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17.魔物の作戦
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アートレイドが急いで先を読み進めると、呪文そのものは特に難解なものではない。
ただ、解く側がかけた術者の力を大きく上回っていないと解呪は難しい、といった内容だった。
術者が誰であれ、かけられた魔法を解くにはその時に使われた力より強い力がなければならない、ということだ。
魔女の力より上って……どれだけ強い魔法使いなんだよ。
その記述を読むだけで、アートレイドは気分がなえてくる。
ネイロスは「方法があっても、その力に対抗できるだけの強い魔力が必要」と話していた。まさにその通りなのだ。
そしてリュイスは「方法が見付かったとしても、簡単ではない」と言った。
つまり、魔女以上に強い力でなければ、解呪するのは無理だということ。
これを読んで、アートレイドはどん底まで落胆した。
俺に魔女以上の力なんて……あるはずないだろ。身につけるにしたって、何年かかるんだよ。一生かかっても無理ってなったら、どうすれば……。他の人に頼むにしたって、魔女の力を上回る人間なんて存在するのか?
「まずい!」
「え?」
同じように魔法書を調べていたディラルトが、突然書庫を飛び出した。
事情はわからないが、あのディラルトが焦るくらいだ、何かとんでもないことが起きたのかも知れない。
アートレイドも床に本を置くと、急いで後を追った。
「フローゼ!」
前方で、ディラルトの声が響く。アートレイドが彼の後から外へ出ると、昨日現れた羽を持つ魔物がいた。白っぽい羽の方だ。見たところ、今日は二匹だけ。
だが、状況は昨日より悪い。
そのうちの一匹が、フローゼの身体を抱えていた。襲いかかって彼女が騒ぎ出す前に、邪魔者が現れないうちに、標的を連れ去る作戦に出たのだ。
ディラルトが「まずい」と言ったのも、フローゼがレプリカを投げる前に捕まったことを察知したため。
「あ……シェイナ!」
フローゼのスカートに、小さな黒い影が貼り付いている。よく見れば、シェイナだ。
フローゼが捕まったのを見て飛びかかったが何もできず、一緒に連れ去られる状態になっているのだろう。
母屋の扉が開き、ユーリオンとネイロスが飛び出して来た。ディラルトやアートレイドの声と、異様な気配に気付いたのだ。
彼らも、フローゼが連れ去られて行くのを見た。彼女の悲鳴がなかったのは、そうなる前に意識を奪われたのだ。
「オレが必ず助ける。みんなはここで待機していろっ」
そう言うと、ディラルトは魔物を追い始める。その後ろから足音が聞こえ、ディラルトが振り返るとアートレイドがいた。
「お前も待っていろ」
「いやだ! シェイナも一緒に捕まってるんだ。俺が待機しなきゃいけない理由なんてないだろっ」
昨夜は、アートレイドに何かあればシェイナが困るから、という理由で、ディラルトはアートレイドの同行を断った。
しかし、ディラルトが魔物を追えばいいだけの作戦は、フローゼとシェイナを助けなければならない事態へと発展している。
こんな状態になって、言われた通りに待つ気なんて、アートレイドにはなかった。
フローゼはアートレイドの協力者であり、今では友人と言ってもいい。シェイナは大切な妹。
そんな彼女達の救出を、人任せになんてしたくない。
「まったく……。オレは魔骨を何とかするから、レディ達の方はまかせたぞ」
「ああ、わかった」
☆☆☆
「なぁ、ディラルト。魔物が逃げた先がわかるのか?」
相手は空を飛んでいた。森の方へ逃げたところまでは確認できたが、途中で見失ってしまう。
だが、ディラルトは迷うことなく、森の中を進んでいた。
適当に歩いている、というのではなさそうだ。その歩みは、確実に目的地へ向かっている。
「ああ。魔骨の気配があるからな。一度感じ取った魔骨なら、そう簡単に見失うことはないんだ」
あんなただの白い玉にしか見えないペンダントトップなのに、感じる人に言わせると「その気配は強い」ということのようだ。
しかも、弱い波動と言っていたのにこうしてわかるのなら、強い波動の魔骨はどれだけのものなのか。
アートレイドは魔物の気配は何とか感じられるものの、それも近付いた時にどうにか、というレベル。ずいぶんな差だ。
「そういう気配が感じ取れるのって、やっぱり生まれ持った才能の違いなのか?」
「感じ取ろうとする対象によるだろうな。生まれついての才能が必要な部分もあるし、もちろん努力次第でわかるようになるものもある。魔骨については……恐らく人間の中でも一握りだろう」
ほとんど存在しないのなら、魔骨の気配についてはあまり悩んでも仕方がなさそうだ。
「あの魔物、フローゼをどこへ連れて行くつもりなんだよ。やっぱり、自分達の巣かな」
