獣の娘だと皆から迫害されていた私は、真の愛を得る為にこの地を出て行く事にします─。

coco

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獣の娘だと皆から迫害されていた私は、真の愛を得る為にこの地を出て行く事にします─。

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「あなたは真っ当な人間じゃない…けものの娘なんだから、私と同じ食事じゃなくて当然よ!」

 義妹は、私にカビの生えたパンを投げつけた。
 それを見る父はとがめもせず、母はただ笑っていた。

 仕方ない…だって私は、実の娘じゃないんだから─。

 私は幼い頃、この両親に森で拾われた。
 その際、私のかたわらには大きな獣が居たらしい。

「お前を拾ったのはな、いつかまたあの珍しい獣に遭えるかもしれないからだ。あの時はしくじったが、あれを捕まえて売ればいい金になる。」

「これまで育ててやったんだ、お前はそのおとりになって貰うよ!」

 この人たちに、私への愛など微塵みじんもない。
 醜い欲の為に、私はここに飼われている─。

 それに比べ…うっすらとしか覚えてないけど、あの獣の温かかった事。
 いつくしむ様に、優しく私を抱いてくれていた。

 あの獣に、もう一度会いたい─。

 私は家を抜け出し、森へと入って行った。

※※※

 この森には、もう何度も来ているが…あの獣は出て来てはくれない。
 きっと、自分を狙う父を警戒してるんだわ。

 その時…茂みがガサガサと大きく揺れ、何かが近付いてくる気配がした。

 これは、かなり大きな動物だわ。
 クマ…それとも狼?

 そして…身構みがまえる私の前に、一匹の獣が現れた。

「あなた、あの時の…?」

 それは、記憶の中にわずかに残っていた、あの獣だった。

 獣は、ゆっくりと私に近づいて来た。

 すると、突如とつじょ一発の銃声が森に響き渡った。

「見つけた、あの時の獣だ!」

 見れば、父が鉄砲を手に興奮した様子で近づいて来る。

「お父様…この子を打たないで!」

 私は父に駆け寄り、何とか鉄砲を取り上げようとした。

 しかし男の力には敵わず、私は付き飛ばされその場に倒れ込んだ。

 父は激しく怒り、私を足蹴あしげにする。

「お前…ここまで育ててやった恩を忘れ、邪魔をする気か!?」

「そこまでだ、その汚い足をどけろ。」

※※※

「誰だお前は?こいつは俺の娘、どうしようと俺の勝手だ!それにこの獣は俺の獲物…横取りしようと言うなら、お前もこの娘同様痛い目を見るぞ!」

「俺は隣国の第三王子だ。この獣は聖獣だ。この子は俺の所に来るはずだったんだが、行方不明になってしまってな。神官長が言うには、聖獣はある娘を助けに行った…その娘が幸せになるのを見届けるまで、戻って来ないそうだ。ならばと、その時が来るのを待つ事にしたが…一向に帰らない。ならばいっそ、俺が直々に聖獣を迎えに行き、その娘を幸せにしようと思ってな。」

「王子…聖獣だって!?」

「お前の様な男が近くに居ては、彼女が幸せになれなくて当然だ。先程お前の家を訪ねたが、お前の妻も娘もろくでなしだった。全く…念の為にと聖獣用の檻を持って来たが…こんな事で役立つとはな。この男も妻子同様、捕らえおりに入れておけ!」

 父は必死に抵抗したが、控えていた兵に捕らえられ連行された。

 呆然ぼうぜんとする私に、聖獣が頭を擦り寄せて来た。

「その子は、余程君が好きと見える。君が聖女で、その心が清いからだろう。」

「私が、聖女…?」

「君は俺の国にある神殿の大聖女の娘だ。でもある日、そこから誘拐されてしまってね。ようやくその犯人は捕まったが、君をこの国のこの森に捨てたと言うじゃないか。聖獣は神の申し子とされる聖女が大好きだから、俺の聖獣が助けた娘と言うのは君の事だと思ってね。」

 そして王子は、私にひざまずきこう言った。

「聖獣に愛される娘は、国に幸運と繁栄をもたらしてくれる。どうか、俺の妃になってくれないか?この子と一緒に、俺の国へ来て欲しい。」

 私はすぐに返事ができす、隣に居る聖獣をちらりと見た。
 すると聖獣はグルルと鳴き、鼻で私の身体を王子の方へ優しく押しやった。

 そう…分かったわ、あなたを信じるわね。

「王子…どうぞ私を、あなたの妃にして下さい。私はこの地を出て、あなたとこの子と共に行きます。」

 王子は微笑み、私を優しく抱きしめた─。

 その後、檻に捕らえられていた両親と義妹は、罰として檻ごとその森に放置された。
 運が良ければ、通りかかった誰かが助けてくれるだろう。

 私はそんな彼らに別れを告げ、漸く自分の過去にけじめをつける事が出来た。

 そして私は、王子の妃として人生を再出発させた。
 
 王子は私をとても愛してくれるし、聖獣はいつも傍に寄り添ってくれる。
 獣の娘だと迫害され、愛を貰えなかった日々が嘘の様…私は今、とても幸せだわ─。
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