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13話 神の怒りに気付かぬ冒険者
しおりを挟む俺がそいつらを見たのは深夜の奴隷監督番明けで、同じ監督番の奴らと飲んでいた時だった。
見た事ねぇ奴らが冒険者ギルドの門戸を叩くのは珍しいこっちゃねぇ。
だけどよぉキヒヒヒ、大概の奴らはすぐ死んじまうんだよなぁ。
だから新顔が誰だろうが、B級冒険者の俺様からしたらどうでもいいーって話だったんだけどよ。
そいつらは違った。正確にはちっこいフードを被ったガキの両脇を固める女どもだ。
「おい、キュクレ……あれ」
「わかってんよ。キヒッキヒヒ」
最初はビビったぜ。
日頃、歓楽街で女を抱きまくってるこの俺様でも見た事のない、器量の良さだ。いや、歓楽街のどんな美女もあの2人の足元には及ばねえだろうな。別格にイイ女っていうのは、あーいうもんなのかもしれねえ。とにかく、キヒヒヒ、あの女どもを抱いてみてえと胸の内より沸き出る情動が、俺を動かした。
「おうおうおうー? 見ねえ顔だな?」
「どっから来たんだ?」
同じ奴隷監督番のルーカスも新顔いびりにのってきた。
キヒヒ、面白くなりそうだぜ。
そんな俺様の予想は、小僧が示した『B級冒険者タグ』で軽く裏切りられる。
こんな、ガキが俺様と同じB級冒険者だと!?
ありえねえ、ありえるはずがない! この首都ワシントでもB級冒険者という高みにいるのはわずか30人だぞ!?
その実力と能力を買われて、新総督から奴隷第二地区の監督まで任命されているこの俺様と、同等だと!? いや、そんなはずはねぇな。
「ガキ、粋がるのはよせ」
俺様がそのガキに人睨みすれば、周囲の取り巻きが騒ぎ立てる。
「仮にそのタグが本物だとしてもよ、キュクレはB級冒険者なだけじゃないんだぜ?」
「この国の監督様よ」
「腕を認められて奴隷第二地区の監督を、総督様より任命されてんだぞ」
「下手にたてついたら、お前にふりかかるは国家権力だぜぇ?」
「一介の冒険者が、今や国防を司るお偉いさんよ」
「新総督さまの改革はすげえよなぁ」
「有能な人物は幅広く登用するだなんて、誰にでもチャンスのある世を作ってくださった」
そうだ。
新総督になってからこの国の全ては変わった。
なにせ俺様には特別に持たされた『見えない武器』まである。懐にあるコイツをぶっ放して少し脅せば、目の前の女達を奪うのは簡単だろうよ。
力づくでも合法的にも、今の俺の権力ならこいつらを自由に扱える。
そう思った刹那、『ビキリ』と何か不穏な音が鳴り響いた。
「キュクレ、新顔をいじめるのはそこまでにしたらどうだい?」
「ちぃ……閃光のアリアか……」
ここからが本番って時に厄介な奴が顔を出しちまった。
この都市で4人しかいないA級冒険者……『閃光のアリア』だ。こいつも俺様の抱きたい候補リストに載っちゃいるが……化け物じみた強さでそれをさせてはくれないだろうな……。
だがなぁ、キヒヒヒ。いつかはその寝首をかいてやるから待ってろよ。
その凛々しい顔が苦痛と快楽に歪むのが楽しみだぜぇ。
「おう、おめえら、新顔への挨拶はこのへんで終わりにしておこうぜ」
「えっ、キュクレ……でもよ……」
「そんなガキが持つB級冒険者なんてタグは偽物だろうよ。あの歳で本物を持ってたら、そりゃー勇者さまの再来だろうな、キヒヒヒッ」
実力のないガキから女なんて後からどうとでも奪える、そういった意味を含めれば同じ奴隷監督のルーカスも引き下がった。さすがは俺様と同じB級冒険者なだけあって、今は絶世の美女を手に入れるよりも、閃光のアリアと揉めない事を優先すべきだと判断できたようだな。
だが、面白くねぇものは面白くねぇええ!
「次見たときは容赦しねえぞガキが! 女どもは楽しみに待ってろよぉキヒヒッ」
そう言い残し、『閃光のアリア』と新顔共に背を向ける。
その瞬間、『ビキビキ』と空気が派手に炸裂する音が響き渡った。大方は『閃光のアリア』が派手に挑発でもしたんだろうな。この子たちに手を出すな~って。
これだから大馬鹿もんの偽善者女はうぜぇ。
あー今夜の奴隷への労働は激しめにしてやろうかねぇええキヒヒヒッ。
それまで帰って寝るとするか。
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