「もしくは、直接黒幕の前へってこともありだ。でも、黒幕が人間を連れて来いと命令していない限り、フローゼごと突き出すようなことはしないだろう。今のところ、魔骨を集めているだけで、人間がさらわれた話は聞かないからな。オレ達のような邪魔者がいない別の場所でペンダントを奪ってから、それだけを黒幕へ献上、が一番考えられる」
「それならいいけど……ペンダントを奪われたフローゼのその後は?」
黒幕の餌食に、という可能性は低いようだが、フローゼを連れて来た魔物がわざわざ村へ送り返してくれるとは思えない。放置ならいいのだが……。
「こればかりは、オレにも予想がつかない。あの魔物達が、人間をエサにしていないことを祈るしかないな」
とてもネイロスやユーリオンには聞かせられない話だ。いや、アートレイドより魔物については詳しいだろうから、今頃家の中でそんな恐ろしい可能性にたどり着いているかも知れない。
「ねこはどうなるかな」
「魔物がどの範囲までをエサの対象にしているか、による」
エサにならない、とは言い切れない。肉食の魔物なら、腹の足しにされる、ということも。草食の魔物なんてまずいないだろうし、危険度はフローゼもシェイナも同じだ。
「あそこだな」
前を行くディラルトに続くが、アートレイドには進行方向に何があるのか見えなかった。
と言うより、森に生える木や草以外にこれという物が見当たらないのだ。もちろん、魔物の姿もない。
「黒幕は、相当の魔骨を集めたようだな。まったく、厄介なことを」
「何なんだ……これ」
ディラルトが立ち止まり、アートレイドはようやく彼が「あそこだ」と言ったものがわかった。
いや、正直に言うと、それが「何なのか」ということは、あまりわからない。
空間の一部が、歪んでいる。ぼやけている、と表現するべきだろうか。
まるで蜃気楼のように、空気がゆらいでいるような状態になっている。人間二人が並んだくらいの幅と高さがあった。
「異空間の入口だ。わかりやすく言うなら、魔性が魔骨の力を利用して別世界を作った。これは、その入口なんだ。さっきの魔物は、ここから出入りしているんだろうな。ここで目的物を回収できたら、別の場所にこの入口を開けるんだろう」
「魔骨で……そんなことができるのか」
考えたこともない状況に、アートレイドは呆然とする。別世界という言葉は知っているが、それが実在するなんて考えたこともない。
「フローゼが持つような魔骨の大きさでは、こんな入口を作るのも無理だ。だから、相当集めてるってことになる。こんな世界を作れるくらいにな。で、どうする?」
「は? どうするって、何が」
「この中へ突っ込んで行ったら、無事にこっちへ戻れるかはオレにもわからない。本来なら、存在しない空間へ入るんだからな。ここからでは中がどんな状態かも見えないし、危険だぞってことだ」
それを聞いて、アートレイドは顔をしかめた。
ディライトの言葉に恐怖を覚えたからではなく、怒りを覚えて。
「何のために、俺がここまで来たと思ってるんだよ。フローゼとシェイナを助けるためだ。俺が入って出られないなら、あのふたりはほぼ間違いなく出られないってことになるじゃないか。それがわかっていて、村へ帰れって言うのかよ。冗談じゃない。こうしている間にも、あの子達は危険な目に遭ってるかも知れないんだ。行くぞ」
ディラルトが止める間もなく、アートレイドはまるでちゅうちょせずに空間の歪みの中へ入った。
「やれやれ。昨日、弱音を吐いていた奴とは思えないな」
ディラルトは笑みを浮かべ、少年の後に続いて歪みの中へ足を踏み入れた。
「うーん、こういうのは感性の違いだろうけど、いい趣味とは言いがたいなぁ。何と言うか、ありきたりだし」
呆然としているアートレイドの横で、ディラルトは少し眉をひそめた。
森の中から一歩入っただけで、文字通りに世界は一変している。
すぐそこには、雷が鳴り響きそうな暗い空の下にそびえる城があり、その壁には人間か魔物かもわからない頭蓋骨があちこちに塗り込められていた。
いたる所にヘドロのような物が垂れ下がっていたりと、不気味さに加えて汚さもかなりのもの。
暗い中でぼんやりと浮かぶその城は全体的に暗い灰色で、いかにもな雰囲気が満載だ。
「魔性が城なんて造るのか……」
ただ、解く側がかけた術者の力を大きく上回っていないと解呪は難しい、といった内容だった。
術者が誰であれ、かけられた魔法を解くにはその時に使われた力より強い力がなければならない、ということだ。
魔女の力より上って……どれだけ強い魔法使いなんだよ。
その記述を読むだけで、アートレイドは気分がなえてくる。
ネイロスは「方法があっても、その力に対抗できるだけの強い魔力が必要」と話していた。まさにその通りなのだ。
そしてリュイスは「方法が見付かったとしても、簡単ではない」と言った。
つまり、魔女以上に強い力でなければ、解呪するのは無理だということ。
これを読んで、アートレイドはどん底まで落胆した。
俺に魔女以上の力なんて……あるはずないだろ。身につけるにしたって、何年かかるんだよ。一生かかっても無理ってなったら、どうすれば……。他の人に頼むにしたって、魔女の力を上回る人間なんて存在するのか?
