異世界龍生《俺はのんびり静かに暮らしたいだけなのに!》

信濃

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第2章 世界中の色を見る旅

森の中の新生活!!

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 さて、周囲の色々な“色”が見え始めて少し経った。この森の生活も気に入り、そして戸惑うばかりだけど分かってきたことがあった。
 この“色”は、生物の“感情”を色としてみることが出来るのだと分かった。そして、ある程度何を考え、何を思っているのかが分かるようになってきた。
 原因は多分、墜落した時に死にかけたのが原因だと思う…『死にかけて霊感が強くなった』って言う話を前世で聞いたことがあるし、多分そう言うのではと考えた。
別に不便なことは無いし、あって困るって言うよりも逆に楽しみが増えたと思えば嬉しい事だし、そんな気にする事ではないな!(感覚麻痺)
 でも…また一つ、悩みが出来た…


動物達を…食べようと思えない…


 誰かが聞けば、何言ってんだコイツ、この前肉が食べたいって言ってただろ?そこら中に居るんだろ?と思うだろう…確かに肉は食べたいし、この体ならば簡単に捕まえられる事だろう。

 だが…先程も言った通り感情が見ることが出来るようになったため、全くと言って良いほど警戒されておらず、逆に安心しきっている事がひと目で分かってしまうようになったのだ…今も鹿のような動物や鳥達が持って来てくれた木の実などを頂いているが…

はっきり言おう。こんなに俺を信頼している動物達を食べようということは、俺には考えられないのだ…

最初は捕まえようかとも思ったのだが…
あ、やめてくれ…そんなキラキラした目で見ないでくれ…鳥や小動物達よ、背中に登るのは良いが、背中で昼寝をしないでくれ…鹿に狸に狐達、周りを走り回ったりするのは良いが、俺の尻尾で遊ばないでくれ…間違えて吹っ飛ばしたら大変だろ…
中身は動物好きの人畜無害な男でも外見は完全に捕食者なんだぞ?少しは警戒してくれよ!!(懇願)

ハァ…まぁ木の実だけでも生きていけそうだし、魚とかで満足しよう…あ、リス可愛い…
 さて話を戻すが、動物達と会話出来ないかと魔法を使い試したのだが、会話する事は出来ないようだ。うん…当たり前か…だが動物達が伝えたい事はしっかり分かるし、こちらが伝えたい事は動物達も理解してくれていると分かった事は大きな収穫だった。もしかしたら人間や知性と理性があるモンスターとは会話が出来るはずだと考えたのだ。
なぜ知性と理性があるモンスターでないといけないのかと言うと…


グオオオオオオォォォォォォ!!!!


 龍新が状況整理をしていた時、森全体を揺るがすような大きな唸り声が響き渡った。聞くだけでおぞましく、生ぬるく、吐き気をも感じるような強い不快感が襲うドス黒いオーラが暗い林の向こうから流れてくる。
 動物達は、さっきまでのんびりしていたのが嘘のように慌てて逃げ出していった。
 龍新は動物達を見送ると、動物達が逃げる方向とは逆の方向、ドス黒いオーラが流れてくる方向に体を向ける。
そして回復を遂げ、更に大きく、どんな風でも耐えられるような力強い翼を広げ、また更に大きくなった体を軽々と浮かせる。
 翼を羽ばたかせるたび、周りの木々や草花を激しく揺らし、まだ近くにいた動物達は飛ばされぬように必死で踏ん張っていた。その動物達に心の中で謝りながらもドス黒いオーラを発する場所へと飛んでいく。


 …普通のモンスターは食欲と破壊欲しか持ち合わせていないのだ。


そう先程の続きを心の中で龍新は呟く。
折角慣れて来た生活を“また”失うことになるのは御免だ!と翼に力を込め、声のした場所へと急ぐ。
 無論、森に害が無いならばそれで良いのだが、森や生態系に害が出るのであれば対処しなければならないし、与えられた役目は出来る限り果たさなければ。と考えていると、あっという間に目的の場所の上空に到着していた。


 さてどのような状況だろうと下を見ると…決して清潔と言えないような服装をした人間の男が五人、既にやられてしまったのか酷い状態で地に伏していた。
 残りは三人…清潔感があり、しっかりとした防具を着用し、片手に剣を持っている少女と、ボロの布切れ一枚を羽織っただけの少女、そしてその二人から少し離れた場所に立っている不清潔そうな男が一人。
少女の一人は脚がすくんでしまったのか地にへたり込んでおり、もう一人の少女は地面に横たわっている。男の方は足を震わせ、何やら叫んでいる。そしてその三人の前にたたずみ、ドス黒いオーラを放ち、三人を睨む巨大な影があった。

 それは、外見は熊のような見た目をしているが、爪は赤黒い血を滴らし、歯も異常なまでに鋭く長い、顔の額には獲物を求めるように血走らせている目があった。
 明らかに普通の熊では無いそれは三人に向かって吠える


グオオオオオオォォォォォォ!!!!


次はお前らの番だと…



助けなければ!


そう考えるが…龍新は迷っていた。
助けたいという気持ちに嘘はない。しかし、無事助けることが出来たとしても、危険な龍がここの森にいると知られてしまうだろう。そうなればこの森にいられなくなってしまう。

 嗚呼…何という自分本位な考えなのだろう…いつからこんなことを考えるようになったのだろう…

龍新は、そんな事を考えてしまう自分を責めた。思考が加速し、時間が止まったかのような錯覚を覚える。

爺ちゃんが言ってくれた


『弱きを助け強きを挫け!』

『助けるべき人は積極的に助けんといかん!』


そう稽古の最中に言っていた。
そしてある言葉を思い出し、迷う事をやめた。
時間は進み始め、龍新は“太陽”を背後にし、大きな翼を畳み、地上に向け、重力に従うままに一気に急降下する。

その言葉と自分の心にに従うように…



『『どうするかは其方お前の自由だ』』



と…
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