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義妹を可愛がりすぎ、私を悪人だと言って婚約破棄した婚約者は…彼女と共に破滅しました。
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ある日突然、家に戻って来た婚約者の義妹。
彼女は神殿で、巫女としてお世話になって居た。
しかしその神殿で、ある騒ぎがあったと聞いたが…。
「あの子を家に置くのは、お辞めになった方が…。」
「はぁ?何を言う!」
「ですが…あの子が悪人だったら、あなたどうするんです?」
「あの子が悪人だと!?お前…あの子が可愛いからって、嫉妬してるんだろう?いくら自分が可愛くないからって、可愛い女を敵視するのは辞めろ!」
彼は、血の繋がって居ないこの妹の事が大好きだった。
そのせいで、私の話をまともに聞いてくれもしない─。
それから少しして…私は、彼に大事な話があると言われた。
彼の後ろには、義妹がピタリと寄り添っている。
「お前、まだこの子を悪人だと疑ってるようだな?しかも、それを理由に虐めるなんて…この子が教えてくれたぞ!」
「ま、待って下さい…虐めなんて、私はそんな事─」
「悪い事をしてる者ほど、やっていないと嘘をつくんだ!お前みたいな悪人とは、もう婚約破棄する!」
「そんな…。」
それを見て、彼の義妹はクスクスと笑って居る。
そんな子の言う事を真に受けて、私をこんな形で捨てるなんて…後悔しても、知らないんだから─。
※※※
あの女が居なくなってくれて良かった。
私を疑うあの女が消えれば、後は私に味方するお兄様だけ。
この家の財産…それを逃亡資金にして、ここからさっさと逃げてやる─。
「…大変だ、憲兵がお前を探しにこの家にやって来た!お前…一体何をしたんだ!?」
「えぇ!?」
そんな…もうここにやって来るなんて、どうして─!
「大人しくしろ!今から、俺たちと共に来て貰う!」
私とお兄様はすぐに捕らえられ、神殿へ連れて行かれた─。
そしてそこには…この国の王が待ち構えていた。
「勝手に神殿から消えて、随分逃げ回ってくれたな。血の繋がらぬ兄に匿って貰っていたのか…この犯罪者め!」
「…私はやってません!あんな大きくて重い神具を、このか弱い私に盗み出せるはず─」
「いい加減、嘘を付くのは辞めたら?」
「…な、何でここに!」
そこには、兄の元婚約者が居た。
※※※
「私が、あなたの居場所を知らせた人物だからよ。あなたは知らないでしょうが、私はこの神殿に時々祈りに来ていたの。すると、あなたと怪しげな男たちが、何やら話し込んでいるのが見えてね。こっそり様子を伺っていたら、あなたがその男たちと、神殿の宝物庫にある神具を狙って居ると言う話が聞こえて来たのよ。」
「そ…それは。」
「そのすぐ後に、あの泥棒騒ぎでしょう?私、あなたがあの男たちを手引きしたんじゃないかと疑っていたの。そしたら、あなたが神殿から姿を消し、あの家に現れるから…疑惑が確信へと変わったのよ。」
「窃盗団の方は少し前に捕まった。かなり口が堅かったが…やっとお前の名前を出した。誤魔化そうとしても、もう無理だ!」
「そんな…!」
「あれは、我が国にとっても大事な宝だ。よってお前には、厳しい罰を与える!」
「い、嫌…助けて、お兄様!」
「大人しくしないか!早くこの女を連れて行け!」
そして元婚約者の義妹は、兵に取り押さえられ神殿を出て行った。
「お、俺は盗みなどしてない!だから、もう帰して下さい!」
「そう言う訳にはいかない。お前には、犯人を匿ったとして、罰を受けて貰う。
「えぇ!?」
「仕方ありませんよ。私…あなたにちゃんと言いましたよね?もっとあの子を疑うべきだと。なのにあなたはそれを無視した上…あの子にまんまと騙され、ありもしない虐めなどという罪を私に着せた。私を悪人呼ばわりし─。」
「全く、どっちが悪人だろうな。さぁ、この男も連れて行け!」
「そ、そんな…どうか助けてくれ─!」
私は彼の叫びを無視し、その姿を見送った─。
※※※
あれから義妹は、窃盗団と共に処刑される事が決まった。
それ程、あの神具はこの国にとって大事な宝だったのだ。
そして元婚約者は牢に入れられた後、この国に二度と害をなす事がないようにと、追放を受けてしまった。
命は取られなかったものの、身一つで追い出されては…お坊ちゃま育ちの彼では、この先生きていく事は出来ないでしょうね…。
そして…今回の犯罪に関わった者を全員捕らえ、処罰を与えられたのは君のおかげだと、私は王と神官長から、沢山の褒美を贈られた。
そのおかげで、私は優雅な生活を送る事ができ…それと同時に、新しい婚約者とも巡り合う事が出来た。
きっとこれは、幸せになりたいという私の祈りが、神に通じたからでしょう。