「まずい!」
「え?」
同じように魔法書を調べていたディラルトが、突然書庫を飛び出した。
事情はわからないが、あのディラルトが焦るくらいだ、何かとんでもないことが起きたのかも知れない。
アートレイドも床に本を置くと、急いで後を追った。
「フローゼ!」
前方で、ディラルトの声が響く。アートレイドが彼の後から外へ出ると、昨日現れた羽を持つ魔物がいた。白っぽい羽の方だ。見たところ、今日は二匹だけ。
だが、状況は昨日より悪い。
そのうちの一匹が、フローゼの身体を抱えていた。襲いかかって彼女が騒ぎ出す前に、邪魔者が現れないうちに、標的を連れ去る作戦に出たのだ。
ディラルトが「まずい」と言ったのも、フローゼがレプリカを投げる前に捕まったことを察知したため。
「あ……シェイナ!」
フローゼのスカートに、小さな黒い影が貼り付いている。よく見れば、シェイナだ。
フローゼが捕まったのを見て飛びかかったが何もできず、一緒に連れ去られる状態になっているのだろう。
母屋の扉が開き、ユーリオンとネイロスが飛び出して来た。ディラルトやアートレイドの声と、異様な気配に気付いたのだ。
彼らも、フローゼが連れ去られて行くのを見た。彼女の悲鳴がなかったのは、そうなる前に意識を奪われたのだ。
「オレが必ず助ける。みんなはここで待機していろっ」
そう言うと、ディラルトは魔物を追い始める。その後ろから足音が聞こえ、ディラルトが振り返るとアートレイドがいた。
「お前も待っていろ」
「いやだ! シェイナも一緒に捕まってるんだ。俺が待機しなきゃいけない理由なんてないだろっ」
昨夜は、アートレイドに何かあればシェイナが困るから、という理由で、ディラルトはアートレイドの同行を断った。
しかし、ディラルトが魔物を追えばいいだけの作戦は、フローゼとシェイナを助けなければならない事態へと発展している。
こんな状態になって、言われた通りに待つ気なんて、アートレイドにはなかった。
フローゼはアートレイドの協力者であり、今では友人と言ってもいい。シェイナは大切な妹。
そんな彼女達の救出を、人任せになんてしたくない。
「まったく……。オレは魔骨を何とかするから、レディ達の方はまかせたぞ」
「ああ、わかった」
☆☆☆
「なぁ、ディラルト。魔物が逃げた先がわかるのか?」
相手は空を飛んでいた。森の方へ逃げたところまでは確認できたが、途中で見失ってしまう。
だが、ディラルトは迷うことなく、森の中を進んでいた。
適当に歩いている、というのではなさそうだ。その歩みは、確実に目的地へ向かっている。
「ああ。魔骨の気配があるからな。一度感じ取った魔骨なら、そう簡単に見失うことはないんだ」
あんなただの白い玉にしか見えないペンダントトップなのに、感じる人に言わせると「その気配は強い」ということのようだ。
しかも、弱い波動と言っていたのにこうしてわかるのなら、強い波動の魔骨はどれだけのものなのか。
アートレイドは魔物の気配は何とか感じられるものの、それも近付いた時にどうにか、というレベル。ずいぶんな差だ。
「そういう気配が感じ取れるのって、やっぱり生まれ持った才能の違いなのか?」
「感じ取ろうとする対象によるだろうな。生まれついての才能が必要な部分もあるし、もちろん努力次第でわかるようになるものもある。魔骨については……恐らく人間の中でも一握りだろう」
ほとんど存在しないのなら、魔骨の気配についてはあまり悩んでも仕方がなさそうだ。
「あの魔物、フローゼをどこへ連れて行くつもりなんだよ。やっぱり、自分達の巣かな」
「もしくは、直接黒幕の前へってこともありだ。でも、黒幕が人間を連れて来いと命令していない限り、フローゼごと突き出すようなことはしないだろう。今のところ、魔骨を集めているだけで、人間がさらわれた話は聞かないからな。オレ達のような邪魔者がいない別の場所でペンダントを奪ってから、それだけを黒幕へ献上、が一番考えられる」
