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十日伊予

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1566 蜜月

封鎖

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 翌日の朝早く、一座の拠点は警察に囲まれた。地方でのアルバの出演が違法だったと、興行停止の処分が通達され、たちまちのうちに拠点は封鎖される。
「本来なら見逃す範囲でのことだったのですよ。しかし、私たちも、貴族さまに圧力をかけられては動かないわけにはいかないので」
 やつれきったダイモンの隣で、都の警察署長が申し訳なさそうに言う。彼の部下たちは、拠点を立ち入り禁止のロープで囲み、一座のテントから木箱からあらゆるものに札を貼っていく。
「こんなことは本意ではない、それを心に留めていただけたら。あなたとは良い関係でいたいんです。御子息さまがいらすまで辛抱なさってください」
 警察署長の顔には気疲れが浮かんでいる。ダイモンは魂が抜けたようになって、ぼんやりと彼の弁解を聞いていた。
「スースの嘘つきぃ……うち終わっちゃうよお。逮捕はやだよお」
 拠点の外で身を寄せる団員たちの中で、ミューズが半べそになる。寝起きを叩き起こされて放り出されたものだから、寝癖に寝巻きといった格好だ。ビヨンドが彼の頭を小突いた。
「滅多なこと言うんじゃねえよ」
 ビヨンドに怒られるも、ミューズは「でもでも」とぼやく。ビヨンドがまた彼を小突こうとしたのを他の芸人が止め、ミューズに優しく声をかけた。
「ダイモンの親父さんは都の警察にコネがあるんだ、すぐに解放されるさ」
 その言葉に、ミューズは「本当ですか?」と尋ねて鼻をすする。芸人は頷いた。
「しっかし、あの御子息さまがこんなことするなんてなあ。アルバさんとのことで色々言われてたのが腹に据えかねたのか」
 誰かがそんなことを言う。ミューズの隣でずっと黙り込んでいたフランマがため息をついた。ラスがこんなことをするとは思っていないが、現に一座は封鎖されている。何を信じていいかわからない。
「私はそんなの言ってないもん」
「嘘言え。お前、賭けやってたろ!」
「ラスさまが温厚だから、調子乗っちゃった……」
「そりゃそうだよな、あの人も貴族だ。殺されないだけマシかもな」
「こっからどうなるんだろう……」
 あちこちで不安の声が上がる。空気は最悪だ。
「人のことをあれこれ面白がるからよ。あんたたち、アモンの時からばかなまんまだね」
 空中ブランコ乗りのベンドラが、嫌味ったらしくつぶやいた。彼女は、アルバとラスのことをネタにすることに怒っていた芸人の一人だ。隣で、リッカが「やめな」と強くたしなめる。しかしベンドラは気がおさまらないようで、また嫌味を言おうと口を開く。
「あの時、人死にだって出したのに、あんたたちは──」
 馬が駆けてくる音に気がつき、彼女は口をつぐむ。そちらを見やると、ラスが馬に乗ってこちらに急いでいた。
「アルバは!」
 ラスが馬を降り、焦った様子で近くの下働きに尋ねる。下働きがアルバは警察の馬車で尋問を受けていると答えると、ラスは返事もそこそこに、そちらに駆けていった。
「……どういうこと?」
 団員たちが首を傾げ、走っていくラスの後ろ姿を見つめた。
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