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1章 ヒキニート、異世界で戦乙女になるってよ

はじめてのばとる ちゅーとりある編

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 「さて、いよいよ実践…ですが、殺り方が分からなければ即詰みゲーになってしまいますので…私のs…妖力から生成した的を使って練習しましょうか♪」
「まだアレ引きずってたのか…。ま、とりあえず、チュートリアル開始と行きましょうか!」
「はい!さて、マスターが選んだ『銃手』ですが、遠距離、近距離と共に攻撃は安定し、攻撃力が高いのが特徴です。しかし、防御力にすごく心配があるのが短所です。自称『上級者クソゲーマー』のマスターなら問題ないでしょう。的は、ヌルヌル動くので、ヤられないように頑張って撃ってください♪」
「説明にいろいろツッコミはあるが…とりあえず、私がやってきたようなSTGの感覚で撃っていいんだな?」
「はい♪…おっと、的さんがヤりにきたので、マスターから殺り返してあげてください♪」
 本当に色々ツッコミどころがあるが、今はそれどころではない。襲ってくる的達から距離を取り、私は自分が隠れられそうな大きな岩に身を潜める。的達はうろうろしながら、私を探している。隙あり…そう思い私はマグナムを的達に気づかれないように撃った。奇声を上げて的が倒れる。その感覚に、私は目を輝かせ、的に向かってマグナムを構え
「素晴らしい!最高のショーだとは思わんかね?…っと。てめぇらの脳をこってり濃厚どろりっちカレーにしてやるよ!!」
 目の前の的を撃ち抜き、宣戦布告した。

 某空に浮く城の名台詞を叫んだあと、私は的を次々倒していった。私の腕の骨を折ろうとした的は、首の脊髄まで丁寧に粉々にしてやり、私を殴り殺そうとした的は、蹴って殴ってフルコンボにしてやった。ふぅ…すっとしたぜぇ…。
「ステラ~!今晩の晩御飯はカレーだぞぃ!」
「そんなゲテモノカレーは喰いたくありません!とっとと元あった場所に戻してきなさい!ていうか脳みそでカレーを作るなんて…。マスターにはあきれました…。」
 あ、あきれられた。そんなことはさておき。私は、的の脳天目掛けて撃ち続けた。鮮血を上げて的が倒れていく。それでも、残りの的の数は優に1000を超える。やるっきゃないか。そう思い、私は的の額目掛けて銃弾を撃つ。カチッと、嫌な音がした。―弾切れ。私の脳裏に、そんな言葉がよぎった。弾のストックも無い。あ、詰んだかも。私の脳が、そう告げていた。
 的が私に襲い掛かる。あ、人生オワタ。死を覚悟した私は、目をつぶる。すると、ザシュッという音と共に
「何チュートリアルで死にかけてるんですか?困りますよ。」
 凛と響くステラの声が聞こえた。彼女の手にはナイフ。
「バカじゃないですか?銃弾のストックも無しに的に突っ込むなんて…。とりあえず、1000/2000は狩れてるみたいなので…。あとは私に任せてお休みください。」
 そう言い終わると、ステラは的に向けて手を翳し、光線で破壊した。
「自分の妖力から生み出しておいて難だが…。貴様ら如きにこのお方を殺させるわけにはいかないんでねぇ。」
 的は全て、消滅した。

 「……ん?ここは?」
「マスター。気付きましたか?」
「私…確か、チュートリアルやってなかったっけ?」
「ええ。敵はマスターが全部倒したましたよ。」
「…………ステラ。貴方は何者?」
「…ただの…下級妖精ですわ。マスター。」
 貴女に、真相を伝えるのは早そうです、マスター。

 このゲームの真相も。

 私の正体も。

 貴女が封じたキオクも全て…。

 「はい!これでチュートリアル終了となります!お疲れ様でしたぁ!」
「長かったぁ…。」
「さて、お次は『クエスト』をやってみましょうか♪自称上級者ならできますよね?」
 にこやかに言うステラ。そんな彼女に、私は苦笑するしかなかった。
「やってやるさ。なんなら、このゲームをクリアした2番目にだってなってやるよ!」
「はいはい、寝言は寝て言いましょうね。さぁ、次の冒険が待ってますよ。」
「…やってやんよ!」
 私の右手に握られたマグナムは、私の気持ちと共鳴するかのように、銀色に輝いていた。
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みんなの感想(1件)

fin
2017.06.17 fin

無職が無色になってますよ(小声)
面白いです。更新、お疲れのないように。

夜桜結良
2017.06.18 夜桜結良

感想ありがとうございます!
無色…妹にも指摘されました(笑)
これからも頑張って更新していきます!

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