その相手は違ってしまったけれど…今の方がうんと幸せだから、私は一向に構わないわ─。
彼女は神殿で、巫女としてお世話になって居た。
しかしその神殿で、ある騒ぎがあったと聞いたが…。
「あの子を家に置くのは、お辞めになった方が…。」
「はぁ?何を言う!」
「ですが…あの子が悪人だったら、あなたどうするんです?」
「あの子が悪人だと!?お前…あの子が可愛いからって、嫉妬してるんだろう?いくら自分が可愛くないからって、可愛い女を敵視するのは辞めろ!」
彼は、血の繋がって居ないこの妹の事が大好きだった。
そのせいで、私の話をまともに聞いてくれもしない─。
それから少しして…私は、彼に大事な話があると言われた。
彼の後ろには、義妹がピタリと寄り添っている。
「お前、まだこの子を悪人だと疑ってるようだな?しかも、それを理由に虐めるなんて…この子が教えてくれたぞ!」
「ま、待って下さい…虐めなんて、私はそんな事─」
「悪い事をしてる者ほど、やっていないと嘘をつくんだ!お前みたいな悪人とは、もう婚約破棄する!」
「そんな…。」
それを見て、彼の義妹はクスクスと笑って居る。
そんな子の言う事を真に受けて、私をこんな形で捨てるなんて…後悔しても、知らないんだから─。
※※※
あの女が居なくなってくれて良かった。
私を疑うあの女が消えれば、後は私に味方するお兄様だけ。
この家の財産…それを逃亡資金にして、ここからさっさと逃げてやる─。
「…大変だ、憲兵がお前を探しにこの家にやって来た!お前…一体何をしたんだ!?」
「えぇ!?」
そんな…もうここにやって来るなんて、どうして─!
「大人しくしろ!今から、俺たちと共に来て貰う!」
私とお兄様はすぐに捕らえられ、神殿へ連れて行かれた─。
そしてそこには…この国の王が待ち構えていた。
「勝手に神殿から消えて、随分逃げ回ってくれたな。血の繋がらぬ兄に匿って貰っていたのか…この犯罪者め!」
「…私はやってません!あんな大きくて重い神具を、このか弱い私に盗み出せるはず─」
「いい加減、嘘を付くのは辞めたら?」
「…な、何でここに!」
そこには、兄の元婚約者が居た。
※※※
「私が、あなたの居場所を知らせた人物だからよ。あなたは知らないでしょうが、私はこの神殿に時々祈りに来ていたの。すると、あなたと怪しげな男たちが、何やら話し込んでいるのが見えてね。こっそり様子を伺っていたら、あなたがその男たちと、神殿の宝物庫にある神具を狙って居ると言う話が聞こえて来たのよ。」
「そ…それは。」
「そのすぐ後に、あの泥棒騒ぎでしょう?私、あなたがあの男たちを手引きしたんじゃないかと疑っていたの。そしたら、あなたが神殿から姿を消し、あの家に現れるから…疑惑が確信へと変わったのよ。」
「窃盗団の方は少し前に捕まった。かなり口が堅かったが…やっとお前の名前を出した。誤魔化そうとしても、もう無理だ!」
「そんな…!」
「あれは、我が国にとっても大事な宝だ。よってお前には、厳しい罰を与える!」
「い、嫌…助けて、お兄様!」
「大人しくしないか!早くこの女を連れて行け!」
そして元婚約者の義妹は、兵に取り押さえられ神殿を出て行った。
「お、俺は盗みなどしてない!だから、もう帰して下さい!」
「そう言う訳にはいかない。お前には、犯人を匿ったとして、罰を受けて貰う。
「えぇ!?」
「仕方ありませんよ。私…あなたにちゃんと言いましたよね?もっとあの子を疑うべきだと。なのにあなたはそれを無視した上…あの子にまんまと騙され、ありもしない虐めなどという罪を私に着せた。私を悪人呼ばわりし─。」
「全く、どっちが悪人だろうな。さぁ、この男も連れて行け!」
「そ、そんな…どうか助けてくれ─!」
私は彼の叫びを無視し、その姿を見送った─。
※※※
あれから義妹は、窃盗団と共に処刑される事が決まった。
それ程、あの神具はこの国にとって大事な宝だったのだ。
そして元婚約者は牢に入れられた後、この国に二度と害をなす事がないようにと、追放を受けてしまった。
命は取られなかったものの、身一つで追い出されては…お坊ちゃま育ちの彼では、この先生きていく事は出来ないでしょうね…。
そして…今回の犯罪に関わった者を全員捕らえ、処罰を与えられたのは君のおかげだと、私は王と神官長から、沢山の褒美を贈られた。
そのおかげで、私は優雅な生活を送る事ができ…それと同時に、新しい婚約者とも巡り合う事が出来た。
きっとこれは、幸せになりたいという私の祈りが、神に通じたからでしょう。
その相手は違ってしまったけれど…今の方がうんと幸せだから、私は一向に構わないわ─。
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