姉の代わりになど嫁ぎません!私は殿方との縁がなく地味で可哀相な女ではないのだから─。

coco

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姉の代わりになど嫁ぎません!私は殿方との縁がなく地味で可哀相な女ではないのだから─。

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「私の代わりに、あなたがお嫁に行きなさい。」

 ある日私は、突然姉からそう命じられた。

「地味なあなたは、未だ独り身で特定のお相手が居ないでしょう?そんなんじゃ、可哀そうだと思ってね。」

「…でも、お姉様はどうなさるの?」

「私はね、もっと色んな殿方とお付き合いしたいの。今回結婚できなくたって、私は美人だから一向に構わないわ。」

 姉は高笑いし、部屋を出て行った。
 
 いいえ、お姉様。
 どんな美しい花でも、いずれれる時が来ます。

 そしてつぼみは、いつか必ず開く時が来る─。

※※※

 あの子に押し付けた結婚相手はかなりの年上で、スケベでいやらしい男だ。
 私の美しさに心奪われ、年甲斐もなく求婚して来たけど…私は、絶対にそんな男の所へお嫁になど行かない!
 
 そんな男、妹が相手してればいいわ!

 あの子は気弱な性格で、今まで私の言う事なら何でも聞いてきた。
 だから今回も、私の言う通りにする…そう、思ってたのに─。

「私は、お姉様の代わりになど嫁ぎません。」

「何ですって!?」

「お父様も、今回ばかりはお姉様の言う事を聞かなくていいとおっしゃってます。」

「お父様…どうして!?」

「それはお前の借金だ。お前の借金を、あの男が肩代わりしてくれたんだ。私は言ったよ?男遊びは程々に…もう家のお金を使うなと。」

「あ…そ、それは…。」

「お姉様は、自身には選択肢は色々あると仰ったけど…それは間違いよ。あなたはもう、あの男の花嫁になるしかない。きっともう、あの男にしか貰って貰えないでしょうし。」

「何それ…どういう意味!?」

 結局私は、迎えに来た結婚相手の男に、泣く泣く連れて行かれてしまった─。

※※※

 そして美しいこの身は、あの男によって散らされたのだが…その翌日、私の身体に異変が起きた。

 何だか、顔に違和感が…。

 私はベッドを降り、鏡台へと近寄った。

「ヒッ─!何よ、この顔!?」

「どうした?」

 私の叫びに、夫となった男もベッドから降りて来たが…私の顔を見るなり、その場で固まった。

 それもそのはず…私の美しい顔はどこへやら。
 そこに居たのは、シワシワの肌とシミだらけの顔をした、醜い女だった。
 声だって、透き通った声からしわがれた声に変わってしまっている。

 それを見た夫は、私を不細工だのバケモノだの散々ののしると、地下牢へと入れてしまった─。

 そしてしばらく経ったある日の事、私を訪ねて来た人物が─。
 
 何て美しい女…でも、どこか懐かしい感じがする?

「お姉様、お久しぶりです。とんだ結婚生活を送って居るようね。」

※※※

「あなた、その顔!?それに引き換え、私の顔は…ねぇ、何がどうなってるの!?」

「お姉様は、勉強もせず修行も積まず、魔術師にお金を渡し魔力を譲って貰うと言う違法なやり方で、魔力を得ましたね?そうして魔力を手に入れた者は急激に細胞が活性化…一時的にとてつもない美を手に入れるんです。お姉様の美しさは、まさにそれだった。」

「い、一時的って─」

「でもそれは、身体への負担が凄まじい。魔力を持つには、それ相応のうつわがなければならないから。だから、そんな方法で魔力を得たお姉様の身体は、ついに限界が来て壊れたの。急激に老いが始まり…そしてそんな事になってしまったという訳。でもまさか、それが初夜を終えたすぐ後とはね…。」

「だからあの時あなたは、もう私があの男にしか貰って貰えないって言ったのね?近く私が、こんな姿になってしまうと知ってて…!」

「そうです。そして私はというと…魔力でこの美を隠していただけ。というのも、私は成長するにつれ、どんどん美しい娘になって行きました。そうなると、言い寄って来る男が多くて…。でも私は、幼馴染の彼しか好きじゃなく困ってました。それを彼に相談したら…私の顔を魔力で地味に変えてくれたんです。そして、私が元から地味でモテない女だと、周りの意識を改変してもくれた。でも…近く結婚する事が決まりましたので、顔を戻して貰ったんです。」

「そんな…!でも待って…魔力で顔が変えられるのなら、私の今の顔も自分の魔力で─」

「無理です。そんな老いた体で、そんな高度な術を使おうとしたら…お姉様の命が縮みます。美しい顔を選ぶか、死を選ぶか…二つに一つです。」

 私の言葉に、姉は真っ青になり泣き崩れた─。

 結局お姉様は、死ぬのが怖くて術を使う事を諦めた。
 という事は、元の顔のままという訳で…未だにあの地下牢の中に押し込められたまま─。

 夫であるあの男にはすっかりその存在を無視され、最早もはや亡き妻として扱われているらしい。

 一日だけしか愛されなかった花嫁とは、何とも哀れだけど…でもまぁ、それも自業自得よね─。
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