「それならいいけど……ペンダントを奪われたフローゼのその後は?」
黒幕の餌食に、という可能性は低いようだが、フローゼを連れて来た魔物がわざわざ村へ送り返してくれるとは思えない。放置ならいいのだが……。
「こればかりは、オレにも予想がつかない。あの魔物達が、人間をエサにしていないことを祈るしかないな」
とてもネイロスやユーリオンには聞かせられない話だ。いや、アートレイドより魔物については詳しいだろうから、今頃家の中でそんな恐ろしい可能性にたどり着いているかも知れない。
「ねこはどうなるかな」
「魔物がどの範囲までをエサの対象にしているか、による」
エサにならない、とは言い切れない。肉食の魔物なら、腹の足しにされる、ということも。草食の魔物なんてまずいないだろうし、危険度はフローゼもシェイナも同じだ。
「あそこだな」
前を行くディラルトに続くが、アートレイドには進行方向に何があるのか見えなかった。
と言うより、森に生える木や草以外にこれという物が見当たらないのだ。もちろん、魔物の姿もない。
「黒幕は、相当の魔骨を集めたようだな。まったく、厄介なことを」
「何なんだ……これ」
ディラルトが立ち止まり、アートレイドはようやく彼が「あそこだ」と言ったものがわかった。
いや、正直に言うと、それが「何なのか」ということは、あまりわからない。
空間の一部が、歪んでいる。ぼやけている、と表現するべきだろうか。
まるで蜃気楼のように、空気がゆらいでいるような状態になっている。人間二人が並んだくらいの幅と高さがあった。
「異空間の入口だ。わかりやすく言うなら、魔性が魔骨の力を利用して別世界を作った。これは、その入口なんだ。さっきの魔物は、ここから出入りしているんだろうな。ここで目的物を回収できたら、別の場所にこの入口を開けるんだろう」
「魔骨で……そんなことができるのか」
考えたこともない状況に、アートレイドは呆然とする。別世界という言葉は知っているが、それが実在するなんて考えたこともない。
「フローゼが持つような魔骨の大きさでは、こんな入口を作るのも無理だ。だから、相当集めてるってことになる。こんな世界を作れるくらいにな。で、どうする?」
「は? どうするって、何が」
「この中へ突っ込んで行ったら、無事にこっちへ戻れるかはオレにもわからない。本来なら、存在しない空間へ入るんだからな。ここからでは中がどんな状態かも見えないし、危険だぞってことだ」
それを聞いて、アートレイドは顔をしかめた。
ディライトの言葉に恐怖を覚えたからではなく、怒りを覚えて。
「何のために、俺がここまで来たと思ってるんだよ。フローゼとシェイナを助けるためだ。俺が入って出られないなら、あのふたりはほぼ間違いなく出られないってことになるじゃないか。それがわかっていて、村へ帰れって言うのかよ。冗談じゃない。こうしている間にも、あの子達は危険な目に遭ってるかも知れないんだ。行くぞ」
ディラルトが止める間もなく、アートレイドはまるでちゅうちょせずに空間の歪みの中へ入った。
「やれやれ。昨日、弱音を吐いていた奴とは思えないな」
ディラルトは笑みを浮かべ、少年の後に続いて歪みの中へ足を踏み入れた。
「うーん、こういうのは感性の違いだろうけど、いい趣味とは言いがたいなぁ。何と言うか、ありきたりだし」
呆然としているアートレイドの横で、ディラルトは少し眉をひそめた。
森の中から一歩入っただけで、文字通りに世界は一変している。
すぐそこには、雷が鳴り響きそうな暗い空の下にそびえる城があり、その壁には人間か魔物かもわからない頭蓋骨があちこちに塗り込められていた。
いたる所にヘドロのような物が垂れ下がっていたりと、不気味さに加えて汚さもかなりのもの。
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