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1章 ヒキニート、異世界で戦乙女になるってよ

はじめてのばとる ステータス編

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 「血を捧げ忘れてしまったので、改めてやり直しますね~。」
 血を捧げるだけでも気力いるのにさらっと言っちゃったよ。このポンコツ妖精。元々掴み所の無い性格のせいか、未だにステラの神経が分からないのが現状である…。
「えっと…ナイフで血を出せば……はわわぁ!?」
 急にステラが大きな声を出したので、私はすぐにステラを見た。そこで、何故かステラは、自分の二の腕に、深々とナイフを刺しているのであった…。
「マスター!血が止まりませぇん!!助けてくださぁい!!」
「刺しすぎじゃ!このダメ妖精!!普通は指先を少し切るとかそんなもんだろ!!てか血出すぎじゃね?まだバトルすらしてないのに、相方死んでいいの?それ、私的にあまりおいしくないよ!?」
「あ、あいるびーばっく…ぐふっ…。」
「ステラァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」

 「という冗談は置いておきまして、さっさとステータスを付与しなければ…。」
「生きとるんかいっ!!」
 まったく…とんだ茶番に付き合わされたよ…。とほほ…と私は肩を下げたが、ステラはあんなに血が出ていたのにいきいきと呪文を唱えていた。
「我が主に神聖なる御霊を移し給え…。」
 呪文が終わると同時に、私の意識はゆっくりと、空を突き抜けるように上がっていく。そして、ある程度まで上がっていった瞬間、ものすごい勢いで落下していった。きらきらと輝く、光の霊を抱えながら…。

 「…ん。」
「…!おはようございます、マスター。気分はいかがですか?」
「今のところは何ともない。けど、体の底から力が湧き出ているような…そんな感覚がする。」
「よかったぁ…!ステータス付与、成功しましたぁ!さて、早速ゲームについてお話しますね~!
このゲームは武装とかで察したと思われますが、RPGです。『魔神』と呼ばれるボスを殴って叩いてフルボッコだドンにするだけです。」
「さらっと言ってるけどやる事無茶苦茶難しいやんか!」
「気にするな( ー`дー´)キリッ
さて、マスターには、これからこの世界で生きるための最終設定を行ってもらいます。
最初に決めるのは、役職です。この世界には『ジョブ』と呼ばれる役職があります。全部で6つあります。『剣士』『魔術師』『銃手』『弓術者』『戦士』『召喚師』の中からプレイヤーが選び、メイン武器とサブ武器を選択します。その後、Let's ステータス確認をした後、私を何時でもパートナーとして呼び出せるネックレスを差し上げます。…と、こんな感じですかね。」
「ん、よーするに役職決めろ働けニートとね。」
「そゆことです。さぁ、さっさと好きな役職を選びなさいな、マスター。」
「んじゃ…『銃手』でいいよ。」
「メインとサブはどうします?」
「メインは.44マグナム。サブはコルトガバメントで。」
「またごついものを…。ま、いいでしょう。次に、ステータス確認です。ステータスは大まかに分けると、HP、MP、種族、スキルの4つがあります。基準ステータスはHP150、MP100、種族は森精か地精です。たまぁにですが、本来の力が強すぎて、ぶっちぎりで戦闘能力高くて吸血鬼とか、弱すぎて獣人になるとかありますよ。スキルには、『属性』というものがありまして、種類は、炎、水、樹、闇、光、幻、無の7つです。さぁて、マスター。さっきのメイン武器に触れてみてください。」
 言われた通りに武器に触れてみると、ビリッと電流が流れるような感覚がした。その後、武器がゆっくり輝き、やがて虹色のオーラを纏った。
「ステラ…この属性ってなぁに?」
「…ん…私も見たことが無い属性です…。まぁ、習うより慣れろ、ですね。…スキルも不明…なものばかり…。こんな事があるんですね。私にもわからない点があるなんて…。ま、気にしないでおきましょう。次に、マスターの初期HP、MPですね。えっと…HPが500、MPが800…。異常値チートですね。はぁい。次に種族ですね…。えっと………………………ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
「え、えと、どうしたの?弱いヤツだったりしたの?」
「………幻霊…類。昔、あるバグが起きてから、削除された種族ですよ。禁断の五種族目、です。」
「……それってどんな種族?」
「……全てを創造し、全てを破壊する。禁忌の種族です。」
 そんな悍ましいものになってしまったのか…というか、何で禁忌の五種族目が出てきたんだ…?私の中で、疑問が反響する。なんで、私の属性が分からないの?なんで見たことのないものが出るの?ぐるぐる、回って、まとまらない。私が落ち着いたのは、それから10分後くらいのことであった。

 「とりあえず、私のステータスは、HP500、MP800のクソ異常値チート。属性不明。スキルもわけわかめ。種族はアウトだよ!の幻霊類でおk?ステラちゃん。」
「それでおkです。あと、私の事をステラちゃんって呼ぶのやめてください。仮にも誇り高く、気高く、華麗なる妖精なのですから。」
「そこ、なのね。というか、妖精にもステータスってあるの?さっきから気になりっぱなしで…。」
「ん、ああ、ステータスなら妖精にもありますよ~。妖精にはステータスごとに4つに分けられまして、『妖精可視魔力ようせいかしまりょく…略してせいs…。」
「ちょっと待てぇぇェェェェェェェェェェェェェ!!!!略し方卑猥じゃぁぁぁぁぁぁ!!何?ステラは無意識でやったわけ?アレかな?男の(自主規制)から出る(自主規制)かな?上下に激しく擦ったらんはぁ…ってなってどぴゅっと出るやつかな?とりあえず『妖力』にしとけ!!」
「は、はいっ!!妖精のs…もとい妖力の量で決められるんです。『下級妖精ロウフェアリー』『中級妖精ミドルフェアリー』『上級妖精ハイフェアリー』そして、上級を超える存在の妖精が『神聖類ホウリニス』です。妖力の数値で例えると、下級は500~600、中級は600~700、上級は700~1000、神聖は1000以上です。」
「ステラは何処に分けられるの?…いや、言わなくてもいいわ。どうせ低級…。」
「そうじゃないもん…!ま、そういうことにしておきます。さて、ステータスも確認し終わったし、次はチュートリアルをしますよ!覚悟は出来ましたか?」
「…ああ。出来てるぜ。」
 右手に装備した.44マグナムを装備し、私は次のステップに進んでいった。
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