譲りますから。」
私の言葉に、彼は真っ青になり家を飛び出した─。
※※※
案の定、義妹は指輪を付けたまま、醜い姿で息絶え絶えになっていた。
おそらく魔力が足りなかったから、生命力まで吸われてしまったのね。
そして今回の騒動が明るみとなり、彼の家は恐ろしい一族だと噂されるようになった。
彼の婚約者になる事は、まさに悪魔の生贄にされるのと同じだと悪評が立ち、あんなに美形でモテていた彼は、嘘みたいに嫌われてしまい…そしてついには、この地に居られなくなり姿を消した。
指輪を外された義妹も、未だに元の美しい姿に戻ることができす、家に引きこもるようになってしまった。
一方、元の顔に戻った私は自信を取り戻し、そのおかげで本来の社交的な性格に戻る事が出来た。
そしてあるパーティーで素敵な殿方と出会い、縁あって婚約する事となった。
彼から贈られた指輪は、今度こそちゃんとした婚約指輪で…それを指にはめて貰った私は、満面の笑みを浮かべた─。
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