異世界龍生《俺はのんびり静かに暮らしたいだけなのに!》

信濃

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第2章 世界中の色を見る旅

冒険者の少女の不幸

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 どうしてこんな事になったのだろう…

 嗚呼…今日は…

 本当に今日は運が無い…


 
 冒険者の少女はそう思った…剣を持つ手は痺れ、足は震え、立っているのがやっとの状態であり、身体中から出た嫌な汗が上から下へと流れ、頭の中は恐怖に染まり、目から涙が溢れそうになる。

 なぜこんな事になった、そう考えると朝から運がなかったと言うしかない…

 朝起きて、朝食にと用意しておいたパンがネズミに食べられひとかけらも残されておらず、諦めて冒険者ギルドに行こうと家から出て足を進めれば、何も無いところで転び周りにいた人達に静かに笑われ、やっとギルドについたと思えば足を引っ掛けられまた転び、今度は盛大に笑われながらクエストボードの前に立てば、こんなの誰がやるんだと言いたくなる程の高難易度のクエストしかなく、諦めようと思った時、ふと端の方を見ると一枚の真新しいクエストの紙が目に入った。それを手に取り、内容を確認する。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【C~Aランククエスト 近隣の森の調査】

説明

・突如として起こった嵐の中、森から何かの叫び声と、何かが落下した音が聞こえてきたという報告があった。その正体はなんなのか、調査を依頼する。


報酬: 3500ペルシ

※薬草や魔物の素材を持ち帰れば追加報酬あり


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



報酬は少ない方だが、追加報酬もある。

 これは簡単そうだと思い受付にその紙を持って行ったのだ。



こんなクエストが余ってるなんて、ラッキー♪



そんな事を考えながらクエストを受注したのだ…




 目的の場所は徒歩で数時間くらいかかる場所であったが…装備を揃えるだけで悲鳴を上げそうになる私の財布事情では馬なんて買える訳がない…


「せめてランクが上がればなぁ…」


 そんな愚痴じみたひとり事を漏らす。
ギラギラと頭上で輝く太陽の光を全身に浴び、汗だらけになりながらも目的地へと目指す。

 私のランクはCランク、下から数えると二つ目くらいだ…

 Bランクより下のランクにまわってくるクエストは…はっきり言ってほとんどが雑用みたいなものやお使いのようなものしかまわってこない…

 ちなみにBランクより上になると優先的にクエストがまわされ、報酬も高いものになる。貴族の護衛クエストなんかがあれば、しばらく冒険者ギルドに顔を出さなくて良いくらい稼げると聞いている。

 まぁろくな奴しかいないがな…冒険者ギルドは掃き溜めと言われても頷くしかないほどにひどい状態だからな…横領なんかいつもの事、賄賂なんて堂々とやってる、横取りなんて当たり前…私だってお金に困ってなかったらこんな仕事やっていないほどにひどい。

 その事に目を瞑ったとしても一番我慢できないのが、邪な目線をこちらに送り、下心丸出しで近づいてきて気安く体に触ろうとしてくる変態どもの巣窟だと言う事だ!!本当に今すぐにでも辞めてやりたいが…家にお金を入れようと自分で出稼ぎに出た手前仕事を辞める訳にもいかないし…まだ成人にも達していない私が働けるところはこの仕事くらいだ…


 ハァ…と大きなため息をついた時、サァァ…と木々の間を通り抜ける風の音に気づき周りを見渡せば、いつの間にか目的地に着いていたようだった。

 一旦休憩を挟んだ後に調査を開始しようと近くにあった木の根元に腰を下ろし、腰に付けておいた自作の水袋を手に取り水を飲む。これだけで生き返るような気分になるのは私だけであろうか…


「…………ぷはっ…はぁ…やっぱり少し疲れたわね…少し…寝ようかしら…………?」


別に時間は決まっていないのだし、そもそもこの森に必ず危険なものがいるということもない。そんなウトウトとして来ていた少女の耳に、優しく吹き抜けていく風に乗って人の怒号が薄く届いた。


《待ち……れ!!》

《絶対…逃す…よ!追…!!》


途切れ途切れであるが、声の数からして複数人の男、そして何かを追っているような声が森の奥から聞こえてくる。意識を完全に覚醒させ、こちらの存在を悟られないように静かにかつ、素早く腰掛けていた木に登る。


「なに?…男の声…複数人いる…何かを追ってる?一体なにを…………!?」



 木の葉の間から一瞬だがはっきりと見えた。
汚らしい服を纏い、麻袋のような物や拘束具を手に持ち、何かを追いかける男たち。
 そしてその男達に追いかけられているであろう者を見た瞬間。目を見開き、驚いた。


ボロ切れの布をかぶった小さな子どもだったのだ


その必死で逃げる背中は弱々しく、今にでも倒れてしまうのではないかと感じるほどに小さいものであった。





 それを見た瞬間。私の体はすでに動き出していた。
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